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仲人が絶句した…結婚相談所を「出禁」になった、39歳の女性が”問題行動”ばかり繰り返していた「衝撃の理由」

「あまのじゃくな女性」が結婚に求める条件

結婚相談所の仲人たちは、男女を成婚に導くプロだ。私は仲人として結婚相談所を運営し、これまでパーティーを主催する中でおよそ1000人以上の婚活者と出会ってきた。

仲人とは、婚活相談者の生い立ちや恋愛遍歴をヒアリングし、お相手となるターゲットを設定。相談者がどういうタイプで、どんな方とマッチングするかを一発で見抜く。そしてその直感は、じつは当てずっぽうではなく、本人でも気がつかない性格を見出し、裏付けされたデータと照らし合わせて相性を見出し幸せな結婚へと導いている。

仲人の観点を可視化した書籍『恋愛マッチング方程式』では恋愛診断で女性を以下の12タイプチャートとして紹介している。今回はその中から、「わがまま系・あまのじゃくタイプ」の婚活に焦点を当てていきたい。

『恋愛マッチング方程式』より(c)高須美谷子
『恋愛マッチング方程式』より(c)高須美谷子
・個人行動系……………【Meタイプ】 【女王様タイプ
・わがまま系……………【がんこちゃんタイプ】 【あまのじゃくタイプ
・クローズマインド系…【冷め女タイプ】 【能面女子タイプ
・ドリーマー系…………【お姫様女子タイプ】【高望みタイプ
・依存系…………………【ファミコン女子タイプ】【つくしん坊タイプ
・メンタル系……………【かまってちゃんタイプ】【繊細さんタイプ

あまのじゃくタイプはわがまま系の中でも、お相手のことを翻弄して自分の思い通りにしたい、という恋愛関係においては少し手のかかるやっかいなタイプである。ただ、こうしたあまのじゃくタイプでも、結婚への抜け道はある。

母親の一言で火がついた

地方都市で育ち、現在はメーカー勤務の麻衣子さん(仮名、39歳)の婚活模様をお話をする前に、その育成歴からもあまのじゃくの片鱗を伺い知ることができる。

麻衣子さんは三人兄弟の真ん中、兄と妹を持つ。兄はスポーツ、勉強ともに優秀で親から優遇され、妹は末っ子甘えん坊で親からは可愛がられていたという。

その間に挟まれた麻衣子さんは、親からの注目が少なく、変わった発言をして驚かせることで他の兄妹とは違う自分を両親にアピールしていたようだ。

親に「やってはダメ」と言われたことを率先してやったり、逆に言われたことはテコでも動かない。相手の意に反する行動を繰り返し、それによって注目されることが麻衣子さんの心を満たし、個性として形作られていった。

私のもとを訪れた時、麻衣子さんは37歳だった。結婚を遠ざけて過ごした20代から30代前半。35歳になった時には周りに独り身の友人も減って、両親も麻衣子さんに結婚を期待しなくなった頃だった。

兄が28歳で結婚、妹が26歳で結婚したことから、「三兄弟の一人くらい親元に残っても構わない」「麻衣子は結婚に向かない子だ」と母親が漏らしているのを聞いてやる気に火がついたのだ。

親の考えとは裏腹に、婚活を本格的にスタートさせたものの、あまのじゃくな麻衣子さんの態度に愛想をつかし、すでに2カ所の結婚相談所から面倒見きれないと三行半を下されていた。

麻衣子さんは特段美人というタイプではないものの、大きく潤んだ目でじっと覗き込まれると、引き込まれるような魅力がある。この目に心奪われる男性は多く、俗な言い方をすれば、男好きのする顔だった。

結婚相談所では完璧な美人タイプよりも、麻衣子さんのような少しアンバランスな雰囲気の女性のほうが、身近に感じられるのか、人気が出る傾向がある。麻衣子さんにもお見合いの申し込みが相次いだ。


ただ、実際にデートまで進むと、断ったり断られたりと、うまく進まない状態が続いた。というのも、麻衣子さんの希望に沿って男性を紹介すると「タイプじゃない」と言って、会う前から断ったり、お見合いに辿り着いても「変なシャツ着ていてイヤです」と本心をはぐらかし、よく分からない理由で簡単に断ってきたりする。

男性会員からもいくつか苦情めいた声も届いていた。ある男性からは、中華が好きだという麻衣子さんのために、人気のチャイニーズレストランを予約してデートに誘ったが、当日になって「やっぱりキャンセルします」と断ってきたという。

これは完全に破局だと思ったこの男性に、「次のデートはあなたの好きなもので良いです」と親し気なメールを送ったりするから困惑してしまう。魅力ではあるものの、つかみどころがないこの態度に、「翻弄されたくない」という理由で断られるのも当然だ。

こういった”問題行動”が多く、このままでは婚活を進めることも困難と判断した私は、一度麻衣子さんとじっくりと話し合ってみることにした。あまのじゃくタイプだけあって、なかなか本心を見せない麻衣子さんであったが、話し合いの回数を重ねるうち、徐々に麻衣子さんの「癖」がわかってきた。

癒えていない「過去の恋愛」の傷

麻衣子さんの気持ちを掴もうとして正面から質問しても「別に」と興味がなさげを装ってはぐらかしたり、追い詰められると発言を覆して逃げたりと、指の隙間からするりと抜け出してしまう。これにはじつは彼女なりの理由があって、「はぐらかし」や「無関心」を重ねながら相手がどこまで付き合ってくれるかを推しはかっていたのだ。

しかし、この手のお試し行動には限度がない。付き合えば付き合うほどに麻衣子さんをつけあがらせてしまう。

私は心を鬼にして、麻衣子さんのあまのじゃくは親の目を惹きつける目的ではじまったこと、裏腹な態度で人の興味を惹いても結婚には決して辿りつかないこと、根本原因は麻衣子さん自身が自分の魅力や個性をわかっていないこと、人を信じることに恐れていることだと指摘した。

声を荒立てずに慎重に言葉を選びながらも、心の奥底に響くように伝えていく。

いつもなら「あなたには関係ないです」と突っかかってきそうなところだが、この日の麻衣子さんは大人しく聞いていた。ここで手を緩めずに、この「愛の作業」が麻衣子さんに良い兆しをもたらすことを信じて、これまでに相談所で出会った男性たちが麻衣子さんに対してどれだけ真剣に取り組んでいたを厳しくも伝えていく。

うつむいたままをじっと下を眺めて、への字口でいた麻衣子さんがぽつりぽつりと話し始めた。

「どうせ好きになっても…。もう信じたくないんです……」麻衣子さんの婚活への考えを大きく変えてたのは30歳の時に出会った隆宏さん(34歳)との恋愛であった。最初のお見合いは20代前半、両親の勧めでしたという。当初は押し付けられた感覚で、お見合いしただけで終わっていた。

人を好きになったことのない当時の麻衣子さんからすると結婚は誰としても一緒だった。でも隆宏さんとの出会いは違う世界を麻衣子さんに味合わせてくれたという。

「麻衣子といると飽きない」

隆宏さんとの出会いは、友人カップルがそれぞれ男性陣、女性陣を集めた飲み会と合コンの間のような集まりだった。人数合わせで先輩から呼ばれた麻衣子さんは、初めから色気はなく食い気に走っていた。そのために幹事を引き受け、合コンの場所を自分が目をつけていた中華料理店にしたのだ。

隣の席についたの隆宏さんに軽く会釈をした程度で、会話もせずにガツガツと食べ続ける麻衣子さん。そんな光景を隆宏さんは微笑ましく見つめていたそうだ。

「朝から何も食べないで来たから」と言い訳をする麻衣子さんを相手にする様子もなく、隆宏さんはビールをグラスに継ぎ足す。他の参加者が次々とカップルになり、それぞれの二次会へと移動していった。

麻衣子さんは箸を置く様子もなく、参加者をその場で見送る。結局、席に残ったのはあぶれた二人だけ。料理はほとんど手をつけない状態で食べ残されていた。

「食べます? もったいないし」麻衣子さんがすすめた自家製チャーシューを口にした隆宏さんはその美味しさに感激している様子。

「ここの名物なんです」とその美味しさに隆宏さんが共感したことをきっかけに、麻衣子さんの心の扉が開いていったそうだ。職場環境も似ていた隆宏さんとは、その後も会話には困らなかった。「次は何食べに行く?」隆宏さんのシンプルな投げかけに、麻衣子さんのあまのじゃくは出る間を無くしていた。

二人は仕事が終わった後に飲みにいったり、週末にはちょっとした遠出をしたり、いわゆる都会のカップルの定石のようなデートを重ねていった。時にわがままで、自由奔放な麻衣子さんの性格を「麻衣子といると飽きない」と言ってくれて笑い飛ばしてくれていたという。

友人からの「早く結婚しちゃいなよ!」というエールも、この頃の麻衣子には小鳥のさえずり程度にしか感じず「まだまだ独身を楽しみたい」と余裕で答えていた。プロポーズはされていないが、まだ結婚しないだけ、いつかは隆宏さんと結婚するのが当然と考えていたのだ。

交際、同棲と順調にすすみ、4年目の34歳の誕生日を迎えたところで「もうそろそろ結婚したい…」と少し焦りが出はじめたそうだ。

ところが、そのころ新プロジェクトに抜擢された隆宏さんは、仕事の多忙を理由に土日も出勤することが増えた。休みで家にいることがあっても、麻衣子さんとは言葉も交わさずに「疲れた」などと愚痴ばかり発するようになっていたという。

隆宏さんが麻衣子さんの心中を察することはもちろんなく「一緒に住んでいても二人の距離は別の国に暮らすほどに離れている感じがした」と振り返る。

こんな関係ならば一緒にいても意味がない。そう思った麻衣子さんは隆宏さんに「浮気してるの?」「私も他の人と付き合ってみたい」などと嫌味や暴言を吐くようになっていった。あまのじゃくな麻衣子さんの「癖」が二人の関係を悪化させるきっかけになった。

「ちょっと距離を置こう」という言葉を残し、同棲していた部屋を出て行っていった隆宏さん。その言葉を信じ待っていた麻衣子さんだが、共通の知り合いから隆宏さんに関するショッキングな話を聞き青ざめたのだった。

結婚条件に「年収700万円以上」を望む39歳の女性が、本音を隠してまで「高望み」を止められなかったワケ

結婚相談所の仲人たちは、男女を成婚に導くプロだ。仲人の観点を可視化した拙書『恋愛マッチング方程式』では恋愛診断で女性を以下の12タイプチャートとして紹介している。今回はその中から、「わがまま系・あまのじゃくタイプ」の婚活に焦点を当てていきたい。

35歳独り身の誕生日

メーカー勤務の麻衣子さん(仮名、39歳)は、問題行動が原因でほかの結婚相談所を出禁になり、私の元にやってきた女性だ。幼いころから、あまのじゃくに育った彼女は、男性を試すことで自分への愛情を測るふしがあった。

30歳のときに出会った隆宏さんと恋に落ち、交際4年目に差し掛かったところで、結婚したいという焦りが出る。しかしタイミング悪く、隆宏さんは仕事で責任のあるポストを任され麻衣子さんの気持ちに気が付かないでいた。

帰宅が深夜に及ぶ隆宏さんに「浮気してるでしょ」などの疑いや暴言を繰り返す麻衣子さん。

麻衣子さんは隆宏さんの存在が重要であることよりも、今の自分がぞんざいに扱われていることに嫌気がさしたのだ。しかし当の隆宏さんにとっては、たまったもんではなかっただろう。察するに結婚するためにも、仕事を頑張ろうと尽力した結果が自分に負を招いていたのだから。

実際に、男女の仕事とプライベートの両立はいつでも矛盾がつきまとう。案の定、麻衣子さんは隆宏さんに別れを告げられてしまったそうだ。隆宏さんからは「仕事が少し落ち着くまで距離を起きたい」と家を出て行ってしまった。

しかし、待てど暮らせど隆宏さんからは連絡がなかった。隆宏さんを思い返すと、つまらなそうにしている顔ばかりが浮かんだ。ずっと前から関係は終わっていたんだと思い知らされたようで、それが何よりもショックだったと麻衣子さんは当時を振り返る。

隆宏さんと別れてからの麻衣子さんの心は、すっからかんの空っぽになってしまったそうだ。元々友達が多いわけでもなかった麻衣子さんの土日のスケジュールはカラ、夏休みもお正月も特に何もナシということなのだ。

隆宏さんと一緒に暮らしていたマンションにそのまま住み続けていたら、いつか戻って来るんじゃないか、そんな淡い期待にしがみついていた麻衣子さんに彼との共通の友人からショッキングな事実が舞い込んだ。別れた後に隆宏さんは元カノと再会し、二人に子供を授かったのだという。

「嘘でしょ……」麻衣子さんは隆宏さんとの4年に渡る同棲生活を思い返して、裏切られた気持ちになったそうだ。

その後も麻衣子さんの失恋の痛みは昇華されることなく、ただただ日常が過ぎていったという。朝起きて会社に行き、働いて帰路に着く。土日はパジャマのままで横になり、テレビをつけたままで過ごす。

仕事以外は掃除も洗濯も最小限にしか動けずに、大好きな中華料理もカップラーメンに変わってゴミの山だけが時間経過を示すように部屋を占領していったという。そんな麻衣子さんを心配して声をかけたのは、妹の由香さん(仮名)だった。

子供の高校受験が終わって人生にひと段落した由香さんは、家族のイベントにも顔を出さない麻衣子さんのマンションを尋ねた。元彼が出ていったまんま取り残された部屋には、同棲した頃のカレンダーや写真がそのままの形で残っていたらしい。

 

不健全極まりない部屋を一掃して、姉が婚活を始められるまで立ち直らせるには相当の根気が要ったことだろう。麻衣子さんの男性に対するあまのじゃく的な自己表現は間違っていたが、もがきながらも結婚したいという気迫は感じ取れた。

隆宏さんに対する見返してやるという気持ち、そして親からの「あなたには結婚は無理」と言われたことにも深く傷ついた気持ちが行き場をなくして執念に変わる。

今度こそ自分を受け入れてくれる男性と出会ってありのままの自分で、最高に幸せな結婚をしたい。そんな心理がまた強いベールとなって麻衣子さんをあまのじゃくに仕立てあげていく。自分自身をおとしめて行動を縛り付けていく負の連鎖である。

新たなお見合いの提案

麻衣子さんが私に話してくれた恋愛経験からお見合い相手を翻弄させる気持ちの一端を計り知ることが出来た。あとはどこまで自分のわがままについてこれるかで愛を計り知るのではなく、お互いに協力しあって愛を育てていくことを知ってもらう必要がある。

まずは正確な出会いを再設定することから始めてみる。麻衣子さんのターゲット設定は、同年代の女性が設定する平均値より年収の部分がはるかに高かった。

「40代、年収700万円以上」

こういう裏付けのない設定には固定観念が影響していることが多い。私は麻衣子さんの望む年齢や年収条件から距離を置き、ある男性のプロフィールを選んび取り出した。

亮太さん(37歳、仮名)、介護職、年収は400万円。

麻衣子さんは最初、そのプロフィールを鼻で笑って「あり得ません」と言い放った。しかし、私はゆっくりと畳みかけた。「これまでとは違うタイプの方にお会いしてみるのは大切なことです」

この私の言葉に心のどこかが反応したのだろう。麻衣子さんは「軽い気持ちでも良ければ」と亮太さんとのお見合いに臨むことを決めてくれた。

初めて会った亮太さんは愛嬌のある顔立ちと、ガッチリとした体つきがどこかアンバランスで、麻衣子さんには”面白い人”という印象にうつったそうだ。

待ち合わせしたお店が満席で、これまでなら男性が麻衣子さんに「どこへ行きましょうか」と尋ねてくるはずが、亮太さんの行動は全く違った。「良いところがありますよ」と言って店を出ると、ずんずんと先頭を切って歩き出してしまったのだ。

仕方なく付いていくと、街中を抜けて川沿いの小径へと連れていかれた。「ここならいくらでも席があります」といってベンチを指さす亮太さんに、麻衣子さんは歩いた疲れも相まって、ムスッと不愉快な顔をしてしまったそうだ。

「あれ、だめでした?」と亮太さんは笑みを浮かべると、自動販売機に向かって走った。「変な奴!」麻衣子さんがベンチに腰掛けるとちょうど風が舞い、紅葉の葉が舞った。

麻衣子さんは不愉快だったはずの気分も、風が吹くたびにどこかに吹き飛ばされていったとそうだ。亮太さんから熱々の缶コーヒーが手渡された。麻衣子さんは久しぶりに心から美味しいと思うコーヒーを味わったと後から思い返していたという。

麻衣子さんは、これから起こる物事を先に予測した上で行動し、男性の意図に反するコメントをしてガッカリさせることが多いのだが、亮太さんは未来の行動が予測不可能な上、麻衣子さんのコメントに期待を寄せていない。そんな取説のない亮太さんに、麻衣子さんの好奇心が刺激されていったそうだ。

「またお会いしてみたい」

仲人の見立てとして、麻衣子さんに亮太さんをおすすめした理由は、亮太さんの「学生時代は陸上部に所属し、今でも走っている時間に自分をリセットしている」というプロフィールに加えて、介護という職業に対して「自分がしてもらえたら嬉しいことを考えて率先して行っている」とあったためだ。この方なら麻衣子さんの思い通りにならない独自性があると期待したためである。

とは言え、思い通りにならない環境を麻衣子さんが望むことはない。フィーリングがピタッと合わなければ交際には発展しないと予測していた。

初回お見合いの結果は交際希望。麻衣子さんから「またお会いしてみたい」という返事をいただくことができた。理由は面白い人だから。脈のないお見合いでは一刀両断する麻衣子さんだけに、これは予想外にうまくいったということだろうと思った。

1週間後の午後、美味しい和食が食べたいという麻衣子さんを、亮太さんはいきなりハンバーガーショップに連れていった。「どういうことですか!」とイラつきを隠さない麻衣子さんに「僕はもう5つ食べましたから」とお腹を撫でながら亮太さんは焼きたてのハンバーガーを差し出す。

強引ながらもハンバーガーの美味しそうな匂いに誘われて手をだす麻衣子さん。食べ終わる頃には斜めになった機嫌は直っていた。亮太さんが麻衣子さんのために美味しい味を発掘しようと、いくつもの種類のハンバーガーを試食したことを知ったからだ。

二人は瞬間瞬間を輝かせながら、その後も信頼関係を築いていった。マイペースな亮太さんに、麻衣子さんは何かと調子を狂わされた。でも亮太さんのおかげで麻衣子さんは初めてみる様々な自分と出会うことができたという。

恋愛は人を子供に変えてしまうという言葉の意味を麻衣子さんはこの時初めて知ったのだ。「りょうたん」「まいたん」と互いを呼び合う甘い関係性は子供還りそのものだ。

交際が3ヵ月を過ぎる頃、麻衣子さんからの「仕方ないから結婚してあげる!」という言葉で、二人がゴールインすることとなった。

麻衣子さんのわがままを笑い飛ばして、マイペースを崩さない亮太さんとは相性がぴったりの理想の相手だと言えた。それは図らずも、麻衣子さんの婚活の根底にあった「自分のままで愛されたい」という願望がすでにかなっていたためだ。

現在のふたりは結婚の準備を進めているが、婚約指輪のことで揉めているそうだ。とは言っても、揉め事すら楽しんで落ち着くところに落ち着くのが二人のスタイルなので、問題はないだろう。

あまのじゃくな人は友達ができないとか、結婚には向いていないとか、どこかでその性格を修正しなければ、と思われがちだ。しかしあまのじゃくの由来からもわかるように、天探女(あめのさぐめ)という神は「探る女」という意味を持っている。

つまりあまのじゃくでいるということは人の気持ちを探らねばならない理由があるということだ。それが解明できたらあまのじゃくでいる必要がなくなるのだろう。
自分を客観的にみて辿り着きたい目的が見えた時にこそ、ありのままの自分にぴったりの相手が現れるのかもしれない。