
お母さんにお願いするのです。
「毎晩一緒に寝て、触れ合ってください」
日本の小児科医の父と呼ばれた内藤寿七郎先生は、 「子どもは三歳までに決まる」と言いました。
三歳までにどれだけ触れ合って、抱っこしたかで人生が決まると。
いま、子どもを全然抱いていないでしょう。
保育園に預けても、数人の先生では 子ども全員を十分に抱くことはできない。
車ではチャイルドシートなんかに乗せて、 全然抱いていないですよ。
たとえ十代になっても二十代になっても遅くはないから、 お母さんに彼らと触れ合って、抱き締めてほしいとお願いするのです。
抱き合えばいいんです。
触れ合えばいいんです。
言葉は要りません。
大人たちは頭を使い過ぎますよ。
子どもたちが待っているのは、考えてもらうことじゃない。
そばにいてくれることです。
それを頭で考えて、言葉でこね繰り回すから、 むしろ言葉で子どもたちを傷つけて追い込んでいる。
いま世の中、ハリネズミだらけだ。
教員と生徒も、親と子も、社会全体がそうです。
愛し合って認め合いたいのに、針を出し合う。
例えば、娘が深夜一時頃帰宅した。
親はもう泣きたいくらい心配なんですよ。
玄関のドアが開いた瞬間、本当は、 「やっと帰ってきた。心配していたんだぞ」 と言いたいのに、 「何やっていたんだ、こんなに遅くまで!?」 と言ってしまう。
一方、娘は家に帰ったら、 「遅くなってごめんね」と言おうと思っていたのに、 親に強く言われたものだから、 「うざいんだよ!!」と言ってしまう。
「何だ、その口の利き方は。おまえなんか帰ってくるな!」
「分かったよ、出てけばいいんでしょ!!」……。
素直になればいいんです。
そして、言葉を捨てればいい。
教育に言葉は要らないのです。
水谷修(元高校教諭)

コメントをお書きください