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不器用に親切な高校生のころ 。青空と向日葵の会

【不器用に親切な高校生のころ】
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仕事帰りの夕方。駅に向かう途中。
盲目らしい男性が白い杖で、
点字ブロックを辿りながら勢いよく歩いていた。
私は目が不自由なのに、しっかりした足取りで
凄いなとか思いながら眺めてた。
そして、少し行ったところの信号。
この時は赤になったばかりだった。
この信号は音が鳴る仕様。
点字ブロックも続いている。
そこで急に男性の前に割り込んだ高校生らしい男子。
当然、ぶつかる。
男性が軽く謝罪し、男子もボソリと謝罪はしたようだった。
しかし、そばで見てた私はイラっとした。
急に出てきて点字ブロックを塞ぐなよって。
でも、男子の前を見てみると、そこに母親と小さな子供がいた。
母親と手を繋いでるとはいえ、
子供は点字ブロックに乗っていたのだ。
このまま男性が進んでいたら、
子供に勢いよくぶつかってしまっていたと思う。
イラっとする行動だが、偶然にぶつかったのが子供ではなく、
男子の方でよかったと思った。
更に、この信号を渡った先の、信号も無い短い横断歩道。
高校生男子は、故意に盲目男性の前を歩いているようだった。
この時もビビリな私は進行妨害すんなよと
心の中で悪態をついていた

して横断歩道に辿り着いた時。

男子が片腕を守るように広げた。

盲目の男性は再び男子にぶつかって、先ほどと同じように謝罪していた。

男子も先ほどと同じようにボソリと謝罪していた。

私は何が起きたか分からなかったが、 徐行しないで曲がってきたトラックを見て理解した。

男子はさっきから、盲目男性に嫌がらせをしていた訳ではなかったのだと。

子供にぶつかりそうな盲目男性の前に割り込んだのも、 前を歩いてるのも不器用な手助けだったのだ。

結局、男子は駅の構内まで盲目男性の前を歩いて 障害物などから、不自由な男性を守っていた。

男性は進行妨害されたと思ったかもしれないけど、違いますからね。

高校生のころ、特に男子はぶっきらぼうなもの。

少しだけ大人の私からしたら、 ひと言、僕の腕につかまっていてください、 とか言えばよさそうなものを。

それを言わない(言えない?)不器用な優しさが もどかしくもあり、微笑ましくもあり。

何もして差し上げなかった私を許してください。