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いいことだらけ? 木から航空エコ燃料、製紙大手の参入続々


木質由来エタノールの生産設備を入れる王子製紙の米子工場(米子市)=王子ホールディングス提供

木質由来エタノールの生産設備を入れる王子製紙の米子工場(米子市)=王子ホールディングス提供

日本製紙、「SAF」用バイオエタノール生産へ 住友商事などと提携

 日本製紙は、「持続可能な航空燃料(SAF)」への利用を前提に、国産木材を原料としたバイオエタノールの生産に乗り出す。3日には住友商事などとの提携を発表。大量に製造する技術を確立したうえで、2027年度の生産開始をめざすという。

 二酸化炭素(CO2)の国際的な排出規制が強まる中、先進国の航空会社は24年から19年比15%の削減が義務化される。植物を原料とするSAFは今後、環境負荷の低い燃料として需要が高まるとみられている。

 日本製紙と住友商事、微生物による発酵技術を持つバイオ化学企業「Green Earth Institute(GEI)」の3社は1月末に、木質バイオマスを原料とするセルロース系バイオエタノールの商用生産に向けて提携する基本合意を結んだ。今後、必要に応じて共同出資の会社の設立なども検討していくという。

 日本製紙は自社の工場内で、年間数万キロリットルのバイオエタノールを生産することをめざし、設備投資を進める。紙パルプの製造技術も活用できるといい、この取り組みを通じてバイオケミカル分野への市場参入を加速させる方針だ。