仙台市青葉区一番町4丁目のソープランド「プレジデント倶楽部(くらぶ)」が違法営業をしたとして、宮城県警が先月、売春防止法違反(場所提供)の疑いで経営者の男らを逮捕した。未成年の客を入店させたことが逮捕に踏み切った理由だが、法を厳密に解釈すれば、客が成人であっても営業自体が違法の公算が大きい。慣習として「合法」とされてきた業界に、27年ぶりの逮捕劇の衝撃が広がった。
売春防止法違反で摘発され、閉店したソープランド=仙台市青葉区一番町4丁目
同業者「法令順守の徹底」を強調
「逮捕を心配して客が減りかねない」「今まで以上に年齢確認を徹底したい」
プレジデント倶楽部の経営者らの逮捕後、市中心部の同業者らは取材に「法令順守の徹底」を強調し、今後の摘発対象にならないよう警戒感を強めた。
だが、慣例上のソープランドの実態は、ほぼ全てが違法行為だ。
風営法上のソープランドは「店舗型性風俗特殊営業」に当たる。「浴場の個室で異性の客に接触するサービスの提供」は認められているが、売春は想定していない。店側は入浴料を取り、たとえ個室で性行為があっても売春ではなく、「自由恋愛」という建前だ。
1986年の最高裁判決は、この建前を認めない。売春防止法の条文「情を知って場所を提供」の解釈について、「(経営者側の)確定的認識は必要ない」と判示したからだ。
経営者側が「知らなかった」と主張しても、建物を造る動機やいきさつから判断すれば、知らないふりはできないという判決だ。
宮城県警「未成年入店で逸脱と判断」
問題をさらに複雑にしているのが、84年の風営法改正前の「既得権」だ。
宮城県条例は、県内全域でソープランドの営業を禁止する一方で、既存店舗の営業を認めているため、慣例的にソープランドの売春が「合法」との誤った認識が広まったようだ。
ただ、捜査する側は今のところ、厳密な法令適用を考えていない。
県警幹部は「今回は18歳未満を入店させたことが、善良な風俗を逸脱したと判断した。何でも摘発するわけではない」と強調。「ソープランドは衛生面を徹底している上、暴力団との関係も確認されていない。下手に摘発して水面下に潜られ、暴力団と関係を持たれる方が社会にとってマイナスだ」と明かす。
全国各地で慣例的に認められてきたソープランドの営業スタイル。警察側の判断基準が変わるまで「黙認」は続きそうだ。
仙台市青葉区一番町4丁目のソープランド「プレジデント倶楽部(くらぶ)」で売春する場所を提供したとして、宮城県警生活環境課と塩釜署などは26日、売春防止法違反(場所提供)の疑いで、仙台市若林区の会社役員の男(65)と、青葉区の土木作業員の男(47)の両容疑者を逮捕した。県警によるソープランドの摘発は27年ぶり。
逮捕容疑は共謀して2021年1月上旬から今年3月上旬までの間、女性従業員が不特定の客を相手に売春すると知りながら、事業として売春を行う場所を提供した疑い。
県警によると、会社役員は店の運営会社の代表で、土木作業員は元店長。
県警は1月上旬に塩釜市内で18歳未満の少年に職務質問した際、店のポイントカードを所持していたことから捜査を開始。複数の客に売春の実態を確認したほか、3月上旬に店などへの家宅捜索を実施した。少年に接客していた点も考慮して摘発した。
県警によると、店は捜索直後に閉店した。
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