
中3の時、彼女も亡くなり、 葬儀に出て実は彼女は字が読めなかったと知る。
「てっちゃん(岩國さん)」が毎日来るのがうれしくて (おばあさんは新聞を)とり続けていたのだ、と。
涙が止まらなくなった……
岩國さんはこれまで新聞配達の経験を語ってこなかった。
高校の同級生で長年連れ添った夫人にも。
しかし、今回、おばあさんへの感謝の気持ちを表す好機と思い、応募した。
「やっとお礼が言えて、喜んでいます」。
きのう電話口で岩國さんはそう話した。
70年以上、朝日新聞を読んできたという。
市長時代には本紙オピニオン面の「私の紙面批評」欄を担当し、 当時の政治に関する社説を厳しく批判したこともある。
いつぞやも「思い込みや独善が一つの欠点」と、 本紙への苦言を頂戴(ちょうだい)した。
新聞週間がはじまった。
失った信頼を取り戻すため、 身を切るような出直しに取り組む覚悟を新たにする。
岩國さんの叱咤(しった)を肝に銘じつつ。
引用:朝日新聞 (2014年10月15日)天声人語

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