山田康文くんと養護学校の向野先生との 合作と言ってよいかもしれません。
その詩はこちらです。
ごめんなさいね おかあさん ごめんなさいね おかあさん ぼくが生まれて ごめんなさい
ぼくを背負う かあさんの 細いうなじに ぼくはいう ぼくさえ 生まれなかったら かあさんの しらがもなかったろうね
大きくなった このぼくを 背負って歩く 悲しさも 「かたわな子だね」とふりかえる つめたい視線に 泣くことも ぼくさえ 生まれなかったら
ありがとう おかあさん ありがとう おかあさん おかあさんが いるかぎり ぼくは生きていくのです
脳性マヒを 生きていく やさしさこそが 大切で 悲しさこそが 美しい そんな 人の生き方を 教えてくれた おかあさん
おかあさんあなたがそこに いるかぎり
(山田康文)
そしてこの詩が完成した2ヶ月後、康文くんは亡くなりました。
前記した養護学校の向野先生は、 『お母さん、ぼくが生まれてごめんなさい』という本を著しました。
向野幾代先生は、こう述べています。
「あの子の詩は障害者が『ごめんなさいね』なんて、 言わなくてもすむような世の中であってほしい、というメッセージ。 今もこうして皆さんの心に、呼びかけているんですね。 いま、障害者の問題は、高齢者の方たちの問題でもあります。
『老いる』というのは、障害が先送りされているということ。 歳をとると、足腰が不自由になって車椅子が必要になったり、 知的障害になったり・・・。 健常者の方も、たいていはいつか障害者になるんですよ。 だから康文くんたちは私たちの先輩。 世の中をより良くするよう切り開いてきた、パイオニアなんです」
※山田康文さんは、昭和35年6月2日、奈良県桜井市で生まれました。 そして、昭和50年6月11日、天に召されました。 15歳の誕生日を迎えた直後でした。
参考:「お母さん、ぼくが生まれてごめんなさい」向野幾代著(扶桑社)
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