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脚本家の山田太一さん死去 89歳「ふぞろいの林檎たち」

山田太一さん

ドラマ「ふぞろいの林檎たち」「岸辺のアルバム」などで知られる脚本家の山田太一(やまだ・たいち、本名=石坂太一=いしざか・たいち)さんが11月29日、老衰のため川崎市内の施設で死去した。89歳だった。告別式は近親者で行う。喪主は長男の石坂拓郎さん。

東京都出身。早稲田大卒業後、松竹大船撮影所に入り、木下恵介監督に師事した。1965年に独立し、テレビドラマの脚本家として「男たちの旅路」「獅子の時代」「想い出づくり。」「早春スケッチブック」など数々の作品を手掛けた。

「岸辺のアルバム」(77年)は民家が流された多摩川の増水を題材に中流家族の崩壊を描いた。就職や恋愛に悩む学生らの青春群像劇「ふぞろいの林檎たち」シリーズ(83〜97年)などテレビ史に残る名作を残した。

85年に菊池寛賞。小説家としても活躍し、「異人たちとの夏」で88年に山本周五郎賞を受賞した。映画「少年時代」は91年日本アカデミー賞最優秀脚本賞。向田邦子賞受賞ドラマ「日本の面影」を戯曲化するなど舞台作品にも取り組んだ。

山田さんの家族は1日「仕事に対しては常に厳しく真剣でしたが、私たち家族にはユーモアにあふれ、楽しく優しい父として心に残っています。これからも父の作品を楽しんでいただけたら幸いです」とのコメントを発表した。

脚本家の山田太一さん死去「岸辺のアルバム」「早春スケッチブック」
2023/12/01 FNN
「岸辺のアルバム」や「早春スケッチブック」「ふぞろいの林檎たち」など数々の名作ドラマで知られる脚本家の山田太一さんが、11月29日老衰により亡くなった事が分かった。89歳だった。
山田太一さんは1934年に東京で生まれ、早稲田大学卒業後に松竹大船撮影所に入所。木下恵介監督の助監督につき、1965年には独立してフリーに。テレビドラマの脚本家として、「男たちの旅路」「岸辺のアルバム」「獅子の時代」「早春スケッチブック」「ふぞろいの林檎たち」などの話題作で多くの賞を受賞した。
また小説家としても活躍し、「異人たちとの夏」は、イギリス映画「All of us Strangers」として2024年春に公開予定だ。
ご遺族のコメントは以下の通り。
突然のご報告となりますが、かねてから療養中でありました山田太一は、令和5年11月29日にお世話になっていた川崎市内の施設にて老衰の為に息を引きとりました。享年89歳。とても安らかで静かな旅立ちでした。
山田は仕事に対しては常に厳しく真剣でしたが、私たち家族にはユーモアにあふれ、楽しく優しい父として心に残っています。
ファンの皆様、メディアの皆様、長い間父を支えていただき、誠にありがとうございました。これからも父の作品を楽しんでいただけたら幸いです。
本人の希望により、葬儀は家族のみで執り行う予定です。お別れの会などを開催する予定は、現時点ではございません。どうか静かに見守っていただければ幸いです。
長谷正人
『敗者たちの想像力 脚本家 山田太一』(2012)
山田太一氏の訃報に接し、改めて手に取った1冊が標記です。
本書は、1970年代から80年代を中心とした,山田太一氏のテレビドラマ作品群を「敗者」をキーワードに分析し,そこに日本社会の別の可能性を探った著書です。
文芸批評家の加藤典洋氏のキーワードにあった「敗者の想像力」や、中村秀之氏の映画論『敗者の身ぶり』にも通底するような主題があると捉えて手にしましたが、作者はここでの主題を次のように述べています。
「あり得たかもしれない別の可能性とは,敗者が敗者であるがままに肯定され,光輝くような社会空間の可能性である.若者,老人,障害者,主婦といった私的空間で生きるマイナーな人々が,公的空間において勝者として自らを輝かせることによってではなく,私的空間に弱者として生きるままに輝くことのできるような別の可能性はないのか.それを彼のドラマ作品を読み解くことを通して探求した」
それは、山田太一氏の一連の作品を読み解くことで「敗者」の視点や想像力に着目し、「負ける」ということの意味について映像分析を通して考えることですが、サブカルがメインカルチャーとして消費されていく現代社会に異を唱え、サブ・カルチャーがサブ・カルチャーとして輝くような別の文化的可能性を探求するという目的が提示されています。
そこにはルサンチマンの態度ではなく、「敗者」であることを恐れずに、自分の敗北を肯定的に受け止めること(サブの位置に立つこと)を出発点とすることのようです。
目次は次の通りです。
第1部 敗者たちのドラマ(遅刻者が書く山田太一論;「敗者」としてのテレビ脚本家
;『岸辺のアルバム』―劣等感を生きる若者たち
;『男たちの旅路』―「敗者」としての戦後日本)
第2部 後衛的作家としての山田太一(「敗者」のメタ不条理劇;前衛劇の後を描くドラマ―寺山修司と山田太一
;『早春スケッチブック』―「敗者」の逆転劇;不機嫌なドラマ―「シラケの時代」のテレビドラマ
;『それぞれの秋』―後衛のヌーヴェル・ヴァーグと内気な青年)
第3部 ポストモダン社会とテレビドラマ(『輝きたいの』―私生活とテレビの輝き;テレビドラマと消費社会
;『思い出づくり。』―キャラが立つこととリアリズム
;『シャツの店』―鶴田浩二というキャラクター;ドラマにおける一般性と固有性―大型ドラマの時代と山田太一)
第4部 テレビメディアという神秘―怪異譚の可能性(キツネに化かされる話;『日本の面影』―敗者の思想としての怪異譚
;『異人たちとの夏』―優しい幽霊たち;孤独な声のコミュニケーション;『本当と嘘とテキーラ』―テレビに化かされる話)
第5部 終わった後からドラマが始まる(『終りに見た街』―戦時下を生き直すメタ・ドラマ;終わった後からドラマが始まる
;『3人家族』―悔やむ恋愛劇;『墓場の島』―アイドル引退宣言のドラマ;敗者の想像力)
改めて、こうした山田作品を観直しながら、ご冥福をお祈りしたいと思います。
「ふぞろいの林檎たち」「男たちの旅路」「シャツの店」「獅子の時代」…
素晴らしい作品を沢山残してくださいました。
山田さんの描く台詞ひとつひとつには、魂が込められていました。
独特な言い回しに、人間の悲しみややるせなさ、おかしみが詰まっていて、とんでもないリアリティを生み出していたと思います。
唯一無二の、本当に素晴らしい脚本家でした。
心から御冥福をお祈り致します
ありがとうございました。
鼠小僧Zero吉より。
「ふぞろいの林檎たち」のオープニングでリンゴが手の上で弾んでいとしのエリーが流れるとワクワクしていました。
「岸田のアルバム」もテーマは重いけれどすごく色気のあるドラマで、子ども心にこっそり見ている感覚でした。
「獅子の時代」は大好きなドラマだったのですがこれも太一さんのドラマだったのですね。
思春期から青春時代にこんな素敵なドラマを見ながら過ごすことが出来て本当に良かった。ありがとうございました。
心から御冥福をお祈り致します。
加齢なる親父より。

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コメント: 44
  • #1

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:09)

    ふぞろいの林檎たちで、大学生ってこんな感じなんだなという思いで観ていたのを思い出しました。岸辺のアルバムも、やはり人間らしさがうまく表現されていた素晴らしいドラマでした。お悔やみ申し上げます。

  • #2

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:09)

    彼の書いたどの作品を見ても山田太一色が色濃く滲み出る稀有な脚本家だった。昭和を生きた人なら、記憶に残る作品は必ずあるはず。小説も素晴らしかった。学生時代、1度、新宿の喫茶店で1人コーヒーを飲んでいらっしゃったのをお見かけした。大ファンだったので声をおかけしたかったが、失礼かと思い、同じ空間を幸せに思うことで終わったのが良き思い出。
    これを機会に彼の名作の数々をの再放送を望みます。合掌。

  • #3

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:10)

    独特の言葉の置き方、使い方。それが微妙な人間の性格や間合い、感覚、価値観を表現していた。みんな優しい人達なのに、すれ違いや勘違いでズレていく関係。そして、最後には分かり合える。その分かり合えた時がもう間に合わない、遅すぎたとしても、そのことがわかるだけで人間の成長となる。彼の描く登場人物全てが主人公で、それぞれがそれぞれの道を歩く。どれもこれも珠玉の素敵な脚本でした。

  • #4

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:10)

    数々の名作を生み出した山田氏のご逝去は残念。しかしながら、記事に載っていたご遺族のメッセージが秀逸。故人について「近況、亡くなった時の最低限の様子と背景、そして故人に成り代わってのファンやメディアへのお礼」が、丁寧な言葉で過不足なく見事に綴られていた。文末には葬儀を家族で行う旨と、それに伴って構わないで欲しいという要望も盛り込まれていたが、いずれも控え目かつ丁寧さに満ちているため失礼な印象は全くない。こういう姿勢であればこそ尊重もされ、本当の意味で静かに見守ってもらえるのだと実感。故人はもちろんご遺族の良識やお人柄が偲ばれる名文だと感じた。
    メディアとの付き合い方のお手本のようなパターンであり、実に感服した。
    改めて、山田氏のご冥福を心よりお祈りしたい。

  • #5

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:11)

    山田太一というと、ふぞろいの林檎たちや岸辺のアルバムという事になるが、最近NHKで再放送していた男たちの旅路もすごく良かった。鶴田浩二演じる特攻隊員の生き残りの男がガードマンとして生きる話。最近は残念ながらああいうちゃんとしたシナリオを書ける作家がすっかり減ってしまった。
    ご冥福をお祈り致します。

  • #6

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:11)

    岸辺のアルバムは思い出深いドラマでした。正直言って、まだ子供14歳くらい
    でよく分からない部分もありました。
    印象深い多摩川の水害、家が流れていくシーン。ジャニスイアンの歌、キャスティング、どっちが最初だったか忘れましたが、国広富之さんと松崎しげるさんの「トミーとマツ」もあったからかもしれません。何と言っても、八千草薫
    さん、竹脇無我さん 中田嘉子さんなど。
    そんな前から活躍されていた方なんですね?
    改めて、ありがとうございます。お疲れさまでした。

  • #7

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:12)

    人の心の機微や時代の陰影をこまやかに描いた素晴らしい作品をありがとうございました。ふぞろいの林檎たちはもちろん、岸辺のアルバム、想い出づくり、今朝の秋も心に残っています。
    初めて観た「男たちの旅路」の車輪の一歩は、子どもながら涙が止まらず大変感銘を受けました。大学時代は山田太一さんのドラマを卒論に取り上げさせていただきました。
    作品を知らない方々のためにも、ぜひアンコール放送を切望いたします!

  • #8

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:12)

    カメラのアングルがやや下にあり、映像の顔が他と違う演出もあったり、この方だ、と思わせるカットも多かった。
    人間臭さの表現もそれまでと違った青臭さを感じた気がする。
    後輩たちが良い影響を受け、活躍してほしいです。

  • #9

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:13)

    山田太一、倉本聰、向田邦子、市川森一とスゴい脚本家がドラマを書いていた時代。
    彼らに憧れ私も脚本家を目指したが、才能は100分の1もなかった。唯一、佳作を取ったコンクールで審査員の山田先生が最も高い点を付けてくれた事が、私の生涯の誇りです。
    ありがとうございました

  • #10

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:13)

    ふぞろいの林檎たちの続編が絶対に観られないのが悲しい。今でもあのメンバーの人生は今どうなっているのだろうと空想することがあります。一生懸命生きているのにうまくいかない、それが切なくて自信のない自分にも当てはまり、ちょっとだけ自分だけじゃないんだと救われる思いもしました。ありがとうございました。ご冥福をお祈りします。

  • #11

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:14)

    もうご高齢なので、どうなさっているかと思っていましたが…
    安らかな最期という事で寂しくはありますが安堵しました。
    想い出づくり、ふぞろいの林檎たち
    特に好きなドラマです。
    想い出づくりが今配信されてますので懐かしく見ています。
    山田先生の新作ドラマを追いかけるみたいに見てました。
    あの頃は良かったな。
    先生、ありがとうございました。
    悲しいですが、御冥福をお祈り致します。

  • #12

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:14)

    人の心の機微や時代の陰影をこまやかに描いた素晴らしい作品をありがとうございました。ふぞろいの林檎たちはもちろん、岸辺のアルバム、想い出づくり、今朝の秋も心に残っています。
    初めて観た「男たちの旅路」の車輪の一歩は、子どもながら涙が止まらず大変感銘を受けました。大学時代は山田太一さんのドラマを卒論に取り上げさせていただきました。
    作品を知らない方々のためにも、ぜひアンコール放送を切望いたします!

  • #13

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:15)

    30年ほど前、会社の講演会に来ていただいたことがありました。
    講演も終わり、主催者との懇談も終わった頃「タクシーをお呼びしますね」と申し上げたところ、「ぼちぼち歩いて帰ります。人をみるのが好きなので」と仰られました。 
    あの素晴らしい脚本の数々は、日常的に街ゆく人々を観察されたりして生まれるのだな、と思いました。すごい方なのにとても気さくで素敵な方でした。ご冥福をお祈りします。

  • #14

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:16)

    男たちの旅路 ふぞろいの林檎たち 獅子の時代など、ホームドラマはもちろんですが、群像劇においても主人公の葛藤が台詞の端々から感じ取れるドラマこそ山田太一さんのドラマの印象です。逆に倉本聰さん、鎌田敏夫さん、市川森一さんらのドラマはキャラを包むストーリーの世界観が主たる作りに捉えます。日本のドラマ界を牽引していた山田太一さんのご冥福をお祈りします。

  • #15

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:16)

    山田太一さんは『男たちの旅路』が好きだった。鶴田浩二さんと森田健作さんや水谷豊さんや桃井かおりさんが劇中で衝突するのが新鮮だった。『車輪の一歩』では当時まだ社会的に広く認知されていなかった身体障害者問題を取り上げていて、エンターテインメントでありながら深く考えさせられたものだ。
    『ふぞろいの林檎たち』は間隔を空けながらも何シリーズか作られ、登場人物のたちの成長を確かめられるのが楽しみだった。新作が観られなくなるのはたまらなく寂しい。
    ご冥福をお祈りします。

  • #16

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:17)

    岸辺のアルバムは思い出深いドラマでした。正直言って、まだ子供14歳くらい
    でよく分からない部分もありました。
    印象深い多摩川の水害、家が流れていくシーン。ジャニスイアンの歌、キャスティング、どっちが最初だったか忘れましたが、国広富之さんと松崎しげるさんの「トミーとマツ」もあったからかもしれません。何と言っても、八千草薫
    さん、竹脇無我さん 中田嘉子さんなど。
    そんな前から活躍されていた方なんですね?
    改めて、ありがとうございます。お疲れさまでした。

  • #17

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:17)

    松竹から独立した頃の作品という『二人の世界』、見ていて「甘いな〜」と思う部分はあるが、主人公の友人の「(主人公二人のこれからが)バカみたいに上手くいってほしい」という内容の台詞に象徴される様に、頑張れ若い人、というメッセージがストレートに出ていて、それがよかった。
    『男たちの旅路』は、山田さんの視点もさることながら、俳優の活かし方にとにかく感心した。
    視聴者が「鶴田浩二」という俳優に持っているイメージでキャラクターの厚味が倍加され、物語により奥行きを持たせていた。
    俳優と演出家がそれに応えて見事に成功していたが、それだけキチンと描ききろうと思わせる力のある脚本だったという事だろう。

  • #18

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:18)

    人間の心の機微を言葉に紡ぎ、映像化にしてもその世界が壊されず伝わってくる大好きな作家さんでした。ドラマも小説も楽しませていただきました。岸辺のアルバムは本当に幼い頃が初見で、深い内容など何も分からなかっただろうにとても心に残っていました。何か災害があったら、二度と取り戻せないアルバムだけは持ち出さないとと心にあるのはこのドラマの影響です。(もちろん命最優先だけれども)
    これからも遺してくださった作品を何度も楽しませていただきます。

  • #19

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:18)

    今三十代です。
    高校生の時、ある選択科目の授業で、3週にわたって『俺たちの旅路』を見せてくれました。
    突拍子もなく映像を見ることになったので、最初は意味が分かりませんでしたが、戦中を生きた人達が現役で働いている社会や当時の社会情勢や問題を織り交ぜた作品を見て衝撃を感じたことを覚えています。
    特に第1話の『非常階段』と12話だったか『車輪の一歩』斎藤洋介さんが印象に残っています。
    何か月か前にBSで俺たちの旅路シリーズを再放送していましたので観ましたが、鶴田浩二さんの何とも言えない哀愁がかっこよかったですね。

    山田太一さんのご冥福をお祈り申し上げます。

  • #20

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:19)

    日本のテレビドラマ史に残る作品を数多く発表され、今見直しても心に訴えるものばかりですね。山田太一脚本のドラマがあると、チャンネルを合わせてみていました。
    寺山修司と同じ年で大学の同級生でもあり、作風は全く違うものの、お互い刺激を受け合う仲で、寺山がテレビやラジオドラマの脚本を書かなくなったのは、山田さんの才能に勝てないと感じた為という話を聞いた事がありますが、それ程凄い方だったんだなぁと改めて感じメス。
    「早春スケッチブック」や「獅子の時代」など、追悼として再放送されないかなと願っています。
    数々の名作を有難うございました。ご冥福をお祈りいたします。

  • #21

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:20)

    個人的には山田太一さんと言えばまず「男たちの旅路」を思い出します。鶴田浩二さんは決して上手い役者とは思わなかったけれど、この不器用で真摯な特攻帰りの役はハマっていました。戦後警備員の仕事をしながらも戦争がどこから始まったのかを考え続ける男と戦争が遠い若者達のすれ違いと葛藤のやり取りが毎回毎回刺さりまくりでした。私も戦後生まれですが、失われつつあるこの感情感覚は後世に伝えて行くべきではと思ったのを覚えています。

  • #22

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:20)

    残念で仕方ありません。

    久世光彦さん。向田邦子さん。山田太一さんが「ドラマのTBS」を築いた方だと思います。

    「岸辺のアルバム」は名作です。新聞小説で連載されていました。

    私はまだ小学生でしたが、幸せだった家族の崩壊が描かれています。

    世代的には「ふぞろいの林檎たち」がドンピシャです。

    オープニング。サザンのいとしのエリーが流れ

    沢山の手から林檎が上へ跳ねて舞い上がる。

    屈折した若者の葛藤が、等身大に染みました。

    1番好きなのは「想い出づくり」

    田中裕子さん。古手川祐子さん。森昌子さん。24歳の女性のそれぞれの恋。

    まだ無名だった田中美佐子さんが「田中美佐」の名前で出ていました。根津甚八さんが素敵すぎて

    毎週、楽しみに観てました。昭和のドラマは丁寧に作られていました。

    今の若い俳優さんのドラマは、すーっと入ってこない。

    素晴らしい作品をありがとうございました

  • #23

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:21)

    山田太一さんの作品はいずれも思い出深いのですが、なかでも『早春スケッチブック』は忘れがたいです。
    大好きな俳優山崎努さんも出演されていて、山崎さん著『俳優の肩ごしに』(日経新聞〈私の履歴書〉連載をまとめたもの)にも、「充実した現場だった」「(このドラマの役が)最も好きなキャラクターの一つ」「このドラマ以降、山田さんからの出演依頼には無条件で応えることにしている」…などの記述がありました。
    人間の深く繊細な機微や業を、日常を通して描く稀有な優れた脚本家でいらっしゃいました。
    心からご冥福をお祈り申しあげます。

  • #24

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:21)

    昔の著名な脚本家さんは、松竹映画からテレビに変わっても人間中心作ばかりでした。木下恵介アワーも良く視てました。代表作は、沢山ありますが、『おやじ太鼓』
    『三人家族』····やはり今も再放送ローカル関西では、時代劇『水戸黄門』ОP主題歌も木下惠介氏書かれ記念館もfacebookか?記念の記事かなんかに掲載されてました。
    やはり素晴らしい脚本家さんばかりで、安心してドラマを視てました。昔は、もう1回いやいや何回も見たいと思うドラマばかりでした。
    これこそ❲食い入る様に❳って思うホームドラマ、時代劇ドラマが、テレビ移行しても素晴らしい脚本家さんはОPから視るがわを見られて配役になる俳優さん誰にするかもちゃんとピッタリと当てはめて書かれてました。

  • #25

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:22)

    ドラマのお仕事については皆様よくご存知と思いますが、著作の話を。
    「親ができるのは、『ほんの少しばかり』のこと」は、私の子育てバイブルでした。「子育ての目標は、子どもから『もう親はいらない』と言われること」という一節があったから、辛いことがあっても支えになりました。ドラマ作品も大好きですが、著作も味わい深いです。
    もう、山田太一さんの新作ドラマは見られないんですね。これまでの名作の数々に感謝して、ご冥福をお祈りします。

  • #26

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:22)

    不揃いの林檎達は、ちょうど学生時代と就職が重なっていて、東京の学生はこんな感じなのかな、と地方にいた私は憧れと共感で見ていました。
    その後のトレンディドラマのようなオシャレでもなく、格好もいいわけではない。また青春の門のような時代に翻弄されて苦しむ訳でもない。
    時代背景を織り交ぜつつ、若者あるあるの悩みや課題を上手く描いてくれて共感できました。
    いつか、歳をとった林檎達の続編が出来ないかな、と淡い期待を抱いていましたが、叶わぬ夢に終わりました。
    あのドラマに出会えた事を感謝します。またご冥福をお祈りします。

  • #27

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:23)

    柳沢慎吾ちゃんが番組で山田先生について語ってる内容がとても特徴的で印象強いです。台詞の表現や言いかたなどの指導が厳しかったと聞いてます。

    視てたのは小さい時でしたが、どの作品も凝ったわざとらしい演出などなく、日常生活でよくある、ドラマとは思えない自然体な感じが今思うと良かったなと思います。改めて御冥福を心よりお祈り申し上げます。

  • #28

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:24)

    名だたる脚本家の皆々さんがご活躍された、あの頃。
    生み出される作品に刺激を受け、若い時代を過ごせたことは
    本当に宝のひとつだったと思う。

    ドラマの立ち位置が、今とは全く異なっていた。
    まるで、小説を開くように、
    毎週の展開に考えされられ、
    家族揃って、次回を心待ちにしたものである。

    中でも、男たちの旅路はいっそう忘れがたい。
    ミッキー吉野氏のテーマソングに始まる世界。
    珠玉の作品。

    どうぞ安らかに。
    感謝をこめて。

  • #29

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:24)

    「ふぞろいの林檎たち」と「沿線地図」が強く心に残っている。
    時代を経て再放送を観ても、初めて観た時のような新鮮な気持ちで引き込まれてしまうから山田太一作品は不思議だ。
    若い頃抱えていた、無鉄砲で危うい自分に帰って行けるのが山田太一作品。

    山田太一氏の作品で一番好きなのは、大林宣彦氏監督、市川森一氏脚色、片岡鶴太郎さん、秋吉久美子さん、風間杜夫さん、名取裕子さんたちで撮られた映画「異人たちとの夏」。
    何度観ても引き込まれる。
    小説も買い、ビデオも買い、繰り返し観た。

    懐かしい自分にとっての昭和の時代に帰ることができるのが、山田太一氏の数々の作品。

  • #30

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:25)

    私が唯一泣いた(本当に涙を流した)小説は山田太一さんの『異人たちとの夏』でした。亡き大林宣彦監督が映画化。これも良かった。主人公が疑念を抱きながらも浸るノスタルジー。ふとしたことから交流が始まった見知らぬ夫婦、自分と同世代に見えるのに、はるか昔に亡くなった父母を思わせるこの夫婦が、本当に自分の両親だと知ったときの主人公の衝撃…グッとくるところが小説と一緒でした。風間杜夫さんが演じた主人公には、山田さんご自身が投影されてる部分もあったのではと想像します。
    笠智衆さんに宛てて書いた「男の老い」をテーマにしたドラマ3部作も名作でした。
    たくさんの素晴らしいドラマと小説をありがとうございました。安らかにお眠りください。

  • #31

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:25)

    子供の頃からテレビドラマが好きで良く見ていましたが、初めて脚本家として意識したのが、「それぞれの秋」の山田太一さんでした。新聞連載の「岸辺のアルバム」を読んでいて、「それぞれの秋」に似ているなと思い調べ、同じ作者だと知りました。当時、家族の崩壊を描くドラマは珍しく衝撃的だったのです。
    大林監督の「異人たちの夏」も素晴らしかった。劇場で涙が止まらず、恥ずかしかったのを覚えています。
    ちなみに、北海道出身の自分が「北の国から」を初見で見ていないのは、同時刻に放映されていた「思いで作り」を見たからです。まだ、ビデオデッキが家庭に普及していなかったので。

  • #32

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:26)

    まだ89歳という事に驚きました。
    じゃあ「ふぞろいの林檎たち」は、当時まだ30代の頃の作品て事ですかね。すごいなぁ。
    独特な台詞回しでしたね。
    何か大人の世界というか、年上の若者たちってこんな感じかーと思ってみてました。
    石原真理子さんがとても可愛くて魅力的で小悪魔で。
    久しぶりにまた観たいなぁ。
    頭に浮かぶ柳沢慎吾さんが、全然変わってない様な気がします。

  • #33

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:27)

    中井貴一時任三郎柳沢慎吾がパッと浮かぶ。中島唱子や手塚理美高橋ひとみ石原真理子が続く。山田太一さんの脚本はもちろんそれだけでなくたくさんあるけど、同世代なのでふぞろいの印象が強い。みんなふざけてるわけでも遊びまくってるわけでもなく、目の前の課題に自分なりに取り組んで悩んでいる若い世代の数々のエピソード。思わず見入ってしまうドラマだった。老衰で家族に見守られて逝かれるなんていい最期でしたね。ハッピーエンド。いい作品をありがとうございました。

  • #34

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:27)

    橋田寿賀子さんに続き、テレビドラマの黄金時代を築いた脚本家、文学者が旅立ちましたね。「岸辺のアルバム」と「不揃いのリンゴたち」は素晴らしい。今鑑賞しても古びていない。永遠に語り継がれる名作でしょうね。

    テレビの時代も終わりつつありますが、山田太一さんや橋田寿賀子さんの残した作品は永遠にみられるようにDVD、ブルーレイにしてほしいですね。

    ご冥福をお祈りします。

  • #35

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:29)

    山田太一さんは制作会社にいて、ペンネームで脚本を書いていて、上司にこんな脚本家を探してこいって見せられた脚本が山田太一さん自身の脚本だったのは有名な話だな。ふぞろいや岸辺のアルバムなど、青年の葛藤と家族を描いた作品が多くて、ヒーローが出てこない等身大の一般の日本人を描いた作品が共感を呼んだんだろう。

  • #36

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:30)

    まだ子供だったけど、ふぞろいの林檎たちは再放送で見ていた。なんだか、大人になると色々大変そうだと思いながら、早く大人になってやりたいようにやりたいなと憧れを持っていた。
    自分が大人になったらドラマに描かれていたような、成熟した大人になってなくて、その後の影響を受けたドラマを思い出しても、それが強く感じられた。友人と、昔の若者は大人だったねと話していたのを思い出す。
    それほど人生にも影響を受けてる人は沢山いるかもなぁ。

  • #37

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:30)

    もう40年近くも前になりますが、たまたま乗った私鉄の向かい側の席に山田太一さんが座っていました。
    一瞬目が合い、こちらが山田太一さんに気づいたことを認識されていたようでしたが、穏やかな表情で、きらきらした瞳で…ああ、この瞳で見たことを脚本にしているのかな、なんて思いながら同じ車両に乗り合わせた偶然を少しの間味わっていました。
    ほとんどの作品を欠かさず見ていました。
    さびしいですね。
    どうぞ、安らかに…。

  • #38

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:31)

    「大人になるまでガマンする」よかったなぁ~。泉ピン子さんがおとなしいお母さんだけど、ところどころでキレる役で、メリハリがよく出ていて。ごく普通の家庭のダイニングテーブルに置かれたラジカセで、うっとりとクラシックを聴くシーンが印象的でした。まあ、今でも覚えているのはわたしぐらいでしょうけどね(笑)
    山田太一さんの作品は他にも数多く観ています。感銘をたくさんいただきました。ありがとうございました。

  • #39

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:32)

    幕末から明治にかけてを扱った、NHK大河ドラマ「獅子の時代」は、不朽の名作。
    菅原文太演じる平沼銑次は己の信念を貫き通し、不死身。
    「十五で世の中がわかっちまったような♪」という、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドによる冒頭の歌は、痺れるほどに格好よかった。

    山田太一さんには、一度、お目にかかったことがある。
    大変謙虚な方でした。
    ご冥福をお祈りします

  • #40

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:32)

    三十代の頃に日本脚本家連盟ライターズスクールに通っていて、山田太一先生の講義を受けました。先生の小説を3冊持っていたので、サインを貰いたいと思っていましたが、講義が終わるとすぐに姿が見えなくなり。勿論、先生のドラマの大ファンです。ご冥福をお祈りいたします。

  • #41

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:33)

    ドラマを見ていると、硬いセリフまわしで、「こんなこと言う奴いないだろう」と思わないでもなかったけど、知られていない社会問題を、その下にいる個々人の「うめき声」のように、私たちの心に直接届く力があった。
     もちろん作品にはエンタメとしての要素も多かったからこそ人気があったわけで、当時は「若手」だった水谷豊、桃井かおり、中井貴一、時任三郎などなど、エネルギーのある俳優たちを、安定したベテラン俳優陣の中に浮かべて演じさせていたキャスティングは、今考えてもうならせられる。
     個人的には、とりわけご冥福を祈りたい人物の一人である。

  • #42

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:34)

    「岸辺のアルバム」の時は小学生だったので見てませんが「男たちの旅路」は衝撃でした。鶴田浩二が役を演じてるのではなく鶴田浩二自身が語っているようにしか見えず、後日山田太一が鶴田浩二自身から聞き取りして役を作り上げたと知り納得しました。あの役は鶴田浩二にしかできません。
    共演者でまだ若かった水谷豊と桃井かおりが、俺たちは鶴田さんの年になったらどんな大人になるかなあ、と言ってましたが、桃井かおりはあまり変わっていないかも。

  • #43

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:36)

    ここ数年はほとんど姿を現せず終活に入っていたな思ってました。
    そういう意味では、老衰という亡くなり方はふさわしい最期だったのではないでしょうか。
    山田さんがバリバリに活躍してた時期は、山田さんのような人間模様を描く作家はたくさんいたんですが、最近はどうなんでしょうかね。
    最近はドラマの視聴率は大きく下落したことにより、山田さんのようなタイプの作家はますます生きづらい時代に入ったのかも知れません。

  • #44

    名無し (金曜日, 01 12月 2023 12:37)

    大船近くでご自身の講演会があった時、ホールに併設している障害者が働く喫茶店で、いっしょにいらしたスタッフ全員にコーヒーをおごられていました。レジを打ち、顔を上げるとあの優しいお顔があったので、驚きと喜びで感無量でした。その数日前に叔父と鎌倉の円覚寺に小津安二郎と師匠の木下恵介の墓参をしたばかりだったので、繋がりを感じました。