
それは彼女が生まれる前のお話です。
ある日、神様に呼ばれて行くと、 たくさんの生まれる前の魂たちが並んで、 一人ずつプレゼントをもらっています。
「あの町に生まれたい」
「お金持ちの家に生まれたい」
神様はどんなことでも叶えてくれるのです。
女の子の順番がやってきました。
何が欲しいか決まってませんでした。
ふと見ると、神様の後ろに、 「重い病気」と書かれたプレゼントがあります。
「これは誰がもらえるの?」
「一番、強い子だよ。 このプレゼントをもらった子は、 生まれてからすごく苦しいんだ。
だから一番強い子にしかあげられないんだよ」
女の子は思いました。
他の子が、このプレゼントをもらったら、 その子に会ったとき、つらいだろうな・・・
そして神様に言いました。
「このプレゼント、私にください。 私が一番強い子よ」
「他の子にはあげないで。 他の子が苦しむのは嫌だから。 私が一番強い子だから、 私にちょうだい」
神様が答えて言いました。
「君が来るのを待っていたんだ。 君が一番強い子なんだね」
ねぇママ。
そうやって、神様にお願いして、 私は生まれてきたんだよ。
お母さんは涙を流しながらも、 笑顔で女の子を抱きしめていました。
そして、お母さんは思いました。
強くなろう。
もう二度とこの子の前でメソメソするのはやめよう、と。

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