· 

銚子漁港に待望のサンマ 今年初水揚げ、昨年はゼロ 燃料代高騰にため息も

銚子漁港に今年初水揚げとなったサンマ=17日午後、銚子市

初水揚げされたサンマ。市場で入札を終えると漁船からコンテナなどに次々と移された=銚子市



 

昨年、全国的な不漁により1950年以降で初

めてサンマの水揚げがゼロだった銚子市の銚子漁港で17日、2021年11月以来2年ぶりにサンマが水揚げされた。銚子市漁協所属の漁船が岩手県・宮古沖で漁獲し、待望の「秋の便り」を届けた。今年初水揚げの量は約3・5トンにとどまり、一昨年の約18トンを下回った。例年12月中までサンマ漁は続く。

 初水揚げされたのは「第37傳(でん)丸」(167トン)が15日夜に宮古沖約660キロで漁獲したサンマ。市場で1キロ当たり404円~455円で取引され、一昨年の初水揚げの637円~681円を下回った。関係者によるとサイズが小ぶりで、時期が遅めだったことが響いたとみられる。

 同漁船によると、漁場は銚子から遠いが、今後数日のしけが見込まれており、休息するため地元に入港した。通信長の辻野貴晴さん(45)は「昨年よりも魚は見えているが(状況は)良くない」と今年の状況を説明。「(漁期の)初めの頃に比べると脂が乗っておいしくなった」とする一方、「この量では油代の方が高くて大変」と船の燃料代高騰を嘆いた。天候が回復すれば再度漁に出る予定。

 同漁船は北海道や岩手、宮城県を拠点に漁を行い、遠く離れた公海を中心に操業。全体的に魚は小さい傾向という。今年は陸から数キロの沿岸で漁をする船もあるという。

 2年ぶりの水揚げに漁協関係者は「これから船が来る可能性はある。捕れたら銚子に水揚げしてほしい」と期待した。

 同漁港のサンマ水揚げは09年には6万1333トンあったが全国の傾向と同様に減少。特に不漁が目立った19年は620トン、20年は476トンと激減し、21年は同漁船が11月22日に水揚げした約18トンのみだった。銚子沖は近年、サンマの漁場になっていない。