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4度目の不倫報道でも「斉藤由貴」が絶対に“干されない”理由 すべての不倫を「生産的」にする格の違い

 斉藤由貴(57)がまた、不倫を報じられた。今度は誰と? という反応をした人がいるかもしれないが、6年前の「W不倫」と同じ相手だ。

 2017年、かかりつけの開業医との「手つなぎデート」をスクープされ「家族がみんなお世話になっているおじさん」だと説明。しかし、その後、キス写真が出てきたことで、

「女優としても、女性としても、頼りすぎてしまいました。でも、もう、終わりにしました」

 と、謝罪文のなかで語った。

 ところが、6年前のスクープに続いてふたりの関係を報じた「週刊文春」によれば、不倫が終わっていないことを思わせる出来事があったという。「狂乱動画入手 斉藤由貴 6年不倫で警察出動」と題された記事には、10月最後の土曜日の夜、相手の医師が経営するクリニックの前で「入れて!閉めないで!」と泣き叫ぶ彼女と、入れまいとする相手との修羅場が描かれている。

 また、相手の医師が目撃者に対し、

「この人、薬を飲み過ぎておかしくなってしまったんです」

 と説明していた、とも。

 さらに、記事の後半、相手の医師は編集部とのやりとりのなかで、その説明について「言った覚えはない」としつつも「斉藤さんがまともな精神状態でなかったのは本当です」と発言。また、不倫後の離婚で財産を前妻にとられたことや、現在、斉藤の離婚問題の相談にのっていることを明かしたうえで、

「斉藤さんは僕になついている」

 と、意味深なことを言っていた。

■不倫有名人としては「格が違う」

 一方、彼女は、

「関係が続いているとかそういうのはないです」

 と、不倫の継続を否定。所属事務所による、こんなコメントも掲載されている。

「警察に通報したのは斉藤本人で、その場の状況を受けて判断した対応と報告を受けております。現在も夫婦関係は変わっておらず(略)2017年以降お付き合いはしておりません」

 ちなみに、彼女が不倫を報じられたのは1991年の尾崎豊、93年の川崎麻世に続き、この相手を2回と数えれば、6年ぶり4度目。高校野球の強豪紹介みたいだが、実際、不倫界きっての強豪だ。

 一度の不倫で大失速する人も多いなか、むしろ「芸の肥やし」にして大女優への道を歩んできた。それゆえ、今回も逆風はそれほど吹いていない。

 ネットニュースを見ても『学ばない斉藤由貴〝4度目不倫〟報道 「狂乱動画入手」の驚き 過去に謝罪会見も「芸能活動を続けている珍しい存在」』(夕刊フジ)とか『斉藤由貴「狂乱不倫動画」に世間は反応薄…広末涼子の不倫、6年前の自身の不倫からもトーンダウン』(日刊ゲンダイ)といった、彼女の揺るぎない存在感を面白がるものが目立つ。

 筆者が感心したのは『ナイツ塙 コンビ独演会に大物女優 漫才でイジらなかったら本人が…「さすがだなと思った」』(スポニチアネックス)という記事だ。ナイツが自身のラジオ番組で明かしたところによると、彼女は今回の報道直後、彼らの独演会に来たという。

 塙宣之いわく「俺たち時事ネタで50人くらいイジるんだけど、斉藤由貴さんは入れなかった。さすがに」とのことだが、彼女は終わったあと、自らこう言ってきたというのだ。

「私の名前がいつ出てくるかと思ってヒヤヒヤした」

 なんというか、不倫有名人としての格の違いを感じさせる話だ。

■「本当に学ばない人間なんだな」と自己分析

 ではなぜ、彼女は例外的存在でいられるのか。

 筆者は4年前、本サイトで「三度の不倫報道でも消えない 斉藤由貴に世間が優しいのはなぜか?」という記事を書いた。自身で行ったインタビューでの印象や、それ以外での彼女の過去発言などから、その打たれ強さの謎をひもといたものだ。その際の見解に新たな解釈を加えつつ、もう一度ひもといてみたい。

 よく知られているように、彼女はモルモン教徒であり、また、子どもの頃から芸術家志向だった。それゆえ、健全と退廃、モラルとインモラルといった両極端なものに惹かれるところがあり、不倫をするにしても、官能的な満足だけでなく、魂のつながりを欲してきたことが感じられる。

たとえば、尾崎豊とのときには「同志みたいな感じなんです」、川崎麻世とのときには「傷をなめ合う仲」だと説明していた。さらに、川崎とのときには、

「前の人とのことがあったにもかかわらず、本当に学ばない人間なんだなと自分のことながら悲しい気持ちです」

 という名言を残すわけだが、じつはこのとき、彼女は自分が「学ばない人間」であることを学んだのだ。というのも当時、こんな自己分析もしていた。

「宗教の重荷がなかったら自分がどこかへ飛んでいっちゃうから。逆にそういう重荷があるからこそ、自分が飛んでいこうと思ってあがくのかもしれない。(略)モラルとかインモラルとかいう言葉にしても、そのふたつが離れているほど、よりドラマチックな生き方になりますよね」(「VIEWS」)

■不倫のきっかけはダイエット?

 自分がそういうタイプの人間である以上、信仰などを活用してうまくバランスをとっていくしかない、という人生観が見てとれる。

 実際、この翌年、彼女は同じモルモン教徒の一般男性と結婚。3児の母となり、しばらくは平穏な家庭生活を続けていくわけだ。

 ただし、モラル=健全の側に安住し続けられる人でもないので、子育ても落ち着いてくると、また、インモラル=退廃の側へといざなわれるようになる。きっかけは、ダイエットだ。

 2012年に父親から「背中が丸いな」と言われたことから、3ヶ月で11キロ減量。これにより、アイドル時代の清純な芸風、結婚してからのコミカルな芸風に続き、悪女っぽい芸風も身につけ、女優としての活況をまた呈していくのである。

 注目したいのは、開業医との不倫もこのダイエットのあたりから始まっていたこと。彼女は「女優業」について「空気のようなもの。吸わないと死んでしまう」と語っているが、女優としての高みを目指すうえでこの不倫が必要だったのかもしれない。そしてしっかり、芸や作品につなげたわけだから「生産的な不倫」ともいえる。

 そういえば、彼女らしいエピソードとして、高2のとき、間違えて別の高校に行き、遅刻したというのがある。自分が通う公立高校と制服が似ていた近所の女子校にいつのまにかたどり着いてしまっていたそうで、その話をじつに楽しそうに語っていた。

 おそらく、迷うことが好きで、そんな自分を楽しめる人でもあるのだ。これまでの不倫が「生産的」であることに加え、そんな「迷子キャラ」のようなものもなんとなく伝わるからこそ、世間も彼女には強く当たらないのではないか。つまり、世間も彼女についてかなり学んでいるわけだ。

■芸能人としては「ギャップ」がなくなった

 とはいえ、今回の不倫報道が盛り上がらないのは、ネタとして今ひとつというのも関係しているだろう。

 尾崎は当時すでにカリスマ的存在で、覚せい剤での逮捕歴もあり、不倫発覚と破局の翌年、26歳で急死して、伝説の人となった。川崎もまた、華のあるイケメンで、かつ、不倫に怒ったカイヤ夫人(当時)の鬼嫁ぶりが話題を集めることに。開業医は一般人だが、前回の騒動時には「斉藤のものとおぼしきパンティーを頭にかぶった写真」が飛び出すなどして、面白がられた。

 こうした相手側のインパクトやクセの強さは、彼女への当たりを弱めることにもつながったが、今回は相手側にも彼女にもそれほどの関心は集まってないようだ。

 その背景には、世間の移り気というのもある。

 16年の「ゲス不倫」から7年。さすがに不倫も飽きられてきたのか、最近は統一教会騒動やジャニーズ騒動など、洗脳やハラスメントといったものが関心を集めるようになってきた。メディアが優先して取り上げるのも、そういう騒動だ。

 この原稿の前半で触れた「日刊ゲンダイ」の記事は「斉藤はアラ還を目前にして"無敵状態"になりつつある」と締めくくられているが「無敵」であるとともに「無関心」という要素も加わってきていることは否めない。それは世間が、彼女について学んだ結果、不倫をしても驚かなくなったということでもあり、ギャップがまったくなくなるのも芸能人としてはあまりよくないことだ。

 なお「週刊文春」の続報では、斉藤夫妻がモルモン教の規律に反することでもある離婚に踏み切る可能性も出てきているという。が、そういう私生活の変化より、女優としてこれからどうなっていくかを注目したいところだ。

 ここはいっそ、板につきすぎた感もある悪女っぽい役ではなく、思い切り聖女の方向に振り切った役を演じて、培ってきた女優力を示すときかもしれない。

●宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など