産業廃棄物の処分などを無許可で請け負い、大阪府泉南市に捨てていたとして解体業の男が逮捕されました。一般の人が使う道路をふさぐなどの被害も出ている産業廃棄物の不法投棄。どうしてなくならないのでしょうか。
手で顔を隠し、うつむいている男。廃棄物処理法違反の疑いで8日逮捕された大阪府泉南市の解体業、浜中一容疑者(44)です。
警察によりますと、浜中容疑者は昨年10月ごろ、大阪府内の住宅工事で出た瓦などの産業廃棄物の処分や運搬を府の許可を得ずにリフォーム業者から請け負っていた疑いが持たれています。
産業廃棄物は、泉南市内にある浜中容疑者の会社の敷地内に野積みされていて、一昨年には、隣接する他人の敷地に大量の産業廃棄物がこぼれ出ていたこともありました。
読売テレビは、逮捕される前の浜中容疑者を取材していました。
浜中 一 容疑者
「悪いことする奴は悪いことするんですよ。僕はれっきとした建設業なので、これをやっつけちゃえば、とやかく言われることも無いので。(Q、全く問題ないか?)そうですね」
不正は行っていないと主張していた浜中容疑者。一方で、現場周辺をよく知る女性は―。
現場近くの関係者
「怖いですね、一言で言うと。土砂が崩れたりしたら道を塞いで。こっちまで来てしまったらどうしようとか」
周囲とトラブルも起こしていました。浜中容疑者は他人の敷地に勝手にごみを捨てたり、近隣住民が設置した防犯カメラにテープを貼ったりするなどの迷惑行為をしていたということです。さらにー
現場近くの関係者
「『お前殺すぞ』『ここの地域には住まれへんようにするぞ』とか『自分らは法律の抜け穴とか知っているから、重機で穴掘ってお前埋めるぞ』とか言われているので、それから怖くなって、近寄っちゃいけない人なんだなと思って…」
度重なる迷惑行為を近くの人らが注意しても、浜中容疑者は脅しめいたことを言い、聞く耳を持たなかったといいます。
産業廃棄物の不法投棄をめぐっては今年2月にも、処分などを無許可で請け負い、和泉市内の山の中に捨てていた別の業者が摘発されています。
この業者が野積みしていた産業廃棄物は昨年6月、台風による大雨で近くの道路に流れ込み、1週間近く通行止めになるという大きな影響が出てしまいました。
産業廃棄物の不法投棄事件はなぜ相次いで起きているのでしょうか。
こちらは実際に警察が摘発した不法投棄事件の流れです。元請けの業者が民家の解体や産業廃棄物の処分を145万円で請け負い、下請けの業者に105万円で工事を委託。委託された業者も95万円を払って、別の下請け業者に丸投げします。
その業者は解体工事は実施しましたが、 現場から出た産業廃棄物の処分は18万5000円という金額で、さらに別の下請け業者に委託していました。都度都度、費用は中抜きされ、安く委託されていて、最終的に処分に困った業者が産業廃棄物を不法投棄していました。
このような構造的な欠陥について専門家はー
上智大学 地球環境学研究科 織 朱實教授
「排出事業者が不当に廉価(安い価格)で処理を委託している場合は、その不法投棄がなされた時の浄化責任、措置責任というものを排出事業者に負わせるという廃棄物処理法の改正も行われているんですね。ただ、実際にまだ全然適用されていないんですよね。そもそも廃棄物って不適正処理したほうが儲かるという、そこの性質を変えていかざるを得ない」
全国で絶えない産業廃棄物の不法投棄。周囲に被害をもたらすことを防ぐためにも抜本的な対策が急がれています。
警察の調べに対し、浜中容疑者は「やってはいけないこととはわかっていました。金になると思い、一般的な価格より安く処理を引き受けた」などと一転して容疑を認めているということで、警察は詳しい経緯を調べる方針です。
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