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魚をくすねた料理人を罰さず 【青空と向日葵の会】

【魚をくすねた料理人を罰さず】
https://yuru2club.com/wp/?p=7897
江戸幕府創業の功臣、酒井忠世(さかいただよ)が
江戸城から外へ出ようとしたときのことです。
出くわした料理番の役人が平伏すると、
何と袖から魚の切り身が飛び出しました。
それは、彼が持って帰ろうと盗んだものでした。
しかし忠世は気が付かなかったふりをして、
その場を通り過ぎます。
忠世の家来が、後で調べて処罰しますと伝えると、
忠世はそれを制止しました。
「あの料理人が悪いのではなく、私の責任だ。
 彼の給料では、ああするより無かったのであろう」
しかし、役職を利用して公のものを盗むなど許し難いのでは、
と家来は納得できません。
その様子を見て、忠世は言葉を続けます

得が無ければ料理人が食っていけない。  そんな政治を行っているのは私たちではないか。  うーん、そうだ。まずは彼らに羽織を支給してやろう」

羽織を支給する理由がさっぱり分からず、 家来は困惑してしまいます。

「羽織を支給すれば、役得の魚の切り身も上手に隠せる。  そうすれば、恥をかかなくてもすむだろう。  その間に私たちは政治をよくするのだ」

こののち、彼の尽力により政治は改まり、 魚をくすねる必要のない給料が行き渡るようになったそうです。