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打算も計算もないひたむきさが心を打つ【青空と向日葵の会】

【打算も計算もないひたむきさが心を打つ】
https://yuru2club.com/wp/?p=11453
京都のある和菓子屋の店員さんの話です。
創業者は思うところあって39歳で公務員を辞め、
和菓子店を始めました。
饅頭をつくり、観光バスの窓に向かって
売り歩くところから始めて、
苦労の末に会社を発展させました。
苦労の末に大きくした会社だから、
この社長さんは、商売において何が大切なのかを
腹の底から理解していました。
だから、何よりも社員には
「お客様に喜んでいただけるよう尽くしなさい」
と教えたそうです。
ある日、お菓子を買ったお客様が代金を払って、
時間を気にしながら急ぎ足で行きました。
ところが、肝心のお菓子を置き忘れていったのです。
気づいた女子店員は、
急いで後を追いましたがもう見あたりません。
その女子店員は、まだその店に就職して間もない人でした。
彼女はすぐにタクシーに乗って京都駅に向かいました。
店で交わしたやりとりから東京の人で、
何時の新幹線に乗るということを思い出したからです。
そこから先のこの女子店員の行動に驚かされます

の女子店員は、なんと発車寸前の新幹線に飛び乗ったのです。

入店間もない彼女の頭の中には、 「お客様に喜んでいただく」という社長の言葉が、 素直に浸透している。それだけでした。

彼女は、長い列車の中で懸命にお客様を捜し、 もうすぐ名古屋というところでやっと見つけました。

そのお客様は驚くやら感激するやらで、 何度もお辞儀をして礼をいい、 目頭を熱くしながら握手を求めて、 「君はこれからどうするの」と聞きました。

「お会いできて本当に嬉しかったです。  ちょうど名古屋ですので、京都に引き返します」 と言って彼女はホームに降り、 列車が見えなくなるまで手を振って見送ったのです。

このことを和菓子屋の社長が知ったのは、 彼女からの報告ではありませんでした。

そのお客様が感動して、ある雑誌に書いた記事を 和菓子店にも送ってくださったのです。

読んだ社長は、途中から涙で字が見えなくなりました。

創業者の“こころ”がそこにまだ生きていたからです。

頭で考えて行った親切は、 それほど深く人の心を感動させることはありません。

しかし、情に衝き動かされて我知らず取った行動は、 時として人の胸を強く打つようです。

そこには利害打算を忘れた“まごころ”があるからでしょうね。