· 

世界のクロサワ、栄光の裏側にある失敗、挫折、屈折

【世界のクロサワ、栄光の裏側にある失敗、挫折、屈折】
https://yuru2club.com/wp/?p=4905
世界のクロサワと称される黒澤明監督。
黒澤映画は、世界に名のある監督・俳優に今なお影響を与えています。
そんな神様のような存在でありながら、
多くの失敗、挫折を繰り返しています。
61歳のときには、いろんな人との意見の衝突、
映画界の不況など思うように映画が作れないことに絶望を感じ、
自殺未遂を起こしています。
しかし、死の淵から生還して気づいたことがありました。
「やっぱり俺は映画が好きなんだ!」
「やっぱり俺は映画が撮りたい!」
自分の原点を見つめ直した黒澤監督は、ここから復活します。
その後の大作「影武者」の脚本にとりかかったときのことです。
予算は何と12億円!
不況の日本映画界は、これほど莫大な費用をねん出する力はありませんでした。
世界の黒澤の映画であっても、
誰もこのお金を出すと言ってくれる人はいなかったのです。
しかし、黒澤監督、なんとしても、どうしてもこの映画が撮りたい!
その気持に揺るぎはありません。
自ら200枚もの絵コンテ(映画の内容をマンガのように絵で表したもの)を
100日かけて、水彩画で描き上げたのでした。
気迫の絵コンテでした。
その絵コンテを見せられた、あるアメリカ人が動かされました。
「クロサワが映画をつくれないのはおかしい!」
二人の有名なアメリカの映画監督です

の二人とは、フランシス・F・コッポラ監督とジョージルーカス監督です。

今ではこの二人も神話的存在ですが、 この二人ですら「私はクロサワの弟子」と称しているのです。

ちなみにコッポラ監督の「地獄の黙示録」は『七人の侍』に影響を受け、 ルーカス監督の「スターウォーズ」は『隠し砦の三悪人』に 影響を受けて作られた作品だそうです。

ふたりは、『影武者』外国版のプロデューサーを担当。

さらに20世紀フォックス社に50万ドルの資金を出すように交渉してくれたのです。

こうして『影武者』の制作がスタートしたのでした。

やがて完成した『影武者』は、カンヌ映画祭でグランプリを受賞。

さらに興業収入が27億円を超えて、日本映画の新記録を作りました。

映画が撮れないという絶望的な状況で、 使われないかもしれない200枚もの絵コンテを描いた黒澤監督。

その才能だけでなく、その行動がコッポラとルーカスの心を打ったのでしょう。

黒澤監督の語りです。

「これでもか、これでもかと頑張って、一歩踏み込んで、  それでも粘ってもうひと頑張りして、  もう駄目だと思ってもズカッと踏み込んで、  そうしていると突き抜けるんだ」

参考本:心が折れそうなときキミを救う言葉 著者:ひすいこたろう 出版:ソフトバンク文庫