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どうしてもユニフォームを脱がずにいられなかった

【どうしてもユニフォームを脱がずにいられなかった】
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2010年に開催されたFIFAワールドカップ。
オランダ対スペインの決勝戦では、
世界中の人々の記憶に残る名シーンがありました。
試合は0対0のまま延長戦の後半に突入します。
そして後半11分、スペインのイニエスタ選手が
右足で放ったシュートがオランダゴール左隅に突き刺さりました。
スペインがついに1点を先取します。
その瞬間、イニエスタ選手はスタンドに駆け出しながら、
ユニフォームを脱いでしまいます。
ゴールを決めた後にユニフォームを脱ぐパフォーマンスは、
定番のような感じもしますが、
FIFAの規定では違反行為と定められています。
やはり、彼には審判から
イエローカードが突き付けられました。
ただ、イニエスタ選手にはどうしても、
ユニフォームを脱ぎたい理由があったのです

ニエスタ選手のユニフォームの下のアンダーシャツ。

それには、こんなメッセージが記されていました。

ダニ・ハルケは永遠に我らとともに

ダニエル・ハルケは、U-21スペイン代表にも選ばれ、 招来を期待されていたサッカー選手でした。

しかし、遠征中に26歳の若さで、 心臓発作により急死してしまいます。

彼らは別々のチームでしのぎを削り合うライバルであり、 しかし、ピッチを出れば大の親友だったのです。

ふたりはユース代表時代のチームメイトで、 家族ぐるみの付き合いもありました。

ライバルチームで急成長を見せていたハルケが、 A代表入りも間近と言われており、 イニエスタはいつかハルケと共に、 代表のユニフォームを着てプレーするのが夢でした。

そんなイニエスタ選手、 違反を承知の上で、亡き友人に ゴールパフォーマンスを捧げたのです。

ハードな決勝戦であったにもかかわらず、 イニエスタ選手はゴール後に警告を受けるまで、 ラフプレーを控えていました。

イエローカードを1試合で2枚受けると退場になってしまいます。

それは、ゴールを決めた後にユニフォームで警告を受けても、 チームに迷惑をかけないようにするためだったのです。

決勝戦から4か月後、イニエスタ選手はアンダーシャツを、 ハルケが所属していたクラブチーム「エスパニョール」に寄贈しました。

現在はエスパニョールのホームに展示されています。

寄贈したときのイニエスタ選手の談話です。 「このシャツはここにあるべきものだ。  あの得点と共に、ハルケも人々の心に  ずっと残り続けるだろう」