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「いのちの電話」身分明かした相談員に資格停止処分 無効求め提訴

「神戸いのちの電話」相談員としての資格を認めないのは不当だと訴える男性(奥)=神戸市中央区で2023年10月4日午後2時50分、中田敦子撮影
「神戸いのちの電話」相談員としての資格を認めないのは不当だと訴える男性(奥)=神戸市中央区で2023年10月4日午後2時50分、中田敦子撮影

 自殺などの相談を受け付けている「神戸いのちの電話」の相談員だった男性(70)=神戸市=が4日、相談相手に身分を明かしたことを理由に不当に処分されたとして、運営する社会福祉法人に処分の無効確認などを求める訴訟を神戸地裁に起こした。提訴後の記者会見で男性は「弁明の機会はなく、使い捨てのような扱いを受けた」と訴えた。

 訴状などによると、男性は6年前から無報酬で電話相談員を務めてきた。1月10日、多重債務を抱えて今すぐ自殺したいと訴える相談者からの電話に応じた。その際、適切な機関に紹介するため、司法書士であると身分を明かし、名前や携帯番号を告げたという。

 同法人が発行しているハンドブックには、相談者と私的な関係になることなどを防ぐため、互いに匿名で接することが原則と記されている。男性は倫理規定に違反したとして、活動休止と資格の更新をしないとする通知を受けた。

 原告代理人の鴇田(ときた)香織弁護士は「違反した場合の処分規定が明確ではなく、こうした判断が恣意(しい)的に行われる恐れがある」と話した。同法人の宮里哲秀事務局長は「相談員の匿名は大原則で、繰り返し注意をしていた。今後の対応は訴状が届き次第検討する」とコメントした。【中田敦子】