残留第1号になった中野たむ
お家騒動に揺れている女子プロレス「スターダム」の中野たむが、団体残留を宣言した。団体は、多数のスターダム所属選手・スタッフに対する引き抜き行為があったという理由で、エグゼクティブプロデューサーを務めたロッシー小川氏(66)を2月4日付で契約解除。一方の小川氏は引き抜き行為を否定しつつも、新団体設立に向け動いていることを認めた。選手の選択に注目が集まる中、残留第1号に手を挙げた中野の思いとは――。
女子プロレス界の盟主を襲った激震に、ファンの間でも団体の先行きを不安視する声が上がっている。騒動の最中、本紙の取材に応じた中野は「正直、団体としては役職に就いてた人の処分について発表しないといけないし、しかるべき対処をしたと思いますが、それで十分だとたむは思う。後のことは大人同士、しかるべき形で話をつけたらいい」と冷静に語った。
小川氏が新団体設立に向けて動いていると明言したことで、分裂も危惧される。選手として不本意に団体が注目される現状に怒りをあらわにした中野は「こんなおじさんたちの戦いより、私たちスターダムの戦いでみんなを楽しませたい。だからたむはスターダムに残って、世界一の団体にする。それがたむロード第2章の目的地です!」とスターダムに残ることを明かした。
昨年10月にワールド王者だった中野は王座戦で左ヒザを負傷。長期欠場を強いられベルトを返上した。それでも1年間の功績が評価され東京スポーツ新聞社制定「2023年度プロレス大賞」で女子プロレス大賞を初受賞。その際、団体への恩返しを誓っていた。「欠場中、スターダムのファンのみんなや仲間に助けられた。スターダムに恩を返すと約束したので、この先スターダムがどうなってもたむがスターダムを守り続けなければという気持ちがあります」と改めて決意表明した。
くしくも中野は小川氏の〝最後の大会〟となった4日の大阪大会で、4か月ぶりにリング復帰を果たした。試合を振り返り「久しぶりのリングで直前まですごく緊張してたんですけど、入場した時にファンのみんなの顔が見えて、声援が聞こえて。やっぱりこのリングが私の生きる場所だなって思ってたんです」と笑顔を見せた。
また同大会では自身が返上したワールド王座戦を会場の後方で観戦。試合後は、現王者・舞華から「お前が限界突破できるまで待ってるよ」と声をかけられた。「赤いベルト(ワールド)の王者としても、やり残したことがたくさんある。欠場前に痛めていたヒジも治ったし休む前よりコンディションがいいんです。復帰したからにはスターダムの一番星に返り咲くことも決めてた」と王座奪還にも意欲を燃やす。
女子プロレス界のトップとして団体をけん引する覚悟の中野は「たむを育ててくれた小川さんにも、団体を大きくしてくれたブシロードファイトにも、どちらにも感謝しています」と語りつつ「私はスターダムが大好き。だからこんな話が気にならなくなるくらいたむが熱い戦いを見せて魅了する。これからもスターダムを守っていきます」と言い切った。
ファンの不安を一蹴すべく、悲壮な覚悟でたむロード第2章を歩む。
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