· 

戦地で結ばれた一人と一匹の友情【青空と向日葵の会】

【戦地で結ばれた一人と一匹の友情】
https://yuru2club.com/wp/?p=9847
2003年から始まったイラク戦争は、
治安の悪化による戦闘が長く続き、兵士も住民たちも、
緊迫と恐怖の日々を送ることになりました。
しかし、そんな状況の中にも心温まる
エピソードが生まれていました。
2007年、イラクに駐在していたアメリカ海兵隊の
ブライアン少将は、1匹の野良犬と親しくなりました。
その犬は、番犬として威厳を持たせるためか、
耳が切り取られていたので、ブライアンさんは、
その犬に「Nubs(こぶ)」と名付け、可愛がるようになります。
ただ、規則で駐在中にペットを飼うことは厳禁。
ブライアンさんは、その関係を友だち程度に
留めておこうと考えていたそうです。
しかし、Nubsはブライアンさんに癒しを与え、また、
ブライアンさんは動物を愛する余裕のない人間に虐げられた
Nubsを、ときには海兵隊の規則を破ってまでも救いました。
1人と1匹の関係は、日を追うごとに深くなっていきます。
ところが、ブライアンさんに約120キロ離れた
ヨルダンの国境近くへの異動が命じられました。
さすがにNubsを連れていくわけにもいかず、
ブライアンさんは泣く泣くNubsに別れを告げることにします。
別れの日、Nubsはブライアンさんの乗る車を
懸命に追いかけましたが、
その距離は離れていくばかりでした

しい任地に着いて2日ほど過ぎたある日のことです。

「少将!こちらに来てください!」

部下の叫び声に応じて外に出たブライアンさんは、 信じられない光景を目にします。

それは、ボロボロになりながらも、 跳びはねて再会を喜ぶNubsの姿でした。

Nubsの身体の汚れや傷を見ると、 大変な旅路であったことは明らかでしたが、 どうやって約120キロの、それもほとんど砂漠の道程を 歩んできたのかはわかりません。

しかし、確かにNubsは、 ブライアンさんのもとにたどり着いたのです。

ブライアンさんは、Nubsとの関係を断つことはできないし、 断ちたくもないと思います。

そこで、アメリカの家族に 何とかアメリカにNubsを運べないかと相談しました。

そして、ブライアンさんの家族はインターネットを通じ、 アメリカ中に呼びかけて寄付を募り、 イラクからアメリカにNubsを移住させる費用、 5,000ドルを集めることに成功します。

Nubsがブライアンさんの家に到着してから1カ月後、 ブライアンさん自身の帰国も決定し、 1人と1匹は再会を果たしました。

それから、ブライアンさんとNubsは 幸せな生活を送ることができたそうです。

参考本:「寝る前に読んで下さい2」(アルファポリス文庫)     著:佐藤光浩