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1枚3000円で脱ぎたてのパンツがほしい…!新宿・大久保公園にやってきた「トー横おじさん」のヤバすぎる「下心」

歌舞伎町の「新宿東宝ビル」周辺――通称「トー横」エリアでは、近年、事件やトラブルが絶えず、世間の注目度や関心も高まっている。悪化する治安に対処すべく、事態を重く見た行政も取り締まりを強化している。

その一方で、「トー横」に通い詰める男性たちは、いったい何を考え、思っているのか。前編記事『逆ギレする「トー横おじさん」も…「聞いていたのと違う。断られるとは思わなかった」新宿・大久保公園に通ってくる人たちの「孤独」と「不満」』に続き、男性たちの「生の声」をお届けする。

「ここマジヤバいっすよ」

上下揃いの寝巻きのような服装をしている青白い顔をした若い男性は、髪留めのクリップが右目の前の妙な位置に付いている。視界が塞がれているだろうに一向に気にならない様子で、熱心に周囲を見渡している。声をかけた。

「オレ週5で来てますけど、ここマジヤバイっすよ。東京というか世界でもここしかないんじゃないっすか。劇場ッすよ。劇場…。

あの子(毛先を青く染めた肌の白い女性)が、いまいる中では一番人気っすね。見てくださいよ、みんな断っているでしょ。(ホストクラブの)売り掛け背負わされている子も多いっすよ。

でも、(彼女たちは)借金あっても返せるんだからうらやましいっす。男にはそんなことできないから」

そこまで一気に話すと、男性はそのままの勢いで「飲み物奢ってくれませんか」と言った。

北関東出身のこの男性は、高校時代から池袋を拠点に遊んでいたが、いつの間にか歌舞伎町に通うようになった。

「オレは女の子の味方です」

「オレ、ホストになりたいんです。まだ見習いでホールには立たせてもらっていません。歌舞伎町で一人前になりたいんです。そしたらどこでも生きていけますよ」

――どうしてここに?

「単純に面白いってのと、あとは人間観察の勉強っす。今は夢があるから付き合う女性はいらないです。もちろん遊びたいけれど、カネないし」

――何が面白いのかな?

「いろんな人が集まるでしょ。エンターテインメントですよ。はっきり言って、ここに来るような男はクズです。ネットやマスコミに踊らされすぎですよ。そんなクズでもカネを払うなら価値があるってことっすかね」

――女の子たちもクズなの?

「それは人それぞれです。風俗に勤めていたら、店に取られるから働いても稼ぎが少ないでしょ。でもここでなら短期間で稼げるじゃないっすか。ここで立って借金返している女の子もいますし、生活費を稼いでいる女の子もいますよ。

男はヤルことしか考えてないでしょ。遊びで立っている女の子なんていないと思いますよ。オレは女の子の味方です」
 
路上に立つまでの様々な事情はあろうが、身元がバレるリスクを背負いながらも覚悟を決めているということなのだろう。やはり女性は男性よりも現実的であるようだ。

声をかけると身体をビクッと震わせて

地に足のついた女性たちを目指して集まる、薄ら暗い欲望を持て余した男性たち。

ここ「トー横」には、血走った目付きというよりも各自の欲に取り込まれた、どんより濁った目つきの男性たちは女性の数倍はいる。

そんな中、路地に一人佇む小柄な男性が目についた。帽子を深く被り、サングラスにマスクをしていて、どちらかというと世を忍ぶ姿ではあるのだが、余計に目立ってしまっている。

――あの、すいません。

目の前の女性たちに意識を集中している彼は、ビクッと身体を震わせこちらを見上げた。

「なんでもないです。ちょっとここにきただけ」と逃げ出そうとする。

――すんません。ちょっと話を聞きたくて。

「なんですか」

素性を話すと、警戒を解き、甲高い声で男性は応じてくれた。

――どうしてここに?

ネットよりも信用できる

「職場で話題になって見に来たのです」

――遊びですか?

「いえ、違います」

――じゃあなんでここに来たのです?

「社会科見学のようなものです。すぐ帰ります」

及び腰の男性は容易に気持ちを開かないが、しばらく話をするとコソッと目的を話してくれた。

「実は、下着を売ってもらいたくて…。ネットでも買えるけれど直接買う方が信頼できるから…」 

――パンツですか。

「そう、そう」

途端に男性は元気を取り戻す。

――おいくらで?

「それは人によりけりですね。私は1枚3000円まで準備をしています」

――もう声をかけましたか?

「まだです」

――どうして?

「人がたくさんいるし、生の女の子にお願いするのがちょっと…」

――でも、その価値がある?

「それはもう、はい。でも人が多すぎますね。出直します」

女性のパンツ――それも脱ぎたてを求めて慎重な性格のこの男性は、勇気を奮ってここに来たようだ。カバンにジップロックを忍ばせて…。

結局この日、この男性は断念したが、10人の女性がいればそれぞれ違う下着がある。下着には歴史と個性があり、それが男性にとっての「性行為」の対象なのだということのようだ。

性の闇は深い。