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韓国で大発生「トコジラミ」日本でも拡大のおそれ、専門家警鐘「殺虫剤成分に耐性」強力トコジラミも 対策は?

今、韓国で「トコジラミ」が大流行していて、日本でも感染が広がるおそれが出ています。夜、寝ている人の血を吸い、激しいかゆみを伴う別名「ナンキンムシ」。インバウンドの復活とともに日本でもどんどん被害は増えると専門家は警鐘を鳴らします。

先月、米子-ソウルを結ぶ国際定期便が4年ぶりに再開するなど、韓国旅行がぐっと近くなった一方で、少し心配なことが起きています。

韓国に住む人に聞いてみると…

韓国の学生
「トコジラミですかね。10月末に大学の寮でいっぱい出てきたって聞いてて。地下鉄も危ないとか」

今、韓国で大きな問題となっているのが「コロナ」でも「インフルエンザ」でもなく、「トコジラミ」の大流行。
トコジラミはカメムシの仲間で、別名ナンキンムシとも呼ばれ、体長は5ミリほどの害虫です。

日中は寝具や家具、カーテンレールの隙間などに潜んでいますが、夜行性のため、夜になると活動し、寝ているの人の血を吸います。

刺されると患部が赤く腫れ、激しいかゆみを伴います。

韓国の学生
「一度出たら殺しにくいと聞いているので、移ったりしていて、それが心配です」

韓国国内では、大学寮や地下鉄、宿泊施設などで確認され、各所で消毒作業などが行われています。

韓国での「トコジラミ」の大発生。日本も他人事ではありません。

兵庫医科大学皮膚科学 夏秋優 教授
「殺虫剤抵抗性トコジラミという、この新しいタイプのトコジラミが今世界中で広がっています」

戦後しばらくは蔓延していた「トコジラミ」ですが、強力な殺虫剤の登場や生活環境の変化で一時国内から姿を消しました。

しかし、ここ10年ほどで殺虫成分に耐性をもった強力な「トコジラミ」が出現。全国の相談件数も2009年と比べると5倍以上に増加しています。

そして、繁殖力が強く拡散性のあるトコジラミ。専門家は、コロナ禍が明け、観光やビジネスの人流が復活した今、日本でのさらなる大発生に警鐘を鳴らしています。

兵庫医科大学皮膚科学 夏秋優 教授
「トコジラミの被害は一時的にちょっとこの3年間は少なかったんですけども、やはり旅行とかあるいはインバウンドの方も多くなったことで、トコジラミ被害はさらにまた増えてきていますので、おそらく日本でももう世界と同じようにこれからどんどん被害は増えると思います」

旅行先で被害を防ぐ対策や、日本に持ち込まない方法はあるのでしょうか。

兵庫医科大学皮膚科学 夏秋優 教授
「例えばカーテンだったり、それから畳であったり、柱の隙間だったりその黒いシミのような形で、血糞のあとが残るんですよね。この小さい点々とした黒いシミに相当する部分、これがトコジラミが生息していることを表す一つの証拠になります」

宿泊する室内にトコジラミ特有の黒いふん=血糞のような物がついていないかをまず確認する。

 

そして、衣類やキャリーケースに知らず知らずの間に紛れ込むため、荷物は床に無造作に置くのではなく、大きな袋などに入れてトコジラミの付着をブロックする対策などが有効だといいます。

兵庫医科大学皮膚科学 夏秋優 教授
「バッグとかスーツケース衣類などをお部屋の中に脱ぎ散らかさないということが、トコジラミを下手に持ち帰らない一つの大きな対策になります。そこら辺だけきっちり認識していれば、さほど過剰に恐れる必要はないかなと思っています」

また、引っ越しの際に使う荷物を入れる段ボールやレンタル家具などにくっついていて、家に入り込む可能性もあるのだそう。

繁殖力が強いトコジラミ。水際で防ぐことが大切です。

ホテルだけじゃない、トコジラミが潜む6つの意外な場所 害虫専門家の助言

不運な旅行者が旅先のホテルから自宅まで持ち帰ってしまう害虫として知られるトコジラミ(南京虫)。刺されると激しいかゆみに襲われ、駆除するのが面倒な厄介者だ。しかし、害虫の専門家によればトコジラミは、ホテル以外にもさまざまな場所に潜んでいる。観光客に人気の場所が多いが、それだけではない。

「トコジラミは小さいが耐性が強く、悪名高いヒッチハイカーだ。ホテルのベッドや荷物の置き場には、ほとんどの旅行者が気を付けているが、思いがけないところから生活に侵入してくることがある」と、米害虫駆除大手Anticimex Carolinasで企業研修を担当するローン・へインウィッチは指摘する。

一般的にトコジラミは、暖かくて二酸化炭素が多く、人間の匂いがする場所を好む。食料源(つまり人間だ!)の近くで、邪魔されることのない隠れ家を探すのだ。潜り込める隙間に事欠かず、布地があり、定期的な人の出入りがあるところはトコジラミにとって理想的な環境だ。

もちろん、ホテルの部屋にトコジラミがいないか確認することは悪くない。ただ、旅行中に限らず自宅近辺でも、意外な場所でトコジラミを拾ってしまう可能性がある。害虫の専門家に聞いた要注意スポット6カ所を紹介しよう。

クローク(手荷物預かり所)

「劇場、美術館・博物館、イベント会場などのクロークは無害な場所に思えるかもしれないが、こうした共同スペースにはトコジラミが潜みやすい」とへインウィッチは指摘する。上着を何着も並べて収納するため、トコジラミにとって居心地のよい隠れ場所ができる。コートやバッグに乗り移ったトコジラミを家に連れ帰ってしまう羽目になるという。

タクシーと公共交通機関

タクシー、電車、バスなど、布張りのある共有移動空間は基本的にどこでもトコジラミに遭遇する可能性がある。こうした一時的に利用する乗り物は、トコジラミが乗客から乗客へと飛び移り、バッグや衣服に潜り込むには絶好の環境だ。

ショッピングモール、レストラン、映画館

ショッピングモールやレストラン、映画館のような忙しない場所はトコジラミの隠れ家には不向きに思えるかもしれない。だが、常に人が集まることで、誰にも気付かれずにトコジラミが人から人へ乗り移る機会が生まれる。布張りの座席に潜んでいたり椅子やブースの継ぎ目に隠れていたりした個体が、無防備な状態のコートやバッグにいつのまにか紛れ込んでいるかもしれない。

アンティークショップ

海外旅行ではフリーマーケットやアンティークショップで買い物をし、美術品や衣類、小間物を持ち帰る人も多い。しかし、中古品店は衣類や日用品に潜んだトコジラミの温床になりやすい。

新品のマットレスにも

害虫駆除会社キリングスワースの専門家クリスチャン・トゥイードは、包装された新品の家具からトコジラミを発見したことがあるという。どうしてそんなことが起こるのだろうか。トゥイードによれば、ベッドマットレスを販売する会社の多くが古いマットレスを無料で撤去するサービスを提供している。トコジラミのついた古いマットレスを運んだトラックで新品のマットレスを運べば、買ったばかりのマットレスに虫がつく事態が生じるという。

ホテルの中はどこもかしこも

トコジラミはその名の通り、ベッドの中でよく見つかる。マットレスや布張りのヘッドボードなどは要注意だ。だが、昆虫学者で害虫駆除会社JP McHaleの社長兼最高経営責任者(CEO)のジム・マクヘイルによると、ホテル内の他の場所でも出くわす可能性がある。「ホテルは宿泊客が頻繁に入れ替わるため、各階層で害虫の影響が広がりやすい。トコジラミが誰の荷物に潜んでいてもおかしくない」

トコジラミはリンゴの種ほどの大きさの赤茶色の虫で、血を吸うと丸くふくらむ。幼虫の間は小さく半透明なため、見つけるのは難しいかもしれない。トコジラミの見つけ方のヒントはこちらの記事で紹介している。

旅行者の大敵、トコジラミがホテルにいないかチェックする方法

トコジラミ(南京虫)や、それに刺されてできるかゆくて赤い発疹は、休暇のお土産として家に持ち帰りたくないものだ。けれど、困ったことに、この丈夫で繁殖力の高い虫は何かに付着して宿泊施設の中に入ってくることがある。しかも、道路沿いにある安宿などだけでなく、高級なホテルやリゾート施設も無縁ではない。

トコジラミのいる部屋に泊まると、トコジラミはスーツケースの中などに入り込んで運ばれ、家に侵入してしまうおそれがある。いったん住みつかれると、駆除は容易ではなく、かなりの費用も覚悟しないといけない。

「餌を探して動き回る昆虫と違って、トコジラミは主としてヒッチハイク(ほかの物や生物に「乗って」移動)する昆虫です」とノースカロライナ州の害虫駆除業者、キリングスワース・エンバイロンメンタルのクリスチャン・トゥイードは説明する。

「自宅にトコジラミが発生している人は簡単にホテルに持ち込んでしまうでしょうし、トコジラミは旅行中に飛行機やタクシー、ライドシェアサービスなどで拾われて、ホテルの部屋に持ち込まれることもあります」(トゥイード)


害虫駆除大手オーキンは2017年に、宿泊施設はトコジラミの発生事案1件に対処するのに平均6383ドル(現在の為替レートで約93万円)の費用がかかっているとの調査結果を公表している。この調査では、過去1年にトコジラミ問題に対処したと回答した宿泊施設は全体の8割にのぼった。

滞在する宿泊施設にトコジラミがいないかどうか、ベッドに潜り込む前に知るにはどうすればいいか。害虫駆除の専門家たちは、チェックイン後、次のようにすることを勧めている。

まず、旅行かばんをトコジラミから隔離する

テキサスA&M大学アグリライフ研究所のロバート・パケット准教授(昆虫学)によると、トコジラミは非常に移動性の高い昆虫だが、滑らかな表面を登るのは得意でないという。

そのため、ホテルの部屋に入ったら、荷物はまずバスタブの中に置くことをパケットは勧める。トコジラミがよじ登ってくるには難しい場所だからだ。

部屋を念入りに点検(やり方は次に説明)したら、荷物を荷物台に移そう。荷物台の脚はステンレス製のことが多く、これもトコジラミが登るのは難しいとパケットはいう。

トコジラミがいないかどうかチェックするには?

キリングスワース社のトゥイードは、まずベッドのヘッドボードをチェックすよう助言する。ヘッドボードの縁や隙間に、トコジラミやその抜け殻、黒いシミがないか探そう。トコジラミの成虫はリンゴの種ほどの大きさで、赤褐色で平べったい楕円形をしている。

次に、シーツや掛け布団、枕カバー、マットレス、ボックススプリングに、トコジラミのふんのシミがないか点検しよう。ふんの本質は、消化され乾燥した血液で、くすんだ赤や茶、あるいは黒っぽい色をしている。トコジラミは布張りのほかの家具や、壁が床と接する下側の部分に張られた幅木にいることもある。ただ、トコジラミは主に夜に出てきて、昼間は隠れていることが多いので、トコジラミが潜んでいる場所を直接探さない限り、見つけるのは難しいだろう。

トコジラミやその痕跡が見つかった場合は、宿泊施設の管理チームに報告する。同じ施設で別の部屋をとる場合は、トコジラミが見つかった部屋と壁や床、天井を共有していないことを確認するようパケットは勧めている。

帰宅後は洗濯物を放置しない

万が一、トコジラミを拾ってしまった場合に備え、家に帰ったあとは旅行かばんや汚れた衣類を放置せず、トコジラミに家に侵入する隙を与えないようにしたい。

 

スラッシャー・シロアリ・害虫駆除会社のギャレット・スラッシャーは、帰宅したら荷物はなるべく外に置き、衣類はすべて洗濯機に直接入れることを勧める。トコジラミやその卵は水では死滅しないため、乾燥機の温度を最高に設定して30分間、衣類を乾燥させるとよいという。

トコジラミの刺し跡の特徴は?

トコジラミは口を刺して吸血するので、皮膚が赤く腫れる。「刺された跡は斑点になることが多く、赤い吹き出物や湿疹、ほかのよくある虫刺され、じんましんのように見えることもあります」と家庭医のローラ・パーディーは説明する。

トコジラミは夜間に最も活発に動く性質があり、体温に引き寄せられて就寝中に襲ってくるという。

ほとんどの場合は自然に治るが、病院を受診してトコジラミに刺されたのか確認してもいいだろう。

腫れや痛みを和らげるには市販の鎮痛剤も使える。ステロイドの塗り薬は炎症やかゆみを抑える効果があり、かゆみを和らげるには抗ヒスタミン薬のベナドリルも効くかもしれない。パーディーによると、冷やしたや氷のう、重曹と水を練ったペーストなどでも症状を和らげられる可能性があるという。

難しいかもしれないが、刺されたところはかかないようにとパーディーは注意を促している。