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株価史上最高値を記録した35年前「あの頃」どんな時代だった?

22日、東京株式市場の日経平均株価は、1989年12月につけた史上最高値を更新し歴史的な節目を迎えました。

35年前は「バブル絶頂期」。株価や地価が高騰し、日本の企業がアメリカの名門企業を買収するなど“ジャパンマネー”が市場を席けんしていました。

当時、日本はどのような時代だったのでしょうか。
主な出来事から振り返ります。

ー 1989年(平成元年ー

 

【1月8日】元号が昭和から平成に

1989年1月8日、60年以上続いた「昭和」の元号が改元され、新たに「平成」の時代が始まりました。

【2月13日】リクルート事件 創業者ら逮捕

就職情報誌を中心に急成長したリクルート社が値上がり確実とされた未公開株を政財界や官僚に配った汚職事件。創業者の江副浩正氏らが逮捕されました。

その後、17人の政治家が秘書や本人などの名義で未公開株を譲り受けていたことが明らかになり政局を揺るがせました。

【4月1日】“消費税”スタート

「消費税」が導入されたのもこの年です。

この時の税率は「3%」。高齢化社会を控え、福祉財源を安定的に確保することなどが狙いでした。税率はその後、5%、8%、そして2019年10月から10%と引き上げられました。

 

【4月21日】任天堂「ゲームボーイ」発売

携帯ゲーム機として多くの子どもに親しまれ、ロングセラーになりました。

【5月2日】東証一部上場企業の時価総額 500兆円超え

東京証券取引所一部上場企業の時価総額(この日の終値にそれぞれの株数を掛けた総額)がこの日、501兆3664億円となり、初めて「500兆円」の大台に乗りました。

ニューヨーク証券取引所の時価総額は3月末時点で343兆5222円で、東京市場は大差で世界一に。

【5月31日】日銀 公定歩合引き上げ

日銀はバブル経済による景気過熱(地価や株価の異常な高騰)を抑えるため、金融機関に対して直接資金を貸し出す際に適用される金利「公定歩合」を引き上げました。2.5%だった公定歩合は1990年の6%まで段階的に引き上げられました。

バブル崩壊のきっかけの1つと言われています。

【6月4日】中国で天安門事件

民主化を求める学生や市民らが連日デモや集会を開き、中国・北京中心部の天安門広場に座り込む中、中国政府は戒厳令を敷きました。

この日、天安門広場に戒厳部隊の戦車が突入し、広場を埋め尽くした学生や市民に発砲し、多数の死者が出ました。

【6月24日】美空ひばりさん死去

歌謡曲の「女王」と呼ばれた国民的歌手、美空ひばりさんが亡くなりました。

戦後間もない昭和21年に少女歌手としてデビューし、「悲しき口笛」「越後獅子の唄」などが戦後の混乱期を生きる人々の心をとらえました。その後も「悲しい酒」など円熟味を増した曲を生み出し、地位を不動のものに。

この年の7月、「真摯な精進 歌謡曲を通じて国民に夢と希望を与えた」ことが功績とされ、国民栄誉賞が贈られました。

【8月3日】大学進学率女子が男子を上回る

この年の大学進学率は女子が史上最高の36.8%で男子の35.8%を上回りました。

【8月25日】女性初の官房長官誕生

官房長官が女性問題で辞任し、後任に森山真弓環境相が就任しました。

【9月22日】横綱千代の富士最多勝記録樹立

大相撲秋場所で横綱・千代の富士が965勝の最多勝記録を樹立し、翌年の名古屋場所では「1000勝」を達成しました。

【9月27日】ソニー米映画会社「コロンビア」を買収で合意

ソニーがアメリカで長い伝統を持つハリウッドの名門映画会社、「コロンビア・ピクチャーズ・エンターテインメント」を買収で合意。

また10月31日には三菱地所がニューヨークの「ロックフェラー・センター」を買収と発表するなど、“ジャパンマネー”が市場を席けんしました。

【9月27日】「横浜ベイブリッジ」開通

8年の歳月をかけて完成した「横浜ベイブリッジ」が、開通しました。2層構造で上は首都高速道路、下は国道からなり港湾物流を支える輸送路となりました。

横浜港のシンボルとして夜はライトアップされ港の夜景を演出しました。

【11月9日】ベルリンの壁崩壊

第2次世界大戦後の東西冷戦の象徴だった「ベルリンの壁」が、東欧諸国で起きた民主化運動のうねりを受け、崩壊しました。

2つの国の行き来が自由になった歴史的瞬間を東西両ドイツはもとより、世界が見守りました。

 

【11月21日】連合(日本労働組合総連合会)発足

日本最大の労働組合の中央組織「連合」が発足しました。日本の組織労働者の3分の2にあたる800万人が参加する新連合でした。

新しい連合の結成に先立ち、日本の戦後の労働運動の中で常に指導的な役割を担ってきた「総評」は解散し、40年にわたる歴史に幕を閉じました。

【12月29日】日経平均株価 3万8915円史上最高値(終値)

そして、平成元年最後の立ち会いで、日経平均株価は終値で過去最高値となる3万8915円をつけました。

ー 1990年(平成2年ー

 

そして、年を越した1990年。

この年、「バブル経済」が流行語になりましたが、バブルは絶頂期から徐々に崩壊へと向かっていきます。

【1月7日】「ちびまる子ちゃん」放送開始

静岡県清水市(現在の静岡市)を舞台に、小学校3年生の女の子のほのぼのとした日常を描いた作品。「平成のサザエさん」とも呼ばれ国民的な人気アニメになっていきました。

【1月13日】第1回大学入試センター試験

それまでの大学共通一次試験に代わり、最初の「大学入試センター試験」が行われました。16の私立大学が初めて参加したことなどから、志願者は全国で43万人に上りました。

【2月14日】ローリング・ストーンズ初来日公演スタート

イギリスが生んだ世界的なロックバンド「ローリング・ストーンズ」が初来日しました。1973年に日本公演が予定されていましたがボーカルのミック・ジャガーさんの過去の大麻所持が問題とされ、直前になって中止に。

それから17年、ついに初めての日本公演が東京ドームで行われ、日本のファンを熱狂させました。

 

【3月27日】「不動産融資の総量規制」大蔵省が通達

「地価は下がらない」という“土地神話”をもとに不動産投資が加熱、地価が高騰していました。この規制のあと、地価は大幅に下落しました。

総量規制は1991年12月まで続けられ、バブル経済崩壊の引き金の1つと言われています。

【3月31日】国際花と緑の博覧会開会

アジアで初めてとなる博覧会が大阪で開会しました。それまでの国際博覧会の中で最多の82か国と55の国際機関が参加。9月30日までの期間中に2312万人余りが来場しました。

【4月1日】太陽神戸・三井の両都銀合併

この合併により大手都市銀行(のちの“さくら銀行”)が誕生し、資本金で第一勧銀に次いで、当時、世界2位の巨大銀行に。

しかしその後、バブルが崩壊すると大量の不良債権を抱え、公的資金も導入されながら経営の立て直しを迫られることになります。

【5月29日】東京都の土地白書「マンションが平均年収の11倍に」

この日に発表された東京都の「土地白書」によりますと、都内の分譲マンション(広さ60平方メートル)の平均価格が、前年・平成元年の調査で7680万円と平均的なサラリーマン世帯の年収の11倍に達したということです。

都内でマイホームを持つことが難しくなり、狭い賃貸住宅に住む人も多く、その家賃も高騰しました。

異常なほどの地価の高騰で都内に住む人の居住環境の悪化が問題となり、「持てる者と持たざる者の資産格差が広がり社会的な不公平感を強める結果になっている」と指摘しました。

【8月2日】イラクがクウェートに侵攻

「クウェートはイラクの一部だ」と主張し、イラク軍が突如としてクウェートに侵攻しました。

これに対し、国連安保理はイラクの即時無条件撤退を求める決議をしましたが、フセイン大統領はこれを無視し、軍による占領を続けました。

【10月3日】東西ドイツが統一 ポスト冷戦時代の幕開け

「ベルリンの壁」崩壊から1年。東ドイツが、西ドイツに編入されドイツ連邦共和国が誕生しました。

この日、東西分断の象徴だったブランデンブルク門周辺を数万人が埋め尽くし統一ドイツの国旗となった西ドイツの国旗がうち振られました。

【10月6日】セガ「ゲームギア」発売

国内で初めてとなるカラー液晶を搭載したソフト交換式の携帯ゲーム機「ゲームギア」が発売され、1か月で60万台を売り上げました。

【11月12日】天皇陛下の「即位の礼」

皇居・宮殿で「即位の礼」と「即位礼正殿の儀」が執り行われました。

158か国、2つの国際機関の海外代表を含む2200人が参列しました。

【11月21日】任天堂「スーパーファミコン」発売

ゲーム機の歴史に名を刻む「スーパーファミコン」が発売されました。その後、1992年に発売された「ストリートファイター2」はアメリカを中心に海外でも大ヒットしました。

【12月2日】日本人初の宇宙飛行

TBS記者の秋山豊寛さんを乗せたソビエトの宇宙船「ソユーズ」がバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。宇宙飛行はTBSがソビエト宇宙総局とタイアップして企画したもので、秋山さんは宇宙から見た地球のようすをリポートしました。

【12月23日】オグリキャップ 有馬記念で有終の美

競馬ブームに火をつけた地方出身のアイドルホース、オグリキャップが引退レースとなる有馬記念にのぞみました。

この年は惨敗が続き、人気を4番目まで落としていましたが、その評価を覆して優勝。レースのあと、競馬場には「オグリコール」が響き渡り、競馬史に残る名場面となりました。

株価最高値更新まで34年2か月。この間、時代は平成から令和へと移りました。

当時を振り返ると、東西冷戦の終結や女性の社会進出など、今につながるキーワードもありました。
過去の出来事から今の時代が見えてきます。
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