「お腹の子猫を返して!」ご近所6人でお世話していた野良猫が、TNRされてしまい… 「みんなの猫」から「お家の猫」になったビーちゃんの物語 【青空と向日葵の会】
ビーちゃんは抱っこが好き!嬉しくてスリスリしちゃいます。(2022年11月20日撮影)
出産予定だった野良猫が、ボランティアの連携不備から堕胎手術を行われてしまうことが2018年2月に神奈川県で起きました。母猫の里親さんも、いずれ生まれてくるはずの里親さんも見つかっている状態。なぜこのようなことが起きたのでしょうか。 【写真】お腹が大きくなっていたビーちゃん。応援団はみんな、子猫の誕生を待ちわびていたのですが… 神奈川県の賑やかな地域の一角、駐車場のすみに草が生い茂る場所があります。ここに2017年末に、生後3~4カ月に見える子猫がふらりと現れました。その愛らしいこと。近所に住む6人が、代わる代わるお世話をしていました。
たくさん名前がある猫
その中に40代のカップルSさんとNさんの姿が。この2人は子猫を「ビーちゃん」と名付けていました。美形の猫だからビーちゃんです。他の人は「はなちゃん」や「はーちゃん」と呼んでいたよう。 ビーちゃんはとても人懐っこい子で、Sさんが自転車で通りがかると草むらから飛び出してくるんです。どうやら自転車の鍵についている鈴の音で分かるよう。そんなビーちゃんをSさんは愛おしく感じていました。 実はSさん、今まで猫どころか動物と暮らしたことがありません。小さい生き物に興味が持てなかったのに、ビーちゃんだけは違ったのです。一緒に暮らしたいと思うようになっていました。Nさんも賛成してくれました。 しかし、ビーちゃんにはお世話をしてくれるおじいちゃんおばあちゃんが、他に4人います。突然、引き取ったら彼らが悲しむのではないだろうか…。何より、当時はペット不可の賃貸物件。どうしようかと悩んでいた矢先に事件が起きます。
生まれてくる子猫にも家族を
2018年1月、ビーちゃんのお腹が大きくなっているのです。どうやら妊娠しているよう。ビーちゃんのお世話をしている人たちは大喜び。それぞれ子猫が生まれた後、迎えてくれる家を探し、6家庭見つかりました。あとは生まれてくるのを待つのみ。 いつしか、ビーちゃんのお世話をしてくれる人たちは「応援団」のようになっていました。ほぼ全員ペット不可の物件に住んでいるため、ビーちゃんも子猫も家に迎えることはできません。その分、「みんなの猫」という団結力が生まれていたんです。 でも、ビーちゃんのお気に入りはNさん。Nさんは大の猫好きで、実家で猫と暮らしていた経験があります。Nさんを見つけると、並んで家まで見送ってくれるんです。時々、Nさんの顔を見上げて、何やらお喋りもするんですよ。
まさかTNRの対象に
2018年2月某日、この日も仕事帰りのNさんを見つけたビーちゃんは家まで見送ってくれました。この時、家に入りたそうにしていたのをNさんは静止します。 「ここはダメなんだ。ごめんね」 ビーちゃんはとぼとぼと駐車場へ…。これがお腹の大きなビーちゃんを見た最後の姿とは、誰も想像すらしていませんでした。 次の日、Sさんがいつものように自転車の鍵についている鈴を鳴らしても、ビーちゃんは出てきません。応援団の他の人も、ビーちゃんの姿を見ていないとのこと。通りがかった人が言うには、保護猫ボランティアの人が連れて行ったと。捕獲機を設置し、バスタオルにくるんで…。 これを聞いたNさんは真っ青。町内会に知らせてあったので、近隣の人は応援団が世話をしていると知っていると思っていたのです。まさか避妊手術をされるのでは…。すぐさま地域の動物病院に片っ端から電話をかけます。間に合ってほしい。
せめて耳カットだけは止めてほしい
その願いは虚しく砕かれます。何軒目かの動物病院に電話口でビーちゃんの特徴を伝えると、「もう手術は終わりました」と…。お腹の中の子猫は亡くなってしまったとも告げられます。目の前が真っ暗になりました。 Nさんは院長と代わった電話口に切々と訴えます。生まれてくるはずの子猫の引き取り手が見つかっていたこと、ビーちゃんは野良猫とはいえ世話をする人間が何人もいたこと、何より捕獲して病院に持ち込んだのは町内会の人間でないことを。 そんなことを今さら伝えたとしても元通りにならないと分かっていますが、怒りや悲しみの行き場がありません。せめて、TNRの証である耳カットだけは止めてほしいと懇願しました。院長は了承します。 Nさんがビーちゃんを引き取ることは規則で出来ず、応援団はいつもの場所で待つしかできません。応援団は、ビーちゃんの今後について話し合いをしました。もう「みんなのビーちゃん」とはいっていられないから。
新しいお家は嫌!
実はSさん、ペット可の物件を探し始めていました。子猫たちが新しい家族のもとへ行ってから、ビーちゃんを迎えようと思っていたからです。でも、応援団の一人がビーちゃんを迎えてくれると申し出てくれました。 いつの間にかいつもの場所に戻されたビーちゃんに、新しい家に行くよと伝えます。ビーちゃんは何のことか分からないまま、キャリーケースに入れられ応援団の一人の家に。その家には先住猫も犬もいて、とても賑やか。人間から見ると、良い環境に思えました。 しかし、ビーちゃんは今まで猫や犬と暮らしたことがありません。ビックリして玄関から飛んで逃げてしまいました。交通事故に遭っては大変と、応援団はまた足を棒にしてビーちゃんを探します。 10時間ほど応援団全員で探し、ようやくビーちゃんを発見。逃げてしまったお家の近くで小さくなっていました。Nさんが「帰ろう」と言うと、静かについて来てくれます。
ビーちゃんとの約束
NさんとSさんは、ビーちゃんのお腹の傷が癒えるまでと大家さんに頼み込み、1週間ほど家で過ごしてもらいました。その後、いつもの場所へ。応援団は大歓迎してくれました。しかし、ビーちゃんは不満。このままずっと家で過ごせると思っていたのに…。 そのビーちゃんの気持ちが痛いほど分かるNさんとSさんは、年末進行で大忙しの時期であるものの新居を見つけ、引越しの手配をしました。ビーちゃんには何度も「必ず迎えに来るから」と約束して。 慌ただしく引越しをし、仕事が忙しい中、荷解き作業。ようやくビーちゃんを迎える準備が整い、いよいよお家の子になる日がやって来ました。Nさんに抱っこされ、ビーちゃんはいつもの場所を発ちます。 「元気でね。幸せになってね」 応援団のおじいちゃんおばあちゃんは、大きく手を振り見送ってくれました。ビーちゃんの姿が見えなくなるまで、手を振ってくれました。
バンザイをして寝る猫に
現在のビーちゃんは、お外にまったく興味がないお家の猫。トイレの失敗もなく、大きな悪戯もしません。ただ、怖いものがあるんです。それはバスタオル。TNRの際、バスタオルにくるまれて動物病院に行ったからか、今でも怖くてたまらないよう。 あと、人間も怖くなりました。あれほど応援団に可愛がってもらったのに、今ではNさんとSさんにだけベッタリ。それを分かっているから、応援団が家に押しかけることはありません。みんな、ビーちゃんが幸せなら嬉しいんです。 最初のころは、少しだけ警戒をしていたビーちゃんですが、今ではお腹を見せながらバンザイして寝るんですよ。お外では絶対にできない寝姿に、NさんとSさんは自分たちの選択に間違いはなかったとしみじみ感じます。 ビーちゃんの赤ちゃんたちにも、この安心をあげたかった。野良猫の繁殖が社会問題だと分かっていても、ビーちゃんの赤ちゃんたちに会いたかったという後悔は今も残っています。 (まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)
まいどなニュース
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名無し (月曜日, 31 7月 2023 00:01)
応援団とか言って無責任に餌やりするのやめて欲しい。うちの隣家が野良猫に餌付けしてて、夜になると集まって来て鳴いてうるさいし、我が家の庭にうんちする。カーポートの上の棚にも登りおりしてるらしく、車にも傷を付けられている。逆恨みが怖くて何も言えず我慢してるけど、排せつ物の処理(砂利敷きに埋めていくので熊手みたいなの買った)、傷の補修費用など損害を受けている。猫がかわいいなら家で飼ってあげてほしい。
名無し (月曜日, 31 7月 2023 00:01)
何を伝えたい記事だっんだろう、、?
可愛いからとご飯をあげて、時間のあるときだけ可愛がって避妊去勢をしないのは無責任。
本当にこの子の幸せを望むのであれば、避妊手術を先にすべきだったと思います。避妊手術は可哀想という気持ちも分かりますが、満身創痍で過酷な環境で生き、幾度も妊娠出産を繰り返す一生の方が余程可哀想です。
外にリターン予定なのにさくらカットしないでって、、また捕獲され手術済なのに開腹されるかもしれないリスクも考えて欲しかったです。
名無し (月曜日, 31 7月 2023 00:02)
ボランティアも以前から、その猫の存在と起こりうる問題を認識していたのですね。
現実を直視して問題を解決しようとする団体の行動力は、たぶんのんびり事を構えている人には厳しすぎる結果だったのかなと。
記事の中にある、2月の寒い中にお腹に子供を宿している母猫を家の中に入れなかった事実は、勿論家の事情やタイミングがあるのはわかるけど、結果的にそこまでの理解だったのでしょう。
その後に、大家と掛け合って一時的にでも何とかなっているのであれば、なんで先にそれができなかったのか?
後悔は先に立たないけれど、可愛いがっているだけではどうしようもない事実の積み重ねが、これから各々の猫との関わり方に繋がっていくのかなーと思いました。
名無し (月曜日, 31 7月 2023 00:03)
皆でお世話をしていたなら、せめて首輪を付けていれば保護されなかったものを。
誰も引き取れないからといって、ちょっとした気の引け目で全くの野良猫と勘違いされてしまった。
まあ、引き取れないのに半野良で世話をするのもあまり良いことではないから、仕方ないといえば仕方ない。
早くしっかりと引き取ってあげられれば一番よかったのだろう。
名無し (月曜日, 31 7月 2023 00:03)
誰も家猫として引き取れずご近所の複数人で餌を与えるのはいいんですが、それをするならまずは避妊去勢手術を行い、"地域猫"として面倒を見てほしい。
そうでないと、野良猫が増える一方です。
冬に公園で、小さい身体でずっと鳴いている野良猫を見かけました。
心配になり、お世話になっている動物病院へ相談し猫の保護を試みていると1人のおばさんが現れ、みんなで餌を与え何年もここにいる猫だから保護なんてするなと言われました。しかしお耳のカットはされていません。
後日ボランティアの方が様子を見に行ってくださり、その時期が寒い冬だったのと老猫だったため保護してくれました。
他にもその公園には沢山の野良猫が住み着いており、近所の人達が猫に名前をつけ毎日餌をあげているようです。
手術もせずに餌を与えていると野良猫の数が増え、車に轢かれたり病気で亡くなる不幸な猫が自分たちのせいで減らないこと知ってほしいです。
名無し (月曜日, 31 7月 2023 00:04)
もっと早く保護してあげればお腹の子も助かったのに…とても残念。TNRのボランティアさんたちを責めるのはお門違いも甚だしいです。無責任な餌やりのせいで近隣住民の方にもご迷惑をかけていたと思います。猛省してください。現在、無責任な餌やりをしている人たち、今すぐ猫を自宅に保護してあげて下さい。
私は保護猫をボランティア団体さんから譲り受けました。とても可愛くて毎日が楽しいです。保護してくださったボランティアさんたちに感謝しています。
名無し (月曜日, 31 7月 2023 00:04)
年配の方はボランティアとか地域猫とかの活動を知らないのかも知れません
今では猫は家の中で飼っているのもご存知ないのかも
地域猫のような活動をしている事を周りに分かるようにしておかないと猫が嫌いな方は世話してるのを知っていても子猫の行先や産後の母猫を飼おうと新居を探しているとかまでは知らないと思うので増えられたら困る、とボランティアの方にお願いするかもしれません
せめて首輪を付けていればですが、猫は高いところに登るので外れない首輪をつけるのは危険です
外れる首輪は知らないうちに外れてしまうので、やっぱりさくらの耳にするのが1番よいと思います
名無し (月曜日, 31 7月 2023 00:05)
とてもお腹が大きくなっていたら、センターの獣医師さんも、今回は産ませましょうと仰る場合もある。私は嬉しい様な、大変だーと複雑な気持ちに。
TNRをした団体さんは、苦情を相談されていたのだと思います。桜耳であれば、ノネコだと言われる心配はないし。耳カットは、人が介入した証。
この、両者の間で話しあいはなかったのでしょうか?仔猫はどこで産ませるつもりだったのでしょう?御乳を割と何か月も吸いながら、かわいいと、いっていたら、妊娠しますよ。仔猫も。
話しあいが必要だったと思います。
名無し (月曜日, 31 7月 2023 00:06)
可愛がっていたにしては手術を受けさせる事も無く、妊娠してお腹が大きくなっているのに積極的に保護する事もなく子猫の受け入れ先だけ探している。
何も知らなかったり猫が嫌いな地域の人からすれば、また野良猫が増えると思ってボランティアに捕獲を頼む事もあるだろうと思います。
手術をした獣医さんに怒りや悔しさをぶつけるのもお門違いだし、可哀そうだけど中途半端なお世話や保護をした結果だと思います。
名無し (月曜日, 31 7月 2023 00:06)
妊娠がわかって子猫の引き取り手もいたのなら、その時点で保護してあげる方法はなかったのでしょうか
場所がなかったなら、ボランティアさんなどどなたかに間借りをお願いして、世話や金銭的な負担は気にかけていたメンバーで分け合うなど、何か方法があったかもしれません
安全に野外で出産出来たとも限りませんし、猫エイズや猫白血病ウイルスなど、深刻なウイルス感染で子猫の寿命が縮む可能性もあります
耳カットに抵抗がおありなら、せめて首輪なり人の手が入っていることを示すものがないとボランティアさんや獣医さんにもどうしょうもないです
子猫たちは可哀想でしたが、お母さんだけでも幸せになれたのが幸いでした