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袴田事件 ― 冤罪・強盗殺人事件の深層 単行本 – 2014/7/12 山本 徹美 (著)

司法は時間を何だと思っているのか!

不自然な証拠、解明されないままの謎……
にもかかわらず1980年袴田巌の死刑判決は確定した。
48年間無実の罪で収監された日本史上最大の冤罪事件に迫ったドキュメント。
絶版状態だった文庫版に新たに再審決定の経緯も加え、改めて世に問い直す。

【目次より抜粋】
◆序章 「袴田事件」と謎

◆第1章 火災発生
「せつない煙」/開かずの扉/鎮火、4遺体発見

◆第2章 放火は故意か偶発か
清水港と味噌屋/裏木戸には閂/黙殺された石油缶

◆第3章 強盗罪の成否
強盗罪は成立するのか/甚吉袋の中か手提げ籠の中か/手つかずの宝石、通帳

◆第4章 事件前夜まで
鰻屋で一杯/ビートルズファンの扶示子/内向的な雅一朗/火宅

◆第5章 重要参考人
「血染めのパジャマ」にした先入観/なぜか、誰も「見ていない」と証言

◆第6章 人格証拠
身辺調査を先行/火事の原体験/「女癖が悪い」は本当か

◆第7章 家庭・離婚・子供
妻は全て夫の責任と主張/乳児を棄てて情婦のもとへ/こんな子がいるのにできるのか

◆第8章 逮捕、拘留
予告された逮捕劇/過酷な取り調べ/自白に要した240時間/睡眠不足か脚気か

◆第9章 自白
供述調書に署名捺印/「強制した事実はない」と取調官/くいちがう“自白まで"

◆第10章 供述調書1
検事調書の影響力/「手拭の件は認めろ」と……/「見覚え」が決め手

◆第11章 供述調書2
小判をとらず小銭入れを/集金袋の謎

◆第12章 供述調書3
この恰好で眠れるのか、風呂は?/ちゑ子夫人は殺しの水先案内人?

◆第13章 供述調書4
火葬台/パジャマとパンツ/盗んだ金は預けた

◆第14章 5万円を預けた女
C温醸室D桶下/金を預けた女/袴田と女と警部補

◆第15章 5点の衣類
味噌漬けの服/ズボンと共布/全般的に「大きい」

◆第16章 第1審判決
タンクの味噌/袴田が踏んだ?/判決は死刑

◆第17章 東京高裁の争点
黒皮財布/もう一人の逮捕者/上着はA型下着はB型/大きすぎたズボン

◆第18章 遺体の傷
クリ小刀だけなのか/油の同一性に疑い/篠田鑑定は「言いすぎ」

◆第19章 再審に向けて
高裁、最高裁判決/ボクシング協会も支援/再審へ

◆付図・付表

袴田巌さんの再審認める決定 東京高裁 証拠“ねつ造”疑い言及2023年3月13日 21時02分 事件

57年前、静岡県で一家4人が殺害された、いわゆる「袴田事件」で、無罪を主張しながらも死刑が確定した、袴田巌さんについて、東京高等裁判所は再審=裁判のやり直しを認める決定をしました。有罪の根拠とされた証拠について、決定は「捜査機関が隠した可能性が極めて高い」と、“ねつ造”の疑いに言及しました。

袴田巌さん(87)は、57年前の1966年に今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で、死刑が確定しましたが、無実を訴え、裁判のやり直しを求めています。

9年前、静岡地方裁判所が再審を認める決定を出し、袴田さんは死刑囚として初めて釈放されましたが、その後の東京高裁は一転して再審を認めず、さらに最高裁が審理が尽くされていないと判断したことから、東京高裁で再び審理が行われる、異例の展開をたどっていました。

最大の争点は、逮捕から1年以上あとに現場近くのみそタンクから見つかった衣類についた血痕の色の変化です。

衣類は有罪判決の決め手となった証拠ですが、袴田さんが隠したものかどうかを検証するため、1年以上みそに漬かった状態でも血痕に赤みが残るかどうか、弁護側と検察の双方が主張を繰り広げました。

13日の決定で、東京高裁の大善文男裁判長は、弁護側が示した実験結果などについて、「1年以上みそに漬けられると血痕の赤みは消えることが、専門家の見解からも化学的に推測できる。袴田さんが犯行時に着ていたという確定判決の認定には合理的な疑いが生じる」として、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」にあたると判断し、再審開始を認めました。

さらに、「衣類は事件から相当な期間が経過したあとに第三者がタンクに隠した可能性が否定できず、事実上、捜査機関による可能性が極めて高い」と厳しく批判しました。

また、袴田さんの釈放についても、「無罪になる可能性や再審開始決定に至る経緯、袴田さんの年齢や心身の状況に照らして相当だ」として、引き続き認めました。

決定に不服がある場合、5日以内に検察は最高裁判所に特別抗告することができますが、決定が確定すれば、裁判がやり直されることになります。

東京高裁の前では支援者らから喜びの声

東京高等裁判所の前では、再審を認める決定が出された直後の午後2時すぎ、裁判所から出てきた弁護士が「再審開始」や「検察の抗告棄却」と書かれた紙を掲げると、集まった支援者らから大きなどよめきが起きました。
そして、「よくやった」とか「よかった」といった喜びの声があがっていました。
その後、袴田さんの姉のひで子さんが、裁判所から笑顔で出てきて、「再審が認められ本当にうれしいです。56年間闘ってきて、この日がくるのを心待ちにしていました。これでやっと肩の荷が下りた感じがします」と話していました。

また、弁護団の小川秀世弁護士は「当然の決定だと思いますが、本当にうれしいです。検察に対しては特別抗告をしないよう要請します」と涙を流しながら話していました。

そして、ひで子さんと小川弁護士が抱き合って喜びを分かち合うと、支援者から大きな拍手が送られていました。

このあと、袴田さんの支援者20人余りは午後3時前に東京高等検察庁の前に集まり、プラカードを掲げながら「検察は再審開始決定に従え」とか「袴田さんに真の自由を」などとシュプレヒコールをあげていました。

弁護団長「検察官の主張ことごとく排斥 画期的だ」

再審を認める決定を受け、袴田さんの姉のひで子さんと弁護団、それに支援する日弁連=日本弁護士連合会が会見を開きました。

この中でひで子さんは「再審開始になることを願って今まで生きてきたので、大変うれしく思っています。家に帰ったら本人に『よい結果が出たから安心しなさい』と言うつもりです。早く死刑囚でなくなることを願っています」と喜びを語りました。

また、西嶋勝彦弁護団長は「決定は、高裁での審理の争点だった血痕の色について検察官が行った実験には信用性がないと判断した。これまで争われてきた論点についても検察官の主張をことごとく排斥していて、画期的だ」と述べました。

そのうえで「それぞれの証拠を総合評価して、無実になる可能性があることを明言していて、速やかにやり直しの裁判に移行するべきだと表明していると思う」と強調しました。

また、日弁連の再審法改正実現本部で本部長代行を務める鴨志田祐美弁護士は、「再審手続きを定めた法律には証拠開示について明文化した規定がなく、再審開始を認める決定が出ても、検察官が不服を申し立てることができるため、審理が長引き、取り返しのつかない悲劇を生み出している。法改正しかないということを世の中に訴えていきたい」話していました。

東京高検「主張認められず遺憾 適切に対処したい」

再審の開始を認める決定を受け、東京高等検察庁の山元裕史次席検事は「検察官の主張が認められなかったことは遺憾である。決定の内容を精査し、適切に対処したい」というコメントを出しました。

きょうの袴田さんの様子は

支援者によりますと、袴田巌さんは、13日は午前9時半ごろに起床し、朝食にみかんやりんごなどの果物を食べたということです。
ひで子さんが袴田さんのひげをそったり、髪を整えたりしていました。

ひで子さんは決定文を受け取るため東京高裁に向かい、袴田さんは同行しません。
ひで子さんが「きょうは東京へ行ってくるから。一晩、泊まってくるからね」と伝えると、袴田さんは「あ、そう」と応じていました。

午後は、支援者の運転する車で、幼少期に足を運んでいた浜松市浜北区の「岩水寺」を訪れました。

袴田さんは寺の本堂の前でさい銭箱にお金を投げ入れると、静かに手を合わせ、線香をあげていました。

また、寺の近くにある大きな仏像の前でも手を合わせていました。

そして記者から「きょうはどんな日ですか」と声をかけられると、「勝つことだね。勝つ日だと思うがね」などと話していました。

識者「『疑わしきは被告人の利益に』という考え方に」

決定について、元裁判官で刑事裁判の経験が長い、半田靖史弁護士は「『血痕の赤みが失われるか化学的に説明する』という最高裁から与えられた課題について、高裁は専門的な知見によって合理的に裏付けられたと認定した。『疑わしきは被告人の利益に』という考え方に立ち、誰が衣類を隠したのかはっきりわからなくても、血痕に赤みが残っているのはおかしいとさえ言えればよいと判断した」と評価しました。

その上で、「検察が行った実験も弁護側の理論を裏付けるものと判断された。検察は立証の機会をたっぷり与えられていたので、潔く結論を受け入れるべきではないか」と指摘しました。

袴田事件 今後の手続き

再審開始を認めた東京高裁の決定に不服がある場合、検察は5日以内に最高裁判所に特別抗告することができます。

今回は週末を挟むため、特別抗告の期限は今月20日となります。

特別抗告が行われれば、再審開始の判断は最高裁に委ねられることになり、審理が続きます。

一方、13日の決定が確定すれば、静岡地方裁判所でやり直しの裁判が行われ、無罪に大きく近づくことになります。

過去の再審判断と法改正の動き

過去にも死刑や無期懲役が確定した事件で再審開始が認められ、無罪となったケースがあります。

死刑が確定した事件では、
▼1948年に熊本県で夫婦2人が自宅で殺害された免田事件や、
▼1954年に静岡県で当時6歳の女の子が連れ去られて殺害された島田事件などで無罪が言い渡されました。

無期懲役が確定した事件では、
▼1990年に栃木県で当時4歳の女の子が殺害された足利事件や、
▼1997年に東京電力の女性社員が殺害された事件などで、
再審によって無罪が言い渡され、その後、確定しています。

最近では、大阪 東住吉区の住宅で11歳の女の子が死亡した火事で殺人などの罪で無期懲役が確定し、服役していた母親が、2016年に再審で無罪となっています。

また、先月27日には、39年前に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件で無期懲役が確定し、服役中に死亡した男性について、大阪高等裁判所が再審開始を認める決定を出しました。

再審が認められるまでに長い年月がかかっていることから、日弁連=日本弁護士連合会は「法制度の不備がえん罪被害を救済する妨げになっている」として、再審手続きに関する法律を速やかに改正するよう求めています。

先月公表した意見書では、
▼再審の手続きでも通常の裁判と同じように裁判所が検察に対して証拠の一覧表を提出するよう命じられるようにするほか、
▼手続きが長期化しないよう、裁判所が再審を認めた場合には検察による不服の申し立てを禁止すべきだとしています。

ボクシング界の支援団体「感無量のひと言」

元プロボクサーの袴田巌さんに対して、ボクシング界は支援団体を設立して拘置所で袴田さんに面会したり、再審を求めるデモを行ったりするなど、長年にわたって活動してきました。

再審を認める決定について、支援団体の中心メンバーで元東洋太平洋バンタム級チャンピオンの新田渉世さんは、「感無量のひと言だ。ほかの支援者や弁護団の活動のたまものだが、ボクシング界でも精いっぱい支援してきたのでうれしい。まだ確定ではないが、ボクシング界の大先輩である袴田さんに勝利の見込みが出てきたので、おめでとうと伝えたい」と喜びを話しました。

その上で、「検察には特別抗告をしないように求めていきたい」と話していました。

再審開始決定のポイント

東京高等裁判所は、9年前に静岡地方裁判所が出した再審開始の決定に「誤りはない」として改めて再審開始を認めました。決定のポイントです。

【最大の争点は「5点の衣類」血痕はなぜ赤かったのか】

最大の争点は、死刑判決の決め手となった「5点の衣類」についた血痕の色の変化です。

「5点の衣類」は事件から1年2か月後、裁判も始まっていた時期に現場近くのみそタンクから見つかり、衣類についた血痕の色は当時の捜査資料に「濃い赤色」などと記され、赤みが残っていたとされます。

過去の死刑判決では、衣類は袴田さんが犯行当時着ていてその後隠したものだと認定されましたが、弁護側は「1年以上みそにつかっていたら血痕は黒く変色するはずで、赤みがあるのは袴田さんが逮捕された後、発見される直前に誰かが入れたものだからだ」と主張。

血痕のついた布をみそに長期間つける実験結果の報告書や「血液がみその成分に1年2か月さらされると化学反応が進み、赤みを失う」とする専門家の鑑定書を提出しました。

決定はこれらの証拠を丹念に分析し「弁護側の専門家の見解は化学的に十分信用することができる」として赤みは失われるはずだと判断。

「実験の報告書などの『新証拠』が、過去の裁判で出されていたら袴田さんは有罪にはなっていなかった」と指摘しました。

一方、高裁の審理では検察も血痕がついた布をみそに漬ける実験を行い「一部には赤みがみられ、赤みが残る可能性を十分に示すことができた」と主張していました。

これについて決定は「検察が提出した実験結果の写真は、被写体の赤みが増すとされる白熱電球の下で撮影された」と指摘したうえで、実際に裁判官が肉眼で確認した実験の様子なども踏まえ「赤みが残ったと認めるのは困難だ」と一蹴しました。

さらに「検察の実験はみそタンクよりも赤みが残りやすい条件で行われたにもかかわらず、赤みが残らない結果が出た。弁護側の専門家の見解をかえって裏付けるものだ」と述べました。

そして「5点の衣類」について「事件から相当な時間がたった後袴田さん以外の第三者がみそタンクに隠した可能性が否定できず、袴田さんを犯人と認定することはできない」と結論づけました。

【“ねつ造”の疑いを指摘】
では、誰が「5点の衣類」をみそタンクに入れたのか。

決定は「第三者」について「事実上、捜査機関の者による可能性が極めて高い」とする厳しい見方を示しました。

9年前に静岡地方裁判所が再審開始を決定したときも「5点の衣類」について「長期間、みその中に隠されていたにしては、血痕の赤みが強すぎて不自然だ」として「重要な証拠が捜査機関によりねつ造された疑いがある」と批判していました。

【今後の焦点は検察の対応】
9年ぶりに開いた再審の扉。今後は検察が13日の決定の取り消しを求めて、最高裁判所に特別抗告するかが焦点となります。

特別抗告した場合、再審を認めるかどうかの判断は最高裁に委ねられ、さらに時間がかかります。

日弁連などは再審開始決定が出されても検察が繰り返し抗告できる今の法制度に課題があると訴えています。

死刑判決が誤っていた可能性を示唆した13日の決定は、再審をめぐる法制度や捜査機関の問題点も浮き彫りにしたといえます。

いのまちこ編、たたらなおき漫画『デコちゃんが行く袴田ひで子物語』静岡新聞社。先日、検察が特別抗告を断念し、静岡地裁での再審裁判が確定、ほぼ袴田巌さんの無罪が確実されることになりましたが、弟の無罪を信じて袴田さんを支え続けてきたお姉さんの袴田ひで子さんの半生を綴ってまんがです。東京高裁が再審裁判の請求を棄却するまでが述べられていますが、めげることなく、50年以上にわたるたたかいにほんとに頭が下がる思いがしました。

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コメント: 10
  • #1

    通りすがりの人民 (火曜日, 14 3月 2023 14:19)

    この書では、丹念な取材と、裁判や、捜査の記録をじっくり読んで不審な点を浮き彫りにしています。
    事件後から「袴田氏が犯人」と決めつけて捜査したために、肝心な犯人と結びつけるべき証拠を検事も判事も見落としている点を何点かしてきしています。
    例えば、死亡推定時刻は、鑑識できは午前1時頃とされていますが、胃の内容物や、また、腕時計をはめた、シャープペンシルを胸のポケットにさしたまま殺されている点などから午後10時前後ではないかとか(袴田氏は10時半までテレビを自室で見ていた複数証言はあります)
    現場に残っていた放火に用いいられたのかもしれない「工業用ガソリン」は一般の人間では入手困難であることとか
    また、事件後に富士市のバス営業所から報告された現金とはがきの落とし物は犯行現場から持ち去られていたものと極めて酷似したものであったとか…

    もし、思い込み捜査、強制的な自白でなく、証拠を充分検討して犯人像を掴んでいたらこのような悲劇は生じなかったのでは無いかと本書を読んで感じました。

  • #2

    通りすがりの人民 (火曜日, 14 3月 2023 14:20)

    死刑確定の袴田事件につき,2014年3月27日,静岡地裁が再審開始を決定し(ただ,地検が即時抗告),袴田氏は48年振りに釈放されたが,死刑判決には以前から疑問との指摘も多く(「救う会」のHPのほか,袴田巌『主よ,いつまでですか』,後藤忠政『憚りながら』,久保正行『警視庁捜査1課長の「人を見抜く」極意』,浜田寿美男『自白が無実を証明する』等の拙レビューなど参照),今回,改めて緊急出版された本書も,その代表的なものである。
     本書は,生真面目過ぎる感もあるが,本件研究には最も役立つと思われる(本書等を詳しく引用,斎藤信治氏の〔刑法各論の奥付に記載の〕ホームページ の各論レジュメ52頁以下)。その理由は,重要な捜査記録・裁判記録を労を厭わず驚くほど丹念に忠実に引用していること,自身でも数多くの有益な現地取材を重ねていること,そして,全般的に判断が慎重で,観察・思索が実に鋭いことである。
     その1例を挙げると,山本氏は,ある検証調書に重要事実を見出している。それは,惨殺された専務一家4人の中でも,次女に対する殺し方が何とも異様なことである。すなわち,次女は,体を刃物で10個所も刺されているだけでなく,被害者宅内のピアノ室の鴨居に元々は掛かっていたものを外して下ろした額の上に,うつ伏せにされ,ガソリンで焼死させられており,額の下には,元々は勉強部屋内の洋服ダンスの中にあった汚れた生理用パンティのうちの2枚が,衣紋掛やマッチ軸木数本と共に置かれ,燃えずに残っていたのである(265頁以下)。会社従業員に過ぎない袴田が,こうした被害者宅の内情に精通した恨み骨髄のような犯行をするだろうか? 山本氏は,この殺し方が事件の性格を最も雄弁に物語っている,と指摘している。
     なお,被害者ら4人と別居していて難を逃れた長女については,「除け者にされているような気がしました」旨の指摘も紹介されているが(87頁),袴田釈放の翌日遺体で発見された長女は,生前,誰か見えない相手に,「あんたたち,もう死んでるんだから,付いて来ちゃダメよ! 」と話しかけていた,という(週刊文春2014年4月10日号)。
     もう1つだけ,簡単にふれると,山本氏も,密着した隣近所の人達が深夜僅かな謎の物音以外聞いていないこと(250頁以下)等にも注目し,複数犯・猿ぐつわ・束縛の可能性も示す。複数の来客に(消音器付)拳銃を突きつけられ,猿ぐつわをされ,後ろ手に縛られてから惨殺されたとも考えられようか。
     これから先のことや,様々な謎は,本書を読んで,考えてほしい。

  • #3

    通りすがりの人民 (火曜日, 14 3月 2023 14:21)

    こっちの方に作者のあとがきがあるだけで、内容はほぼ一緒。古書を求めるなら、
    安い方でも結構。(念のために両方買っちまった)

    なお、被害者家族で長女に疑いをかける人もおられるみたいだが、高杉晋吾氏の
    『袴田事件・冤罪の構造』によれば、彼女は事件当夜、友人と一緒に中国地方を
    旅して帰って来たとのこと。そんな状況下で、いや、それでなくとも、19歳の子に、
    こんな事件を犯せるものだろうか。たとえ誰か知人を巻き込んで事件を起こすにしても、
    完璧なアリバイのある自分の旅行中に起こすのが普通だろうよ。それとも……

    事件当夜、次女と長男のそれぞれの家庭教師が被害者宅に来ていたそうなのだが、
    その時に食堂にいた第三者が特定されておらず、裁判等でも問題になっていないと
    いうのが呆れる。また、現場には当夜食べたと思われるアイスクリームのふたが
    8つ残っていたそうだが、家庭教師たちにはアイスクリームが出たのかどうか。

    法廷で証言する警察官や検事とかは、弁護側の要請があれば、ポリグラフ(嘘発見器)を
    使用して、証言の真偽を確かめる補助手段にしたら良い。また、法廷における警察官や検事
    の偽証罪は罪を重くするべきだ。

    供述調書などの誤字や旧漢字・歴史的仮名遣いに、「ママ」と付けるのはこだわりだろうが、
    だったら、15ページ1行目の「袴田巌」のルビ「はかまだいわお」や、330ページ2行目の
    「ハカマタ」に付けた「ママ」にも、「ママ」が必要。何故なら、袴田さんは「ハカマダ」
    さんじゃなくて「ハカマタ」さんだから。

  • #4

    通りすがりの人民 (火曜日, 14 3月 2023 14:32)

    冤罪だったとして、じゃあ誰が殺したのかって話になるよな

  • #5

    通りすがりの人民 (火曜日, 14 3月 2023 14:32)

    特別抗告って上告と同じく憲法違反とか明らかな間違いが無ければ受け付けられないっぽいから仮にされてもまず大丈夫だろうけど
    後は本人とお姉さんの寿命だけが心配だわ
    死刑囚のまま死なせる事はあってはならない

  • #6

    通りすがりの人民 (火曜日, 14 3月 2023 14:34)

    昭和初期の警官は点数稼ぎで適当に犯罪者を決めて捜査終了って事にしてた事多いだろうな

  • #7

    通りすがりの人民 (火曜日, 14 3月 2023 14:37)

    日本の警察は捜査力が無い。知能が低いから、客観証拠を積上げて固論理的に訴追するができない。
    だから、自白に頼る。
    だから、長期拘留と威圧という人権侵害で自白を強要する。
    だから、冤罪が絶えない。
    大切なのは真相を明らかにして真犯人を裁く事であって、
    誰かを生贄にして腹の虫を治める事ではない。

  • #8

    通りすがりの人民 (火曜日, 14 3月 2023 14:39)

    一審の裁判官3人のうち、一人(主任裁判官)は無罪の心証を持っていて、無罪の判決文下書きを書いたけど、他の二人が有罪を主張したため、死刑判決になった。
    主任裁判官はその後しばらくして裁判官を辞めて、弁護士になったけど、心労のせいか荒れた生活を送ったようだ

  • #9

    通りすがりの人民 (火曜日, 14 3月 2023 14:40)

    静岡の刑事で拷問で自白を強要することを専門にしていた奴がいたな。この事件もそいつが取調べを担当したのかな

  • #10

    通りすがりの人民 (火曜日, 14 3月 2023 14:42)

    もはや真犯人またはその事実を証言できると思われる人物は墓の中
    神や仏が存在するならばせめて袴田さんの無罪が確定するまで彼を生かしてあげてと祈るばかり
    他も酷いが第二次再審請求の高裁決定下した裁判官も酷い