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日本の文化デコトラに海外からの熱視線! 映画に有名ブランドまでもが「DECO-TORA」に注目していた!!

イタリアの高級ブランドのCMに登場!

 日本独自のカスタムトラック文化であるデコトラ。近年では公道を走っている車輌が少なくなったとよくいわれるが、市場や冷凍倉庫街、工事現場などトラックが活躍する現場では日常的に見かける。ステンレスや鉄&メッキで作られたバンパーやシートデッキなどの大型パーツをまとい、無数のマーカーできらびやかに飾られたその姿は、日中も夜も強烈なインパクトを放ち、子どもから大人まで多くのギャラリーたちを魅了してくれる。

 独特な造形のアートパーツ(トラッカーの間では「飾り」ともいう)は神社仏閣を彷彿させ、ギンギラ輝く電飾は盆踊りを思い出させる。いずれも「和」のテイストだ。

 そんなデコトラを海外の人たちはどのように見ているのだろうか? 近年では2021年の東京パラリンピックの開会式にて、デコトラを模した移動ステージに乗った布袋寅泰が登場するアトラクションが世界的に話題を呼んだが、それ以前からもジャパンカルチャー「DECO-TORA」として好意的な注目を集めているのだ。

 1989年に公開されたマイケル・ダグラスとアンディ・ガルシア主演、松田優作の遺作となった映画『ブラック・レイン』では、リドリー・スコット監督のオファーでデコトラが登場。

 さらに、2016年にはイタリアの高級ファッションブランド「グッチ」の秋冬キャンペーンムービーに日本最大のデコトラクラブ「全国哥麿会」のレンジャー4Eプラス5「美咲嬢」が起用され、座敷でシャボン玉を飛ばして遊んでいたモデルたちが電飾キラキラのデコトラに乗って東京のストリートを走り、歌舞伎町のパチンコ屋に向かうという不思議なシーンが演出されていた。

 その翌々年の2018年には、エナジードリンクとしてお馴染みレッドブルの動画サイトにて、MotoGPライダーのマルク・マルケス選手が箱根ターンパイクを走るという映像作品に、前出と同じく美咲嬢が登場。落葉舞い散るターンパイクをマルケスが駆るレプソル・ホンダのGPマシンとデコトラがランデブーする姿が美しいムービーで公開された。

 また、この作品には日本のモーターカルチャーを代表する車種として、ホンダ・スーパーカブとハコスカGT-R、1990年代の走り屋バイクたち、そしてRE雨宮チューンのRX-7「GReddy V」も登場。しかも、カブに乗るお蕎麦屋さんに扮するライダーは、全日本GP500ウイナーの五百部徳雄選手、さらに雨(アマ)さんことRE雨宮の雨宮勇美代表も出演するという豪華キャストになっている。

イギリスの国立博物館の特別展にも

 さらに、デコトラは欧州のアカデミックな分野にも進出。2019年にはイギリスの国立博物館「ヴィクトリア&アルバート博物館」が開催した特別展「Cars:Accelerating the Modern World」(日本語に直訳すると「クルマ:現代世界を加速する」)にて、日本最大のデコトラクラブ「全国哥麿会」を取材している。

「わたしたちが生きる世界を形づくる上でのクルマの役割」をテーマに、自動車130年の歴史のなかで世界にもたらしてきた社会的影響や文化について、実車やパーツ、広告ポスターなどを展示しながら探求していく、というその企画のなかのウェブ特集「Car subcultures: decotora, lowriders, and ‘spinning’」(クルマのサブカルチャー:デコトラ、ローライダー、そして『スピニング』)にて、アメリカのローライダーと南アフリカの「スピニング」というパフォーマンスとともに、同会の主催するチャリティイベントの模様や会長のインタビューなどの動画が全世界に公開された。

 このほか、アメリカCNNのWEB番組や世界的ミュージシャンのプロモーションビデオなどにもデコトラは次々と登場。さらに、同じアジアのタイでは日本のDECO-TORAをリスペクトしたトラックカスタムが流行している。そちらについてはまた稿を改めてリポートしたい。