
母は未完成のマフラーを手にすると、 なんとマフラーの端と端をつなぎ合わせたのです。
「ほら、腹巻きが完成した」
「帯に短し、たすきに長し」と言いますが、 マフラーに短いなら、輪にして腹巻きに、という発想の転換。
面白い上に実用的なアイデアに驚き、 涙が吹き飛びました。
翌日、その腹巻きを学校に持って行くと、 なんと課題の期限を守ったのはわたしだけだったのです。
「中江さんを見習いなさい」 と先生が腹巻きを高く掲げておっしゃった時は、 ちょっぴりの恥ずかしさと 母の機転で完成させることが出来た誇らしさで 胸がいっぱいになりました。
この経験は、強烈にわたしの中に焼き付きました。
「最後まであきらめず、次の道を探す」 という教えになったように思います。
中江さんは、15歳の時、 大阪から上京して芸能界に入りました。
学業と仕事の両立がうまくいかず、 定時制の高校を含め三度の転校をしました。
学校に通えない日々が続き、結局退学を迫られました。
最後は通信制の高校に通い、 高校を卒業できたのは20歳になっていました。
それでも、文学の勉強に対する熱意があり、 法政大学への入学を果たすことができました。
学校をやめても、学業を続けることはできる。 そのように文学への学びを続けたことが、 自分のキャリアとなり、現在の仕事に役立っていると、 中江さんは語っています。
マフラーを腹巻きに変身させた母のアイデアが、 「あきらめない」というきっかけをくれましたが、 あきらめないで頑張るのは自分です。
だからいつもピンチになると、 「よしチャンスが来た」と思うようにしています。
ピンチをチャンスに変えるのに必要なのが、 あきらめない力。
どんなときも楽しむことをあきらめない。 そうすればピンチは、楽しむチャンスになるのです。

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