【おかんの最期、病院のベッドで】青空と向日葵の会

【おかんの最期、病院のベッドで】

おかんが亡くなった。

脳の病気で家で倒れてそのまま入院して、後日医者から『もって2週間』って言われて。
入院してからあんなに元気だったおかんが見舞い行くたびに弱ってきて。

4日目くらいに体に管繋がれて、声掛けると反応はするんだけど、口も聞けなくなってて。
それから数日経って、声掛けても反応しなくなって、手を握ると握り返してくるんだけど多分もう俺のこと分かっていないと思う。
おとんもアニキの事も返事は返って来ない、手を握ると握り返すだけ。

1週間くらい経って、病室がかわった。病院の最上階に移された。
よく入院して病室が上の階に行く人は、『もう長くないって・・天国に近い所だから。』

他に入院している患者さん見ると、おかんによく似た感じの人たちがベッドで寝ていて、面会に来ている人たちも
なんだか見守るような感じで接していた。

おとんが危篤になる前に、親戚を呼ぼうって言っておかんの妹たち、おとんのあにきを呼んできた。
遠い所に住んでいたけど、おとんが『生きているうちに会ってほしい』って言ったら駆けつけてくれた。

病院へ行っておとんのあにきがおかんに語りかけるように話しをして、手を握ったら
もう衰弱してしたおかんの目がパチッって開いて、パチパチまばたきして。おとんの呼びかけにも反応がなくなっていたのに。
おとんのあにきとおかんが会うのは30年ぶりなのに、声聞いただけで、たぶん・・おかんビックリして反応したんだろうな。

病室が一瞬なごやかになった。

次の日、おかんの体が黄色くなっていた。
『人は死ぬ前になると体が黄色く変色するんだって。』

みんなそろそろ覚悟しなきゃいけないって。その日の夜家族でそんな話をした。

翌日朝方、病院から電話が掛かってきて、『危篤になったので病院まで至急来てください。』

急いで病院向かって、そのまま受付もせず病室まで通されて、ベッドの上のおかん見たら、もう静かに眠っていた。
元気な頃から、せっかちな性格だったけど死に際までせっかちで・・俺ら待たずに逝ってしまった。

おとんが『きっと・・あにきの顔見たから安心したんじゃないかって。』

おかんの顔。家で倒れた時にあごに傷が出来たんだけど、ちょっと痛々しく残っちゃって。
きっとすげえ痛かったんだろな。

傷治る前に逝っちゃって・・最後まで・・せっかちだよおかん。

最後、さよならくらい言わせてほしかった。