
二人の息子は、粗末なフトンで、丸くころがって眠っていた。
壁の子供たちの絵にちょっと目をやりながら、まくら元に近づいた。
そこにはお兄ちゃんからの手紙があった。
「お母さん、ぼくは、お母さんのてがみにあったように、お豆をにました。 お豆がやわらかくなったとき、おしょう油を入れました。 でも、けんちゃんにそれをだしたら、 ”お兄ちゃん、お豆、しょっぱくて食べれないよ”と言って、 つめたいごはんに、おみずをかけて、それをたべただけでねちゃった。 お母さん、ほんとうにごめんなさい。 でもお母さん、ぼくをしんじてください。 ぼくのにたお豆を一つぶたべてみてください。 あしたのあさ、ぼくにもういちど、お豆のにかたをおしえてください。 でかけるまえに、ぼくをおこしてください。 ぼく、さきにねます。あした、かならずおこしてね。 お母さん、おやすみなさい。」
目からどっと、涙があふれた。 お兄ちゃんは、あんなに小さいのに、 こんなに一生懸命、生きていてくれたんだ。
私は睡眠薬を捨て、子供たちのまくら元にすわって、 お兄ちゃんの煮てくれたしょっぱい豆を、 涙とともに一つぶ一つぶ、大事に食べました。
このお話を読み終えたとき、私と母の目から、涙が出てきました。
そうして、何度も、何度も、くり返し読みました。
私は、今まで、交通事故は被害者だけが 悲しい思いをしていると思っていましたが、 このお話を読んで、加害者も、 私たち以上に悲しくせつない思いをしていることがわかりました。
毎日、毎日、日本のどこかで、 こういう子供たちが生まれているのかと思うと、とてもたまりません。
どうか、お願いです。 車を運転するみなさん、交通事故など、絶対におこさないでください・・・。

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