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「陰部の接触はなく、性的意図は一切ない」「腰は一度も振っていない」被告2人が主張 五ノ井さん「もう許すことはない」【五ノ井里奈さん性被害事件・第4回公判詳報】

元陸上自衛官の五ノ井里奈さんに対して、わいせつな行為をしたとされる元同僚の被告3人の第4回公判が、12日、福島地裁で開かれました。

【五ノ井里奈さん性被害事件・裁判関連記事】
▼初公判 「腰を振る動きは笑いを取るため」謝罪から一転、被告3人が無罪主張
▼第2回公判 下半身は「離れているように見えた」元上司が証言 五ノ井さんは法廷で倒れる
▼第3回公判 「着衣越しに陰部接触」「キャバクラのようだった」元同僚の自衛官証

強制わいせつの罪に問われているのは、福島県の陸上自衛隊郡山駐屯地に所属していた元陸上自衛官の渋谷修太郎被告、関根亮斗被告、木目沢佑輔被告の3人です。

起訴状によりますと、3人はおととし8月、北海道の演習場で当時同僚だった五ノ井里奈さんに格闘技をかけてベッドに倒し、覆いかぶさって下半身を押しつけるなど、わいせつな行為をしたとされています。3人は、6月の初公判で起訴内容を否認し、無罪を主張しています。

12日の公判では、五ノ井さんも出廷する中、被告3人のうち、最初に渋谷被告に対する被告人質問が行われました。

腰を振った理由は「笑いを取ろうと思った」

【弁護士からの質問(概要)】
弁護士 Q.演習場の208号室で宴会が始まった時間は?
渋谷被告 A.午後7時ごろ

Q.208号室に入室したとき、室内には誰がいた?
A.上司や同僚3人と五ノ井さん

Q.誰かに何か言われた?
A.上司から「首ひねり(技)できっぺ」などと言われた

Q.自分の意思で五ノ井さんに技をかけた?
A.違う。上司にかけろと言われたから

Q.被告は五ノ井さんに何か言った?
A.「かけるよ」と言った

Q.五ノ井さんは被告に何か言った?
A.「はい、いいですよ」と言った

Q.首ひねりのスピードは?
A.ゆっくりかけた。(五ノ井さんが)けがをしないように

Q.腰を振った理由は?
A.上司に言われて技をかけたが、誰も反応しなかった。だから笑いを取ろうと思った

Q.五ノ井さんに覆いかぶさったということは?
A.ありません

Q.2人の陰部が接触することは?
A.ありません

渋谷被告はきっぱりとした口調で「ありません」と、続けて答えました。

謝罪は「自分の意思ではない」

弁護士 Q.2021年の内部調査で、五ノ井さんは何と言っていると聞かされていた?
渋谷被告 A.1人が手を押さえ、1人が足を押さえ、1人が馬乗りになり腰を振ったと

Q.その後、五ノ井さんの被害申告が変わった?
A.2022年9月、1人ずつに技をかけられたという内容に変わったと聞いた

Q.五ノ井さんに対する行為に性的意味合いはあった?
A.ありません

 

Q.そのあと五ノ井さんに声をかけた?
A.「ごめんな」と言った

Q.何に対して「ごめん」と言った?
A.技をかけたことに対して

Q.五ノ井さんは何と返した?
A.「全然大丈夫です。私、渋谷班長のこと大好きなので」と言われた

Q.腰を振ったのはセックスの疑似行為ではない?
A.違う

Q.検察の調べには疑似行為と答えた?
A.「疑似行為だろ」と何度も言われて押し問答になり、そう答えた

Q.被告と同じ行為をしたのは?
A.関根被告

Q.木目沢被告の行為は?
A.見ていない

Q.木目沢被告は部屋にいた?
A.覚えていない

Q.自衛隊ではどのような調査を受けた?
A.毎日午前と午後、休日に呼ばれたこともあった

Q.2022年9月、陸上幕僚長が記者会見でセクハラ行為を認める発言をしたが、事前に聞いていた?
A.聞いていた

Q.どのような気持ちだった?
A.自分は認めていないのに、なぜ謝るのだろうと思った

Q.五ノ井さんへの謝罪の経緯は?
A.自分の意思ではない

Q.どうして謝罪した?
A.自衛隊に言われたから

Q.自衛隊からの書面があった?
A.あった。3人の被告と上司1人が五ノ井さんに謝罪するというもの。想定問答も記されていた。

Q.自衛隊から謝罪の指導はあった?
A.個別にあった

Q.どういう内容?
A.表情や声のトーン、土下座をするように、など。「謝罪すれば良い方向に進む」と言われた

Q.指導の時間は?
A.30分くらい

Q.謝罪文も書いた?
A.自衛隊が添削したものを清書した

Q.謝罪文の目的は?
A.自分のばかげた行為で五ノ井さんは不快になっていたから謝りたかった

性的意味は「一切なかった」

【検察からの質問(概要)】
検察官 Q.腰は何回振った?
渋谷被告 A.5~6回

Q.腰を振ったことは誰の指示でもない?
A.はい

Q.腰を振ることはいつ思い付いた?
A.技をかけたが、周囲の反応がなかったとき

Q.なぜ笑いを取りたかった?
A.場がしらけていたから

Q.腰を振った理由は?
A.自分はムードメーカーだから

Q.セックスのまねではない?
A.はい

Q.声は出した?
A.ウェーイとか、フーとか。

Q.疑似セックスという言葉は検察の取り調べの中で出てきた?
A.はい

Q.検察とどんなやり取りをした?
A.「疑似セックスだろ」「違う」「疑似セックスだろ」「違う」という押し問答になった

Q.調書に陰部を出し入れを再現する動きと書いてある
A.取り調べ続きで疲弊し、検察の言う通り、そうだと言った

Q.性的意味は全くなかった?
A.一切なかった

Q.「このことは言わないで」と五ノ井さんに言った?
A.言った

Q.なぜ?
A.中隊長に知られるのが嫌だった

Q.何を?
A.自分が人を笑わせるために取った行動

Q.腰を振っているとき、五ノ井さんの顔を見た?
A.見ていない

Q.なぜ?
A.理由はない

Q.どこを見ていた?
A.正面

Q.調べに対し「後ろめたいから見られなかった」と話した?
A.話した記憶はある

Q.後ろめたさはあった?
A.少しはあった

Q.何に対するうしろめたさ?
A.自分の行動に対して

Q.陰部の接触がないのは「意図的にはない」のか、それとも「物理的にない」のかどっち?
A.あたっていない

Q.どうしてそう言える?
A.覚えているから

Q.あたらないように注意していた?
A.それもある

Q.検察には「もしかすると着衣越しにあたった」と言った?
A.思い返せば絶対あたっていない

Q.それ以前にも身体の接触はあった?
A.訓練でならある

Q.それ以外では?
A.ない

Q.抱きついたこともない?
A.ない

Q.五ノ井さん以外にはない?
A.1度あった。みんなに煽られてやった。

Q.相手は誰?
A.退職した隊員

Q.五ノ井さんに申し訳ない思いある?
A.ある。長きにわたり不快な思いをさせた

Q.五ノ井さんはなぜ不快だったと思う?
A.自分のばかげた行動でみんなの笑いものにされてしまったから

Q.五ノ井さんがみんなの笑いものになってしまったと認識している?
A.はい

Q.五ノ井さんに示談を持ちかけた?
A.3人で100万円で示談しようとした

Q.どうして示談しようとした?
A.和解したかったから

Q.どうして?
A.不快にしたことを反省しているから

Q.五ノ井さんと被告の証言に食い違いがあるのはなぜ?
A.それがその人の記憶だから

Q.五ノ井さんが間違えている?
A.それもあるかもしれない

続いて、関根被告への被告人質問が行われました。

関根被告「腰は一度も振っていない」

【弁護士からの質問(概要)】
弁護士 Q.演習場の208号室で宴会が始まった時間は?
関根被告 A.午後7時半すぎくらい

Q.208号室に入室したとき、渋谷被告はいた?
A.いた

Q.木目沢被告はいた?
A.あまり覚えていない

Q.五ノ井さんに技をかけたきっかけは?
A.上司から「首ひねりって技があるからやれ」と言われた

Q.上司に言われてどう思った?
A.なんでやらないといけないんだろうと思った

Q.上司からの指示は断れる?
A.そういうことはあまりできない

Q.技をかける相手を五ノ井さんと指定したのは?
A.上司

Q.関根被告は柔道経験はある?
A.ありません

Q.技をかける前、五ノ井さんに声をかけた?
A.「かけるね、大丈夫?」と声をかけた

Q.どのようにして技をかけた?
A.上司の技のかけ方のジェスチャーを見ながらゆっくりとかけた

Q.陰部の接触はあった?
A.ない

Q.腰は振った?
A.一度も振っていない

Q.そのあと五ノ井さんに声をかけた?
A.立った際に痛くなかったかなと思い「大丈夫だった?」と声をかけた

Q.五ノ井さんは何と言った?
A.「大丈夫です」と言った

Q.その様子をずっと見ていたのは?
A.上司や同僚など5人

Q.関根被告の行為により208号室は盛り上がった?
A.特にそういうこともなく、すぐに立ち上がった

Q.渋谷被告は腰を振っていた?
A.見ていない

Q.木目沢被告は技をかけた?
A.見ていない

Q.木目沢被告は部屋にいた?
A.記憶に薄い

Q.当初、五ノ井さんは内部調査に対して何と話していると聞いていた?
A.複数人から代わる代わるに腰を振られたと話していると聞いた

Q.不起訴不当となったあと、五ノ井さんの被害申告はどう変わったと聞いた?
A.3人から1人ずつ技をかけて倒され、腰を振られたと話していると聞いた

Q.被告に対する内部調査の頻度は?
A.1か月半から2か月続き、平日は毎日、休日に呼ばれたこともある

Q.1日に何時間くらい?
A.7時間くらい

Q.それは業務時間のほとんど?
A.はい

Q.陸上幕僚長が被告らのセクハラ行為を認めて謝罪したとき、どう思った?
A.まだ調査中なのに、なぜ謝るのだろうと思った

Q.被告が五ノ井さんに謝罪したのは被告の意思?
A.いや、自分は行きたくないと言ったが「トップが頭を下げている、隊のためにしてくれ」と言われた

Q.謝罪に行く前に自衛隊から書面の提示があった?
A.想定問答があり、こう質問されたらこう答えなさいなどと書いてあった

Q.個別での指導はあった?
A.あった。話すトーンや土下座をするように、など。また謝罪が遅れたのは捜査中だからと言うように、と言われた。

Q.謝罪文はどのように作成した?
A.自衛隊から「ここがダメ」などと修正された

【検察からの質問(概要)】
検察官 Q.技をかけたのは嫌々?
関根被告 A.疑問はあったが、五ノ井さんに確認したら「大丈夫」と言うから上司の指示に従った

Q.両手を押さえた際、五ノ井さんは抵抗した?
A.2~3秒なので感じなかった

Q.技をかけたのは渋谷被告と関根被告、どちらが先?
A.覚えていないがどちらかといえば自分が先

Q.反省している?
A.上司の指示とはいえ不快な思いをさせてしまった

公判終了後、五ノ井さんが報道陣の取材に応じ、「誠意を感じていた」という謝罪さえ、自身の意思ではなかったという被告たちの言葉に、失望感をあらわにしました

五ノ井さん「もう許すことはない」

記者 Q.きょうの裁判振り返って
五ノ井さん A.全く反省していないんだなって印象です

Q.具体的にどういう部分?
A.証言している姿もそうだし、誠意が感じられない証言ばかり。謝罪についても私は去年の今頃は許そうと思っていたけど、誠意のない、認めない姿勢だったので、私自身もう許すことはないと思っている。徹底的に闘いたいと思っています。事実は事実としてあるので、しっかり曲げずに闘っていきたい。

Q.陰部の接触はなかったという被告の主張について
A.私は最初から変わっていないので、(これまでの公判で)元上司や先輩たちが陰部の接触はあったと、上司からは「少し離れていた」という証言もあったが、見ていた人たちが証言して下さっているので、そこは事実としてあると思うし、証言があってまだ認めていない、誠意ある態度をとってくれないことに本当にショックを受けている

Q.きょうの被告の言葉で一番印象に残ったことは?
A.不快に思わせて申し訳ないという発言は、不快という以上に人生かけて命かけて闘っているし、不快ぐらいで収まる話ではない。その程度にしか受け止められていないことに強い怒りを感じます。

Q.被告にどういう対応をしてほしいか?
A.しっかり自分たちのした事実を認めて、誠意ある謝罪、罪を認めてしっかり償ってほしい

Q.去年の謝罪をどう受け止めているか?
A.私としては認めたものと思って、直接謝罪を受けた時は涙を流している人もいて、しっかり誠意ある謝罪をしてもらっていたので、本当の事をしゃべってもらえればと思っていたが、きょうの証言を聞いて中途半端に許してはいけないと思った。

Q.想定問答や土下座の指示があったという話について
A.指示があったかどうか実際のことはわからない。ただ、誠意ある謝罪と受け止めていたので、受け止めていたからこそ今回の証言はショックが大きい。ハラスメントや性暴力は犯罪ということをしっかり裁判の判決で出してもらわないと、私も結構生きるのが大変なので、気持ちが折れないように頑張りたい

次の公判は25日に開かれ、引き続き被告人質問が行われます。

【五ノ井里奈さん性被害事件・裁判関連記事】
▼初公判 「腰を振る動きは笑いを取るため」謝罪から一転、被告3人が無罪主張
▼第2回公判 下半身は「離れているように見えた」元上司が証言 五ノ井さんは法廷で倒れる
▼第3回公判 「着衣越しに陰部接触」「キャバクラのようだった」元同僚の自衛官証言

「着衣越しに陰部接触」「キャバクラのようだった」元同僚の自衛官証言【五ノ井里奈さん性被害事件・第3回公判詳報】

8月23日、元陸上自衛官の五ノ井里奈さんに対して、わいせつな行為をしたとされる元同僚の被告3人の第3回公判が開かれました。

強制わいせつの罪に問われているのは、福島県の陸上自衛隊郡山駐屯地に所属していた元陸上自衛官の渋谷修太郎被告、関根亮斗被告、木目沢佑輔被告の3人です。

起訴状によりますと、3人はおととし8月、北海道の演習場で当時同僚だった五ノ井里奈さんに格闘技をかけてベッドに倒し、覆いかぶさって下半身を押しつけるなど、わいせつな行為をしたとされています。3人は、6月に開かれた初公判で起訴内容を否認し、無罪を主張しました。

23日、福島地裁で開かれた3回目の公判では、事件があったとされる現場に居合わせた3人の陸上自衛官が証人として出廷し、当時の状況を証言しました。

1人目の証人「キャバクラのようだった」

1人目の証人は、渋谷被告の同期で、木目沢被告の後輩にあたる陸上自衛官の男性。被告に対して「話さなければいけないことがあるならちゃんと言ってほしい」などと語りました。

【検察による証人尋問(概要)】
Q.被告とはどのような関係?
A.渋谷被告とは同期、たわいもない話をする間柄。木目沢被告は先輩。日ごろから仕事のアドバイスを求めるなど、信頼していた。

Q.五ノ井さんとはどのような関係?
A.地元が近いこともあって話すこともあった。(五ノ井さんは)人前に出るのは得意ではないという印象

Q.証人は当時宴会に参加していた?
A.(会場である)208号室の左奥のベッドの間にいた

Q.五ノ井さんは参加していた?
A.部屋の外でつまみを作っていたが、その後、先輩に呼ばれて208号室に来た

Q.部屋での五ノ井さんの様子は?
A.男性陣に囲まれ、キャバクラのようだった

Q.誰に囲まれていた?
A.渋谷被告、木目沢被告、それに元上司の2人

Q.どういうところがキャバクラのようだった?
A.距離が近く、プライバシーにかかわる内容の話が多かった

Q.そのときの五ノ井さんの様子は?
A.積極的には話していない

Q.証人はどう思った?
A.良くない感じがした。距離が近すぎる、危機感を覚えた

Q.最初に格闘技を掛けたのは誰?
A.渋谷被告

Q.なぜ技をかけた?
A.元上司との話の流れから

Q.技をかけてどうなった?
A.五ノ井さんは倒れ、渋谷被告が覆いかぶさる形に。腕立て伏せのような感じ。

Q.覆いかぶさるとは?
A.五ノ井さんは仰向けの状態、渋谷被告と身体は頭1個分離れていた

Q.その後は?
A.腰を振り、正常位のような動き

Q.周りの隊員は渋谷被告の行動にどう反応した?
A.笑っていた

Q.証人はどうした?
A.直視せずにちらちらと見た。

Q.その後、渋谷被告は?
A.次は誰がやる?というような会話

Q.その後、証人はどうした?
A.タバコを吸うため、部屋の外に出た。

Q.その後はどうなった?
A.断言できないが、木目沢被告が頭2個分くらい身体を空けて同じ行為をした。

Q.おととし9月の内部調査では、証人は何と話した?
A.完全な話だけ話した。かもしれない、という話は解決につながらないと思った。

Q.その後、なぜ話そうと思った?
A.(部署が)異動になり、前が異常だったと思った。事の重大さに気づいた。

Q.どういうところが異常?
A.「彼氏は?」などというプライバシーに関する質問や、ボディタッチなど

Q.それをしていたのは誰?
A.ボディタッチは渋谷被告、言動は木目沢被告

Q.どうして話そうと思った?
A.全て話をすることで解決すればと思った。

Q.3人について
A.お世話になった。言わなきゃいけないことがあるならちゃんと言ってほしい。

【弁護士による証人尋問(概要)】
Q.被告が腰を振っているのは見た?
A.見た

Q.内部調査には見ていないと答えている
A.確実じゃなかったので

Q.木目沢被告の行動は断言できない?
A.技をかける瞬間は見ていない

Q.なぜ木目沢被告だと思う?
A.体型などから

Q.渋谷被告の行為から次の人の行為まではどのくらいの時間?
A.5分くらい

Q.その5分間は何をしていた?
A.記憶があいまい

Q.内部調査から時間が経ってわいせつ行為を確信した?
A.整理して考え直していく中で(確信した)

Q.隊員内でこの話をしたことは?
A.自分の周りではない

Q.関根被告については見ていない?
A.はい

2人目の証人「セクハラじみた行為でいい気はしなかった」

2人目の証人は、3人の被告の先輩にあたる陸上自衛官。容姿や髪型から、五ノ井さんに被告2人が覆いかぶさっているのがわかったと証言しました。

【検察による証人尋問】
Q.宴会が始まった時間は?
A.午後6時から7時くらい。

Q.渋谷被告がベッドの上にいるのは見た?
A.見た。物音で振り向くと、五ノ井さんが下、渋谷被告が上になっていた。

Q.どうして下にいるのが五ノ井さんと分かった?
A.容姿、髪型、骨格などで分かった。

Q.五ノ井さんのどこが見えた?
A.頭頂部や肩回りなど

Q.渋谷被告はどうして分かった?
A.同じように髪型など

Q.身体は密着していた?
A.見えていないが、足の部分は密着していてもおかしくない。

Q.見えていたのは上半身だけ?
A.はい。密着はしていなかった。

 

Q.それを見てどう思った?
A.いい気はしなかったが、興味もなかったのですぐ振り返った。

Q.いい気はしなかったというのは?
A.セクハラじみた行為だから。

Q.覆いかぶさっていたのは渋谷被告だけ?
A.木目沢被告も

Q.どのくらいの間見ていた?
A.振り返った一瞬。1~2秒。

Q.関根被告のことは見た?
A.見ていない

Q.証人はずっと208号室にいた?
A.トイレや喫煙で出ることもあった

Q.木目沢被告は腰を振っていた?
A.見ていない

Q.最初の内部調査では何も見ていないと答えていたのに、その後答えを変えたのはなぜ?
A.関心もなかったので、巻き込まれたくないという思いだったが、被害者などが苦しんでいるから、些細なことでもいいと言われ話した。

3人目の証人 着衣越しに陰部接触と証言

3人目の証人は、被告3人の後輩にあたる陸上自衛官の男性。証言台に立つ際は被告側に目隠しがされ、検察からその理由を問われると「良い先輩だったので、顔を見ると正直に言えないかもしれないと思った」などと涙ながらに語りました。

【検察による証人尋問】
Q.208号室の構造は?
A.2段ベッドが8つ

Q.どうやって飲み会をしていた?
A.ベッドの間の通路にアルミボックスを置いてやっていた

 

Q.飲み会が始まるときは誰がいた?
A.渋谷被告と関根被告はいなかった。木目沢被告と元上司はいた。

Q.五ノ井さんは?
A.部屋の外のガスコンロでつまみを作っていた。

Q.五ノ井さんはその後どうした?
A.午後8時くらいに飲み会に加わった。

Q.渋谷被告はなぜ208号室に来た?
A.元上司らに乾杯をしに来た。

Q.渋谷被告と元上司らの会話はどんな話題?
A.柔道の話。「首を制する者は勝てる」と元上司が言った。

Q.その後どうなった?
A.渋谷被告が五ノ井さんに首ひねりという技をかけた。

Q.2人はどのような体勢になった?
A.両腕で五ノ井さんの後頭部を抱えるような、疑似セックスのような体勢

Q.具体的には?
A.正常位のような。

Q.どのくらいの時間?
A.12~13秒間くらい

Q.何か声は出していた?
A.「ウェーイ」などと言っていた

Q.陰部は着衣越しに当たっていた?
A.はい

Q.周りの様子は?
A.笑っていた

Q.その後は?
A.関根被告が来て、首ひねりをかけた

Q.着衣越しに陰部は当たっていた?
A.はい。

Q.そのとき何か言っていた?
A.言っていないと思う

Q.周りの様子は?
A.少し笑っていた。

Q.木目沢被告は見た?
A.見ていない

Q.証人はずっと208号室にいた?
A.いない。洗濯や喫煙、トイレなどで出ている。

Q.内部調査で「見ていない」と話したのはなぜ?
A.男性社会で、過激なトークは多くあった。女性を傷つけてしまったと今は後悔している。あと、先輩3人がかわいそうでかばった。

Q.検察に話そうと思ったのはなぜ?
A.自分自身が精神的に追い込まれ、早くこれが終わってほしいと思った。

 

Q.渋谷被告がやったことはなぜ話した?
A.渋谷被告自身に「正直に話せ」と言われたから。

Q.関根被告は?
A.「俺はやってないよな?」と言われ、そう言ってほしいのかなとずっと思っていた。

Q.証人として出廷するのに、被告側に遮蔽をしたのはなぜ?
A.良い先輩だったので、顔を見ると正直に言えないかもしれないと思った。

【弁護側の証人尋問】
Q.内部調査には「五ノ井さんがセクハラを受けたのは見たことも聞いたこともない」と答えた?
A.はい。

 

Q.内部調査で「五ノ井さんがつらい訓練から逃れるためにされたことを大げさに言っている可能性がある」といった記憶は?
A.覚えていない。

公判の終了後、五ノ井さんは報道陣の取材に応じ「きょうは3名の方が証言してくださったが、最初から自衛隊の調査で同じことを話していただければ、こんなことにはならなかったと思う」などと話しました。

次回の公判は9月12日に開かれ、被告人質問が行われます。

【五ノ井里奈さん性被害事件・裁判関連記事】
▼初公判 「腰を振る動きは笑いを取るため」謝罪から一転、被告3人が無罪主張
▼第2回公判 下半身は「離れているように見えた」元上司が証言 五ノ井さんは法廷で倒れる
▼第3回公判 「着衣越しに陰部接触」「キャバクラのようだった」元同僚の自衛官証言
▼第4回公判 「陰部の接触はなく、性的意図は一切ない」「腰は一度も振っていない」被告2人が主張 五ノ井さん「もう許すことはない」