· 

ビッグモーターの街路樹問題で気になった犬や猫への除草剤の健康被害は?

中古車販売のビッグモーターをめぐっては、店舗前の街路樹が不自然に伐採されていたり、いくつかの場所では除草剤の成分が検出されていたりすることが問題となっています。そこで気になってくるのが、除草剤による犬や猫への健康被害です。

 

除草剤は犬や猫に安全なのか?

 

除草剤の成分はいろいろとありますが、ばく露(有害な化学物質が体内に入ること)しなければ健康被害は起こらないのです。飼い主は、ここは除草剤を散布したな、と思えば、そこを通らなければいいのです。

しかし、犬は散歩中に除草剤を散布したところを通ったり、猫を外に出すと、そこでゴロゴロと体をこすりつたりする可能性があります。

 

犬や猫が、除草剤を体内に取り込む経路としては、以下のようなものが考えられます。

 

・皮膚や粘膜(目など)に付着する

・被毛に付着した除草剤がグルーミングして口に入る

・口や鼻から吸入する

・草を舐めて除草剤を飲み込む

・除草剤の成分が残った食物を食べる

 

ペットが除草剤をばく露したときの健康への被害

 

除草剤の中には、有害な化学成分が含まれていることがあります。これらの化学成分はペットの健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

「症状」

・嘔吐

・よだれが多い

・下痢

・血便

・けいれん

・皮膚についたら刺激され、赤みや腫れ、かゆみ

・呼吸困難

・中毒が重篤な場合には命にかかわることも

 

多量にペットに害がある除草剤を体に入ると上記のような症状が出ることもあります。

 

ペットを除草剤から守るために

 

どのような除草剤が散布されたか、飼い主はわからないので、草が全く生えていないところがあれば、以下のことに気をつけてください。

 

・ペットが除草剤の散布された場所に近寄らならいようにする

犬の散歩コースに除草剤が散布されたところがあれば、コース変更をします。そのような場所の近くに住んでいると、猫を出さないようにしましょう。

 

・庭や敷地内で除草剤を使用する際には、ペットを安全な場所に避難させる

除草剤もいろいろな種類がありますので、ペットにとって比較的安心なものがあるので、それにしましょう。

 

また、何かペットに異常な症状が現れた場合には、速やかに獣医師の診察を受けるよう心がけましょう。

 

まとめ

 

ビッグモーターの街路樹問題は、衝撃のニュースでした。どのような理由で、街路樹をなくしたのかわかりませんが、そこを散歩した犬が、他の犬のオシッコのニオイを嗅いだときに、鼻腔から除草剤が入る可能性があります。

 

犬の散歩させるときは、不自然に草が全く生えていないところを避けておいた方が無難です。猫も外に出すとこのような毒物を持つ物質がある可能性があるので、外に出さないで「完全室内飼い」がいいです。

 

家では、犬や猫の危険がない環境になっていると思いますが、このように家から一歩外に出ると、犬や猫にとって命にかかわるものがあることを念頭に置いて、ペットと暮らしてください。

 

 

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医師さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。