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おばあちゃんのおにぎり 人を傷つけたらどうするか【青空と向日葵の会】

【おばあちゃんのおにぎり 人を傷つけたらどうするか】
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戦時中…と言ってももうおよそ80年ほど前のことだから、
戦争のことを知る人の方が少数派になってきました。
戦時中、母の通う小学校に集団疎開してきた少女がいました。
疎開先でもやはり食糧事情が悪かったらしく、
いつもお腹をすかせていました。
母の家は農家。
母はその少女と仲よしになろうと、
翌日その子におにぎりを持ってくる約束をしました。
しかし、母はそのことをすっかり忘れてしまい、
次の日学校に行きました。
結果、その少女との約束を破ることになったのです。
「ごめんね、忘れちゃった」
あっけらかんと母はその少女に言いました。
すると、本気でおにぎりを楽しみにしていた少女は、
しくしく泣き出してしまいました。
おにぎりなんていつだって食べられる母には、
少女がなぜ泣くのかわかりませんでした。
家に帰って、母親(わたしの祖母)にそのことを話すと、
母親の顔色がさっと変わったのです。
その後の母親(わたしの祖母)の行動に
わたしは胸しめつけられる思いになったのです。
その行動とは。

親(わたしの祖母)は、何も言わずに台所に入って、 お釜一杯のご飯を炊きだし、 いくつもいくつもおにぎりを握り始めました。

大皿いっぱいのおにぎりを握って、祖母は母に言いました。

「すぐに持っていってあげなさい。 そして何も言わずに、ごめんなさいだけ言って帰ってきなさい」

母は急いで、その少女に 大皿いっぱいのおにぎりを持って行きました。

その後、祖母は母には教訓めいたことなど、 一切言わなかったそうです。

言葉じゃなく行動で示してくれた教え。

それだけに、母は約束の重さと、また、 もし守れなかったらどう行動するかについて、 身を切られる思いで噛みしめたとのこと。

おにぎりの話になるたびに思い出す話。

そんな我が家は、お金はないけどお米は常に有り余るほどある。

「お米さえあれば、人間は生きていける」

それが祖母の口癖でした。

いつもありがたくいただいてます。

天国のばあちゃんへ  …孫より。