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入所者に「うるせえばばあ」 千葉・袖ケ浦市の特養でまた暴言 市が虐待認定

 

袖ケ浦市野里の【袖ヶ浦端穂特別養護老人ホーム】で、職員が入所者に「うるせえばばあ」と発言し、市が心理的虐待と認定していたことが17日、市などへの取材で分かった。同施設では昨年も職員の暴言が発覚し虐待と認定されており、運営する社会福祉法人「瑞光会」は「1度目の対応が不十分だった懸念がある」と説明している。

 市高齢者支援課によると、8月8日に虐待の情報が同課に寄せられ、同課は8月16日、同施設で職員12人に話を聞いた。また全職員35人にアンケートを配布して調査も行った。

 調査の結果、1人の職員が80代女性の入所者に対し「うるせえばばあ」と発言したことが判明し、同課は心理的虐待と認定した。

 9月15日に同法人に調査結果を通知し、9月末までに改善計画を提出するよう求め、同法人は既に提出した。来年3月までの6カ月を検証期間とし、改善計画が実施されているか同課の職員が確認する予定。

 同法人は市から通知を受けたことを認め「(1度目の虐待の)対応が不十分だった可能性があり、抜本的な解決となる対応をするように指導した」としている。

入居女性「殴られた」 関係者が暴行目撃 施設運営の女、傷害容疑で逮捕 匝瑳署

 入居者の高齢女性を殴ってけがを負わせたとして、匝瑳署は13日までに、傷害容疑で匝瑳市のサービス付き高齢者住宅「アウル」の運営会社取締役、鈴木愛子容疑者(68)=同市飯倉台=を逮捕した。「やっていない」と容疑を否認している。同署は日常的な虐待の有無について調べている。

 逮捕容疑は12日午前7時35分ごろ、同市上谷中にある同施設内の女性入居者(91)の部屋で、女性の左腕を殴ってけがを負わせた疑い。

 同署によると、女性は左腕の一部の皮膚がめくれ出血があり、同市内の病院に入院している。命に別条はない。骨折などの重傷はなかった。関係者が暴行を目撃しており、女性も「殴られた」と話している。鈴木容疑者は「女性の部屋に行ってない」とも説明しているという。

 暴行を把握した同市が12日午前10時ごろ「施設職員が入居者へ虐待している」と署に相談。署員が同施設に出向き、鈴木容疑者に任意同行を求めた。鈴木容疑者は同施設の運営者で介護も担当しており、女性を含む入居者と日常的に関わりがあったという。事件当日は勤務日だった。

 同市と県によると、同施設を巡っては、同市が9日にも「虐待が疑われる」との情報を受けた。同市は12日の逮捕前、県職員とともに立ち入り調査を実施し、鈴木容疑者と社長の男性、職員数人から事情を聴いた。

 同市は被害女性を含む入居者9人からも話を聞いており、日常的な虐待がなかったか今後も調査を進める。虐待を認めた場合、業務停止などの権限はないが、高齢者虐待防止法に基づき改善に向けた指導を行う。

◆「やっているはずない」運営会社社長暴行を否定

 取締役の逮捕を受け、運営会社の男性社長は13日、千葉日報社の取材に左腕の皮膚がめくれて出血するけがを負った女性について「皮膚が弱く、介護中にすれてむけることもある」と説明し「(鈴木容疑者が)やっているはずない」と暴行を否定した。

 社長によると、同施設には50代~90代の男女9人が入居。持病や高齢のため介護が必要な入居者もいる。12日は社長と鈴木容疑者、職員3人の計5人が出勤。容疑者が介護を担当する機会は多くなかったという。

 女性について社長は「薬の副作用から皮膚が弱くなっている」と説明。2カ月ごとに皮膚科を受診して薬を処方されており、14日も受診予定だったという。

 県警は暴行があったとされる時間を午前7時35分ごろとみているが、社長は「その時間あたりは車で(鈴木容疑者と)一緒にごみ捨てに行った。部屋に入ることも少ない」と訴えた。「入居者やその家族からの苦情もない」という。

傷害致死容疑で元職員逮捕 袖ケ浦の施設虐待で千葉県警

知的障害がある児童らが入所する袖ケ浦市蔵波の千葉県立福祉施設「養育園」で昨年11月、入所者男性(19)が暴行を受け、その後死亡した事件で、千葉県警捜査1課と木更津署は11日、男性に暴行して死亡させたとして、傷害致死容疑で施設を運営する社会福祉法人の元職員の男(23)=茂原市高師=を逮捕した。

 行方容疑者は容疑を認め「男性が騒ぎ出したので注意したが聞いてくれなかった。ストレスがピークに達して腹を蹴った」と供述している。県警は、行方容疑者が男性ら入所者に日常的に暴力を振るっていた疑いがあるとみて、詳しく調べる。

 逮捕容疑は昨年11月24日午後3時ごろ、養育園第2寮の多目的スペース「デイルーム」で、男性の腹を複数回蹴り、同26日未明、搬送先の病院で腹膜炎により死亡させた疑い。

 県警は関係者から事情を聴く一方、12月に養育園などを家宅捜索して捜査を続けていた。同僚が犯行を目撃していたという。

 県の立ち入り調査では、行方容疑者含め20~50代の職員5人が男性に暴行を振るっていたことが判明。5人は別の入所者9人に対しても暴行をしていた。施設を運営する社会福祉法人「千葉県社会福祉事業団」は12月、5人を解雇していた。県警は元職員数人からも暴行容疑で事情を聴いており、実態解明を急ぐ。

 県によると、同法人が運営する別の2施設でも職員による虐待が次々明らかになっており、計3施設で計15人の職員が性的、心理的を含めて虐待をしていたことが確認された。県は同法人に対して幹部刷新や職員研修の徹底など計4回の改善勧告を出している。また、県の第三者検証委員会が詳しい経緯や原因などの調査を進めている。