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頭がいいか一発でわかってしまう「2つの質問」 これからの時代に必要なのは質問をする力だ

ビジネスシーンで、日常の人付き合いの中で、一目置かれる人と話していて、ある種の共通点に気づくことはないだろうか。それは、その人が自分からはあまり話さず、代わりに「質問」で相手の話を引き出している、ということだ。
本稿では『頭がいい人、悪い人の話し方』著者・樋口裕一氏が近著『頭のいい人は「質問」で差をつける』の中で示した、質問を武器にしてコミュニケーションで得をするためのメソッドと、精度の高い情報を得るための質問のコツを、同書から抜粋、要約して紹介する。

コミュニケーション弱者の「救世主」

人間が生きていく以上、人との会話を避けて通ることはできないが、そうしたコミュニケーションに苦手意識を持ち、悩んでいる人は少なくないだろう。たとえば……

・相手の考えていることが読めず、会話の主導権がとれない

・もっと情報を引き出したいが、会話を深掘りできずに終わる

・一対一の打ち合わせや交渉ごとで、いつも言いくるめられてしまう

・会って話すたびに自分の評価を下げている気がする

自分は話し下手だからこうなってしまうのだと多くの人が思っているが、それは違う。コミュニケーション巧者は、うまく話すことよりも、コミュニケーションに便利な「あるものの使い方」を知っている。コミュニケーションに悩む人たちにとって、救世主となりうる「あるもの」。それが「質問」だ。

では、質問にはどのようなメリットがあるのか。

・うまく質問できれば、いい答えが返ってくる。質問がうまい人ほど精度の高い情報を得ることができる。
・質問によって相手のニーズがわかる。交渉や説得の場面では、質問によって相手の考えや思いがつかめるからこそ一歩踏み込んだコミュニケーションができ、距離感を詰め、労せず人を動かすこともできる。
・質問で会話の先手を打てる。こちらが話したい内容へとさりげなく誘導しながら会話のテーマを設定できる。
・雑談も怖くなくなる。ふとした沈黙も楽しめるようになる。
・質問をする人は間違いなく頭がよく見え、しかも、相手からの好意まで得られる。

 

これからは、「問う力」が大きな武器になる

これからますます、質問のうまさが成功や人生の豊かさに大きな影響を及ぼしていく。今はその転換期に来ていると言ってもいい。

ご存じのように、チャットGPTをはじめとする生成AIに注目が集まり、ビジネスで不可欠なものになろうとしている。チャットGPTから有益な情報を得るには、適切な問いが必要だ。より精度と密度の高い答えを得るためには何を尋ねればいいのか。今は「どう聞くか?」がますます問われる時代なのかもしれない。

生身の人間との会話では、AIとの会話同様に有益な情報をもたらしてくれるのみならず、質問によるコミュニケーションが人間関係にもよい影響を及ぼす。鋭い質問1つで、急に相手の口と心が緩み、相手の懐にするりと入り込める。反対に、たった1つの質問がきっかけとなり、一瞬で警戒モードになって口も心も閉ざしてしまうこともある。

うまい質問の仕方を知っていれば、交渉、説得、相談、打ち合わせ、雑談等、どのような状況においても、コミュニケーションを自分の土俵へと持ち込める。もちろん、相手にとって話しやすい環境を整えることにも貢献するので、会話が盛り上がり、互いにとって楽しく、有意義な時間を過ごせることになる。

質問は多くのメリットを持つ最強のコミュニケーション技術だが、ここでは、最も基本的な目的である「相手から有益な情報を得る」ために、使い勝手の良いフレーズと型を2つ、ご紹介しよう。

「正確にいうと、どういう意味ですか?」

これは、会話の中で使われている言葉の「定義」を聞く質問だ。得られる情報の精度をより高めるためのコツのひとつは、「3WHAT」の順序で質問を重ねていくことだ。

質問の3つのWHATとは、

「定義」=それは何か
「現象」=何が起こっているのか
「結果」=何がその結果起こるのか

これらを質問のポイントとして押さえるクセをつけよう。

「その○○という言葉を僕はこういう意味で使っているんだけど、あなたは違うのかな?」などの質問で定義を確認したあとは、「それによってどんな問題が起こっていますか?」と現象・現状を聞き、さらに、「今後、どんな結果がもたらされるのでしょう?」と、将来についての予想や展望を明らかにする質問を投げかける。

これらの質問によって、あなたが相手から得られる情報の精度は必ず高まるだろう。

「3W1H」を使った質問

「それはどんな理由で、いつから起こっている?」

次に、「3W1H」を使って相手の説明の欠けたピースを補うための問いの立て方をご紹介する。質問の3W1Hとは、

・「WHY・理由(なぜ?)」
・「WHERE・地理(どこで?)」
・「WHEN・歴史(いつから?)」
・「HOW・対策(どうすればいい?)」

これらも、精度の高い情報を引き出すために欠かせないポイントを押さえる質問の型だ。

「それはなぜ大切なのですか?」(理由)、「以前にいらした部署ではいかがでしたか?」(地理)、「うちの部署ではいつからやっているんですか?」(歴史)、「解決のためにはどんなシステムの導入が役立つのでしょう?」(対策)

こうした視点を外さぬよう、相手の話を聞きながら問いを投げかけていけば、実りある会議や打ち合わせを経て有益な情報を得ることができるうえに、あなたの評価も大きく上がり、一目置かれることだろう。