こんばんわ。
最近は年度末と月末、いろいろな事が重なりバタバタの1ヶ月でした。
今日はみんなに聞いてもらいたい事があり、書いてみました。
先日、山陽道でトンネルの火災事故がありました。
事故渋滞で停車していた車に追突し、そのまま走行。
数台の車を跳ね飛ばし、停車。そして炎上。
2人の尊い命が奪われ、71人が怪我をする大惨事となりました。
事故当日から数日間報道各所で報道されていました。
自分達もトラックを運転して商売をする以上、けして他人事として受け入れられずに
ニュースが始まると真剣に見入ってしまいました。
事故の原因が段々と明るみになると、ネット等では事故を起こした運送会社の事を「ブラック企業」だの何だのと叩かれる様になりました。
確かに事故を起こした運転手、運転手を雇ってる会社、会社を運営している経営者に問題があります。
今回の事故では何の罪も無い人の命を奪ってしまい、多くの人を苦しめ、迷惑を掛けてしまいました。
運転手は、ハンドルを握る=他人の命を奪ってしまうかも知れない・・・・・・
経営者は、ハンドルを握らせる=運転手の命をさらす事になるかも知れない・・・・・
運転手は過重労働を会社に訴えられずに、経営者は運転手の気持ちに察することが出来なかった。
そして、こんな重大事故を起こしてしまった訳です。
私はけしてこの会社の肩を持つ訳ではありません。
ただ、運送業を営む本当の心を聞いて下さい。
そして、この記事を読んでいる人(消費者)も肩棒を担いでいる事を感じて下さい。
今、運送業は悪化の一途をたどっています。
以前、法改正に伴い、営業ナンバーの取得が安易になりました。
そこに来て、運送業の登録数は倍増しました。
倍増すると、運賃は叩きに叩かれ、ダンピング状態でした。
最安値の値段で走る事を余儀なくされました。
そこに来て、燃料高です。
燃料も上がれば、オイルも上がります。タイヤも上がります。
車検の整備部品もあがります。
走れば走るほど赤字の時もあります。
これでは仕方ないと、荷主さんに値上げ交渉をすれば、
「○○さんより安い所あるよ。」
「じゃあ、来月から他に頼むよ。」
と言われるのが、関の山です。
要するに弱い者いじめが横行していました。
経営者としては荷主に切られれば、他の荷主を探さなくてはならない。果たしてそれが今の荷主よりも条件が良いかどうかはわからない。
最悪の場合、会社の財産とも言える従業員やトラックを手放さなくてはならない。
そうならば、今のまま続けよう。
続けて、空のトラックで帰らずに、帰り荷を積んで帰ってこよう。
と経営を続けて来ました。
すると、帰り荷を出す荷主も
「おたく、帰り荷でしょ。」
「安くしないと出さないよ。」
とも言われる様になりました。
そこへ来て、運送屋のブローカー(みずや)さんの出現です。
みずやとは荷主から荷物の依頼を受け、運送の手配をする人の事です。
当然、ブローカーさんも商売ですから、ピンハネして仕事が回って来る訳です。
時には複数のブローカーさんが入り、数万円の仕事が数千円で回って来る事もあります。
これが現状です。
でも、いくらかの足しになればと、多くの運送業の方は請け負っています。
今はブローカーさんと運送屋さんの交流サイトがあり、登録するとそこから仕事のやり取りを出来る仕組みになっています。
そこへ来て、免許改正です。
前の免許では普通免許で4トン車(車体総重量8トン)まで乗れましたが、
今の免許では普通免許で車体総重量5トン、普通免許を取ってから2年後に中型免許(車体総重量11トン)、また、そこから3年後に大型免許が取得出来る様に法改正になり、
高校を卒業してすぐに4トン車を乗れない為、運転手を希望する若者が激減して行きました。
それ以外も排ガス規制等で、数年で数千万円の車両の入れ替え、月賦が終わり、これから稼ぎ時になった際に入れ替え。今は排ガス問題で対策になった車はコンピュータ化しており、修理も多くの金額と時間が掛かる様になりました。
大手の引越し会社の一例を取ってみます。
Aさんは千葉県から大分県に引越しになりました。
合わせて4トントラック2台分の荷物です。
もちろん、安く、丁寧な仕事に越した事はないので、数社に見積を取りました。
当然安いA社に依頼しました。
A社は当日4トントラック2台で引越し荷物の引取りに来ました。
月曜日の朝から始めた積み込みも夕方に終わりました。
到着は水曜日の午後1時の到着予定です。
Aさん一家はしばしお荷物とのお別れです。
お荷物を積んだトラックはA社の営業所に到着しました。
丁寧に積んだはずの荷物を一度降ろしました。
荷物を卸し始めて、日付がまたぐ火曜日の夜中、1台の大型トラックが来ました。
千葉で荷物を卸して、大分に帰る会社のトラックです。
もちろん帰りなので運賃は割安です。
4トントラック2台分の荷物を15トン車に積み込みます。
積込のは大型トラックの運転手さんたった一人です。
A社は荷物を出してやっているという考えです。
積み込みを始めて3時間。日が上がり始めた頃積み上がり出発です。
残された時間はまる1日半。
そこには大型からの降ろしの時間と、4トントラックへの積み込みの時間があります。
それを換算すると約1日もありません。
運転手さんはわずかな休憩で走るしかありません。
普段みんなが使う郵便や宅急便も同じです。
集荷をして、地域のセンターまでは自社が走ります。
地域のセンターから統轄までも自社で走りますが、
統轄から目的地までの統括センターまでは下請けの運送屋さんが走る事もしばしばです。
地域によってさまざまな条件があります。
雨だったり、晴れだったり・・・・・
大雪だったり・・・・・
そんな道でも運転手さんは自分達を差し置いて、時間の為に走ります。
今のデフレ経済の象徴とも呼べるでしょう。
「安くて良いもの」
を求め、当たり前の様に要求し、当然と思っていた消費者も肩棒を担いでいると言えると思います。
俺達は何を言いたいのか。
こういう状況が今日の日本の現状だと言う事です。
それを見て見ぬふりをして、問題が起こった時には表面上で「ブラック企業」
違反企業として片付けてしまう。
それでは何の解決にもならず、
またこの様な悲劇は繰り返されてしまいます。
事故を本気でなくそうと思うのならば、
今の運送業の実態を正確に報道して頂きたい。
そして、その問題を世論して頂きたい。
世論して、消費者に受け入れ、転換して頂きたい。
物質文明を持っている以上、運送業はなくなりません。
運送業が無くならない以上、事故もなくなりませんが、それを解決するキーワードはあるはずです。
運転手も人間です。
大切な人も居ます。
経営者も人間です。
この文を読んで頂いている人と同じです。
最後に事故でお亡くなりになった方にお悔やみを申し上げるとともに、事故にあわれた方々にお見舞いを申し上げます。
ドライバーとして、経営者として、こんな悲惨なトラック事故が無くなるのが、
私達の願いです。
皆さんにも今の状況を少しでも理解して頂き、行動して頂けたら幸いです。