
必死やから力が入ったんでしょう。
私がお腹をポーンと叩いたら、 ベルトのバックルが弾けて飛んだんです。
それでお客さんがドッと笑った。
いくよちゃんも、つけまつ毛をバタバターッとさせて、 首の筋が浮き上がって。
それを見て思わず、 「あんた首に筋が出てるやん」
「御堂筋や!」 と。 私たちを支えたギャグ誕生の瞬間です。
悔いが残らないよう、全力でやったらウケた。
それからは信じられへんくらい仕事がきて、 二人で全力で駆け抜けてきましたね。
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いくよちゃんにがんが見つかったとき、 私は謝りました。
ずっと一番近くにいたのに、全然気づけなかった。
でも、彼女は逆に私を励ましてくれたんです。
「普段からやるべきことをやってたら、 ここ一番のときも大丈夫やから」 と。
本当に前向きな人でした。
彼女が亡くなるときのことです。
心拍がだんだん弱くなって、もう(止まった)——-。
そのとき、私は出せる限りの大きな声で叫びました。
「大丈夫かーーー!」と。
そしたら、ピクッと動いたんです!
感動しました。
あれはきっと、 「ありがとう」と言ったんやと思う。
そこまで周りに気を遣う、素晴らしい人でした。
それを思うと、私も頑張らんわけにはいかんでしょう。
いくよちゃんと漫才はもうできないけど、 私なりにできることをやっていきたい。
私はお客さんが大好きやし、大笑いしてもらいたい。
いくよちゃんも、 「くるよちゃんは明るくて、 どこへ行っても喜ばれるんやさかい大丈夫。 一人であかんかったら私が空から突っ込むし」 と背中を押してくれてる気がします。
誰よりも、そして最期まで前向きやったいくよちゃんを見習って、 これからも笑顔で生きていきたいと思います。

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