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新渡戸稲造が外地で触れた温かい心【青空と向日葵の会】

【新渡戸稲造が外地で触れた温かい心】
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新渡戸稲造。5千円札にその肖像が描かれた人です。
著書「武士道」で日本人や侍の生き方を世界に伝え、
国際連盟の事務局次長も務めたクリスチャンの教育者です。
彼はクラーク博士で有名な札幌農学校を卒業後、
アメリカとドイツに留学し、教育者として研鑽を積んでいきます。
彼がドイツのボン大学で学んでいたときのこと。
近くの公園を散歩していると、カトリックのシスターが
大勢の孤児を連れて歩いているのを見つけました。
孤児たちは、同年代の子が親と楽しそうに遊んでいるのを見て、
悲しそうな顔を浮かべています。
その日は、ちょうど新渡戸の母親の命日でした。
そこで、彼は母親に供物をする代わりに、
あの子たちにプレゼントを贈ろうと考え、
近くにいたミルク売りの女性に声をかけました。
代金を払うから、あの孤児たちに
ミルクをあげてほしいと頼みました。
もちろん、彼からのプレゼントだということは
秘密にしてもらいました。
ミルク売りの女性はシスターにこの申し出を伝え、
孤児たち全員にミルクが配られました。
突然のプレゼントに子供たちは大喜び。
そして、全員が飲み終わると、
シスターは孤児たちに話します。
それにより、公園内には
素晴らしい時間が流れることになったのです

スターの孤児たちに向けた話はこうでした。

「私たちに施しを下さった方が、どなたは分かりません。  ですが、私たちは感謝の気持ちを伝えるために、  全員で讃美歌を歌いましょう」

公園内には、素晴らしいコーラスが響いたといいます。

子供たちの澄み切った瞳、透き通った歌声に、 新渡戸は、母親の命日によいことができたと満足しました。

そして、シスターと孤児が公園から去るのを見届けると、 代金を払うためにミルク売りの女性のもとへ向かいました。

ところが、ミルク売りの女性は、 代金を半額しか受け取ろうとしません。

「私も孤児たちにミルクをあげたいと思っていましたが、  商売のことを考えると、なかなか行動を起こすことはできませんでした。  なので、ミルク代は原価だけ受け取らせてください。  今日は本当にありがとうございました」

ミルク売りの女性もまた、温かな心を持っていたのです。