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しょうゆ造りをインド企業に「輸出」 創業約170年、千葉・香取の「ちば醤油」

創業約170年の老舗、ちば醤油(千葉県香取市)がこのほど、インドの外食企業の経営者2人を同市内の工場に受け入れ、日本の伝統的な本醸造しょうゆ造りに関する研修を実施した。国際協力機構(JICA)の

ビジネス化実証事業に採択されたもので、長年培った麹の発酵技術やしょうゆの醸造技術を「輸出」することで、新たなビジネスチャンスを見いだそうとしている。

香取市での研修に参加したのは、インドの首都デリーで日本食レストラン「KAMPAI」(カンパイ)を経営する社長のアヴァンチカ・シンハさん(31)と専務のアンクール・チャウラさん(36)。カンパイは2018年に開店し、現在はデリーに4店舗を構えているという。

研修は9月24日から29日にかけて実施。シンハさんら2人はしょうゆのもととなる麹づくりを体験した。

まず、蒸した大豆と、いった小麦を混ぜ合わせ、種麹を加える。それを発酵器で3日間かけて麹をつくる。その後、麹に食塩水を混ぜ合わせて「諸味(もろみ)」をつくり、工場内のタンクや木桶に入れて約6~12カ月熟成させる。木桶の中には、幕末の創業当初から使われているものもあるという。

麹づくり体験を終えたシンハさんは「しょうゆ造りには、日本の技術が詰まっていて、とても興味深かった」と笑顔を見せ、「いろいろな料理にしょうゆを加えてうまくいくかどうかも試してみたい」と話した。

JICAのビジネス化実証事業では、ちば醤油が伝授した技術をもとに、インド国内で麹の発酵や麹からしょうゆを醸造する実証実験を行う。現地の工場の一角で年間数百リットルのしょうゆを造り、日本とは気候条件などが異なるインドでしょうゆ製造が実現するかを検証する。現地でしょうゆの製造・販売がビジネス化できれば、販売で得られた利益などの一部が技術使用料としてちば醤油に還元される-という仕組みだ。

インドでは日本のしょうゆの認知度はまだ低いが、総人口が世界最大を誇るインドは経済発展や食の多様化が進むとみられ、将来的な需要拡大が見込まれる。

ちば醤油の飯田恭介社長は「日本とは気候や環境も異なるインドでしょうゆ造りができるのか(を検証するの)が第一の目的だ」と話す。その上で、「インドの企業と一緒になってしょうゆ産業や麹を使った発酵産業の発展につながれば」と期待を示した。(久原昂也)

創業170年千葉の老舗醤油屋が日本の醤油技術を提供!インドでしょうゆ造りを目指す企業が来日、伝統の味を探ります。 ~JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業が一歩前進します!~

ちば醤油株式会(本社:千葉県香取市、代表取締役:飯田恭介)が実施中の「JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業」でインド・デリーの外食企業に麹(こうじ)利用の本醸造醤油の技術移転するための研修を、2023年9月24日(日)~29日(金)の期間受入れ、日本の伝統的な醤油造りを体験してもらいます。

取組に至った背景

これまでインドの日本食は富裕層や海外生活経験者など限られた利用者しかいませんでした。昨今の著しい経済発展とコールドチェーンの普及と共に、中流層や若者へ急速に浸透しつつあります。これに伴い日本食に欠かせない本醸造醤油は、インド富裕層の本物志向・自然志向を受けて大いに需要が伸びると予想されます。

弊社は2022年3月1日、国際協力機構(JICA)との間で「インド国日本伝統の麹(こうじ)の発酵技術を活用した大豆加工産業育成にかかる基礎調査(中小企業支援型)」について契約締結。これまで年に2回各1週間程度インドに渡航し、日本食マーケットや日本料理店、インド人家庭などを訪問。日本料理・醤油の認知度やニーズ、将来性を調査してきました。

2023年7月の現地調査において、本醸造醤油の製造・販売に取り組みたいというインド企業との協力が実現し、今回の来日が実現しました。ちば醤油は同社に手作りの麹から作る本醸造醬油の製造方法を技術移転し、

ノウハウ料をリターンとして受け取るビジネスモデルに挑戦中です。

今回の取り組みは、日本国内ではオールドインダストリーの発酵食品製造業が、インド国にとって発酵のニューインダストリーになる可能性を持つ新規事業であり、インドの大豆加工産業育成のビジネス展開と共に、SDGsゴール1「貧困をなくそう」、ゴール8「働きがいも経済成長も」の達成も目指します。

新たなビジネスチャンスを追求し、技術支援を通じてインド国での新産業創出と成長に寄与していく所存です。

実施内容

2023年9月24日(日)から29日(金)の6日間、ちば醤油株式会社の醤油工場で、デリーで外食企業を運営するオーナー、マネージャー2名が来日します。本格的な醤油づくりの講習・体験を通じて日本伝統の醤油の製造方法を学んでもらい、インドでの実証事業の素地を作ってもらいます。

     

<日程>

9/24(日)来日

9/25(月)講習会 AM講習会 PM工場視察

9/26(火)醤油作り体験(体験取材が可能な日)1日作業

9/27(水)醤油作り体験・日本食店舗視察 

9/28(木)醤油作り体験・他社醤油工場見学 

9/29(金)帰国

 9/25(月)PM・26(火)が取材可能日です。

 

 

担当者コメント                       

大手醤油メーカーは、半世紀前から北米、欧州、東南アジアで現地製造を行い、海外の和食の普及と共に事業を成長させています。

一方、現在の当社には海外で現地製造販売するだけの資金力、人材はありません。

それでも海外に商機があると考えた末に行きついたのが、技術の輸出です。

日本独自の「麹」から作る醤油製造のノウハウ輸出ならば当社でも勝算ありとインドでのJICA・SDGsビジネス支援事業にチャレンジしました。

主原料である大豆、小麦の大生産地であるインドで、日本の伝統食品である本醸造醤油が製造・販売できるなら食の多様化が進むインドの新産業になり得ると確信して心血を注いでまいります。

(代表取締役社長 飯田恭介)

【会社概要】

会社名  : ちば醤油株式会社

所在地  : 千葉県香取市木内1208

代表者  : 代表取締役社長 飯田恭介

創業   : 嘉永7年(1854年)

設立   : 昭和39年11月15日(1964年)

事業内容 : 醤油醸造及び加工調味料の製造販売

資本金    : 5,000万円

URL      : https://www.chibashoyu.com/



※国際協力機構(JICA)関連記事

【醤油大国千葉県の老舗企業がインドでクラフト醤油づくりを目指す!】

https://www.jica.go.jp/Resource/tokyo/topics/2022/dnb8qn0000003r42.html

【千葉の誇り・醤油づくり技術をインドへ!】

https://www.jica.go.jp/Resource/tokyo/topics/2022/dit50g00000036e2.html



【本件に関するお問い合わせ先】

ちば醤油株式会社 管理本部

担当:金生谷(かねおや)

TEL:0478-80-7177(代表) 平日9:00~16:00

e-mail:kaneoya@chibashoyu.com

https://www.chibashoyu.com/