夕焼け空のきれいな写真のハガキだった。
最初は誰からか、分からなかったけど、しばらく考えて思い出した。
ちょっと前に、葬式があったと聞いていた、その子だった。
「朝焼けの写真だったらよかったのに。でも、夕焼けもきれいでしょ?」 と書いてあった。
その下にスペースが余っていたから、 もしかしたら、ほかにも書こうとして続けられなかった 書きかけのハガキだったのかもしれない。
書きかけのまま大切そうにしまっておいた絵葉書を、 家族の人が見つけて出してくれたんだそうだ。
新聞配達なんて眠いし重いし、手が真っ黒になるけど、 「朝焼けが気持ちいい」と、かっこつけて話したのを思い出した。
それに対する返事だったのかもしれない。
「朝焼けの写真だったらよかったのに。でも、夕焼けもきれいでしょ?」 それは、自分の病弱のことはさておいて、 相手を励まそうとする彼女の気持ちそのままのメッセージだった。
そのハガキ、たぶんまだどっかにあると思う。
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