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嘘を付く必要のない家庭で育った子供は基本、嘘は付かないかな。暴れる必要のない家庭で育った子供は基本、暴れる事はないと思いますね。【青空と向日葵の会】

嘘を付く必要のない家庭で育った子供は基本、嘘は付かないかな。暴れる必要のない家庭で育った子供は基本、暴れる事はないと思いますね。そんな家庭って、どんな家庭か。親の主張を一方的に押し付けず、失敗を頭ごなしに咎めず、子供の言い分に耳を傾け、今後、失敗しない為の手解きをする、その様な親の家庭かな。大人、子供に関わらず、嘘をつくは、自分を守る為。中学生になって、いきなり意味もなく暴れだす子供などはいない。
ある家庭で、中学3年の男の子がある日突然、親に暴力を振い始めた。その親(夫婦)が拙僧のところに、泣きながら相談に。この様な相談、結構多く受けてきました。この中学生の男の子が暴れ出した理由(経緯)を、少しばっか知っていた拙僧は、この両親に次の様な話をしてあげました。
「10年程前、某中学校の校長先生に依頼を受け、3年生の保護者に向けて、講演を行った事があった。依頼された理由は、学級崩壊。授業中、教室で打ち上げ花火をぶっ放すと。それを聞いた時「元気がいいですな」と大笑いした。講演開始の冒頭で保護者達に拙僧『15歳になって、突然暴れ出す子供なんて、いないですばい。そうなって初めて、あれあれ、となりましたかい。幼い頃は、反抗しても腕力では親に敵わん、と子供達はわかっているから、おとなしくしていただけ。子供がそうするからには、そうするだけの理由が、必ずありまっせ。子供の前で度々大声を出し、ど突きあって夫婦喧嘩したり。毎日、父親から母親の悪口を、母親から父親の悪口を聞かされたり。酒飲んで意味もなく、子供や妻に罵声を浴びせ掛けたり、暴力を振るったり。全く家事をせず、毎日インスタント物を、子供が自分で作って食べたり。祖父母をいらん物扱いし、粗末に扱ったり。仕事、所用以外に、自分の娯楽の為に、夜遅くまで子供達だけにしたり。他にも色々、様々。子供が悪くなったは、子供だけの責任にしとりませんか。子供がそうなったら理由に、ほんとに身に覚えがないですか。そうすりゃ、当然、そうなりますばい』と保護者達に」と。
ここまで話すと、身に覚えのある事例が幾つかあったのか、相談に来たこの両親は下を向いたまま無言に。更に続けて拙僧「この中学校の講演後の質疑応答の時『打ち上げ花火の子供の親です』と保護者(母親)が手を挙げた。身に覚えのある理由(息子がこうなった)を述べられた後に『親としては、子供に高校には行ってもらいたいのですが、行ってくれるでしょか』と。対し、拙僧『無理でしょうね。勉強も全くしてないんでしょ。悪い先輩達とつるんで、恐らく、どんどん悪い道へと突き進んで行くでしょうね。これを止めるはまず、無理だと思います。が、悪い事をしながらでも、子供は徐々に様々経験を積んで成長を。その内、俺はこんな事をしていていいのか、と自分に問い掛ける時期が、必ずやってきます。その時、子供が振り返れる場所は、親元しかない。振り返った時、以前のまま、何ら変わらぬ親がそこにいたとしたら、子供は立ち直ろうとしますかいな。その時の為に、親も成長しておかなきゃ、あきまへんで』とその母親に」と。
更に続けて拙僧、この相談に来た両親に「実はですね、この講演(年末)の次の年の夏頃『あの時の打ち上げ花火です』と電話が。その子が『あの講演の時、友達と一緒に会場の外で、住職の話を聞いてたんだ。どんな話になるんだろ、と思って。ところが、初めてわかってくれる大人に出会った、と本当に嬉しかった。ところで、住職。住職の予想は当たらなかったよ』と。『何の予想だよ』『自分が言った事、忘れたの。俺が高校には行かない、って言ってたでしょ』『ああ、そういえば、言ったかな』『残念ながら、行ってるよ、高校に』『ほう、そうかい。こんな予想外れなら、なんぼでも来い、大歓迎だな』と。その数年後、その子から『今、真面目に働いています』と嬉しい連絡があった。この話は、君らにとって、何かしらの参考になるんじゃないかな。数年掛けてやらかした事は、数年掛けて取り戻すしかない。人生は、必ず放物線だよ。1度失った親の信用は、そう簡単に取り戻せるものじゃない。躾(しつけ)は、するもんじゃないよ。躾は、見せるもの。まず君らは、夫婦がお互いに尊敬し合い、労りあって生きる姿をこれから先、子供に見せ続ける事だね。子供が、嘘を付く必要のない、暴れる必要のない、そんな家庭作りを、1からやり直しだね」と。
余談ですが、檀家さんや知人の中には、子供に小学校受験、中学校受験をさせる家庭が。中には、それが子供の負担になり、崩壊した家庭を少なからず知っています。幼児や小学生の受験は、子供の受験ではなく、大半が親の為の受験ですもんな。子供本人が、将来の事、将来の夢、を考えて志望校を決めるは、高校受験からかな。親が子供(幼児、小学生)に『受験』を言い含めて「わかった。頑張る」という言葉を引き出し、その後、子供が受験勉強に嫌気が刺すと「あなたが頑張ると言ったんでしょ」と、12歳以下を追い込む。子供は、親の所有物、親の言いなり対象物、じゃないんだが、と思う事が多々ありますよね。
わが寺の1例ですが、成績抜群で東大合格間違いなし、といわれていた子供が、親のあまりの押し付け教育にブチ切れて、学校を高校2年で中退し、遂には、極道の世界に。その男性(行年53歳)は今、わが寺の納骨堂の中に。今生最後の拙僧との電話での会話が「住職。もし、今度、人間に生まれてくるを許してもらえるなら、今度は極道にはなりません。しっかり勉強して、世の中の為に尽くしたいと思います」と。子育ては、親の主観をどれだけ抑える事が出来るかが、鍵にて。
【追伸】
檀家さんの中には「うちの子は、大人しくて、親に反抗などした事が、1度もないんですのよ」と自慢する母親が。そんな親の元で育った子供に限って、道を外す傾向が強いかな。子供はわがままで、反抗するもの。それをしないという事は、何故、親に気を遣いながら、日常生活を送っていると考えなかったのか。知人の精神科医が「檀家の子供さん達は、親に反抗してますか。反抗する子は、正常に育っております。昨今の子供達には反抗期がないと。反抗が出来ない程、親に抑えつけられているか。反抗しなくていい程、親が子供の言いなりになってるか。無理は必ず壊れるもの。自分の子供に限って、の心は除外した方が」と。