インターネットに猫ばかり氾濫する理由  青空と向日葵の会

(CNN) 米誌ニューヨーカーで有名になった犬の漫画がある。パソコンの前に座った犬は「インターネットなら誰も犬だとは分からないよ」と仲間の犬にささやく。

だが犬には申し訳ないのだが、実際にはインターネットで犬だとばれても、誰も相手にしてくれない。なぜならウェブを支配するオタク連中は猫に夢中だから。

デジタル世界には猫があふれている。数に詳しい物理学教授のアーロン・サントスさんのブログによれば、2010年の時点でざっと数えただけで、インターネット上には約13億枚の猫の写真があった。

当時に比べてインターネットのデータ量は5倍になった。つまり猫写真は65億枚に増えている可能性がある。これは地球上の人口1人につきほぼ猫写真1枚に相当する。

キャットフード「フリスキー」のメーカー、ピュリナが、ウェブの全トラフィックのうち15%は猫関連だと推定する理由もこれで説明がつく。

写真だけでなくビデオもある。例えば箱が大好きな日本猫「まる」の動画は2億回以上も再生された。猫ステッカーもあるし、「LOLcats」のようなサイトには、写真にセリフなどの文字を入れた「猫ミーム」があふれている。

猫ミームといえば何といっても、いつも不機嫌そうな顔をしたメス猫のタルダルソース、別名「グランピーキャット」が代表格だ。インターネットのスーパースター猫「ワッフルズ」や「ナラ」、それに盲目の「オスカー」と弟分の「クラウス」と一緒に、テキサス州で開かれたイベントSXSWでフリスキーのポップアップカフェに登場し、長蛇の列を作らせた。
グランピーキャットは一目見た相手を虜にし、書籍やテレビ番組やコーヒー飲料「グランペチーノ」の売り上げも好調。飼い主のタバサ・バンデセンさんが仕事を辞めることも許可した。

一方、インターネット上でグランピーキャットに匹敵する犬は存在しない。映画(ラッシーやベンジー)や漫画(スヌーピーや101匹わんちゃん)は犬が独占しているかもしれないが、デジタル界での存在感は薄く、登場すれば恥をかく。

なぜインターネットはこれほど猫だらけなのか。

最もよく引用されるのが、猫類は外を一緒に散歩する相手ではないからという説だ。猫が外を歩くときはひとりで歩く。だから飼い主は相棒を見せびらかしたいと思う。「インターネットは猫にとってのドッグラン。私もほかの猫好きと交流するため猫をフォローしている」。フリスキー広報のナイキー・ロバーツさんはそう話す。

猫独特の神秘性を挙げる専門家もいる。猫は古代エジプトで神としてあがめられ、昔の日本では化け猫として恐れられ、世界各地で魔法と結び付けられている。

ワッフルズの飼い主のデレク・リウさんは言う。「猫はエキセントリックな生き物」「1日中風呂場に座ってトイレの水をじっと眺めている猫もいる。猫は飼い主が思ったような反応をしてくれるとは限らない。来たければ来るし、来させたいと思っても来てくれない」

ネットで猫の存在感がこれほど大きいのはそれが究極の理由かもしれない。風変わりな執着心があって奇妙なことに関心を持ち、社交性の薄い不可解な引きこもりの個体。「インターネットの前でほとんどの時間を過ごす人たちとの共通点は多い」とデジタル戦略に詳しいジョシュア・グリーンさんは解説する。「デジタル世界の中心に猫がいるのは、そこに住む人たちと文化的なつながりがあるから」

犬を愛する正真正銘のオタクの立場から言わせてもらうと、これは不公平で不合理だ。犬は忠実な愛すべき仲間だ。これに対して猫は食料源として、そして必要に応じて要求を聞いてくれる相手として飼い主の存在を大目に見ているにすぎない。犬は飼い主を喜ばせようとしてくれる。

一方の猫はといえば、物を落として平然としている。犬は訓練すれば助けになるし役に立つ。猫は飼い主が死んで1日たてば食べてしまう。要するに、飲み物に例えれば犬はホットココア、猫はグレープフルーツジュースだ。

キーボードの上を歩いて電気製品の上に液体をこぼし、装飾以外にこれといった利用価値のない社会的拒絶と感情的引きこもりの根源をもう1匹、本当にオタクたちは必要としているのか。

私たち犬オタクはそうは思わない。今こそ団結を。引き綱以外に失うものは何もない。



本記事はウォール・ストリート・ジャーナルのコラムニスト、ジェフ・ヤン氏によるものです。記事における意見や見解はすべてヤン氏個人のものです。

最終更新:4月12日(日)15時31分

CNN.co.jp

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コメント: 1
  • #1

    ドエスデブ (火曜日, 14 4月 2015 22:46)

    可愛い。猫大好き(≧∇≦)