
両親の仲が悪く、家に居たくないことから、 少年は不良仲間とつるんで犯罪を犯し、昔で言う少年院に入ってたようです。
本来なら半年で出られるのに、親が引き取り拒否をし、 その結果「学園」という施設に入所していたそうです。
そこでは親と一緒に過ごせない子供たちが、共同生活をしていました。
そうだったのか…いろいろあったんだね…。
その施設には、4歳から5歳になる小さな男の子がいて、 その男の子がとてもその少年になついてきたそうです。
最初はびっくりし、どうしていいか分からず戸惑っていましたが、 先生から、優しく諭されました。
「君になついているので、お兄ちゃんみたいにお世話をしてあげなさい。 他のお兄ちゃん達には、なつかない子だから大事にしてあげてね」
そんな役割を任されるのも、初めての少年でした。
その子供は、実はすごくわがままらしく、手を焼いていたとのことです。
でもなぜか、少年にはなついてくる。
ある日、少年が、その子と一緒にお風呂に入ると、 その子供の背中に違和感を感じました。
背中に、いくつもいくつも、タバコを押し当てられたような ケロイド状のアザがあったそうです。
その少年は、その子供のアザを見て涙が出てきたそうです。
こんなにちっちゃいのに、なぜこんなにひどい目にあったのか。
どれだけ悲しかっただろう。 どれだけ痛かっただろう。
辛かったろうなぁ… 。
自分が両親からされたことに比べたら、 こんなにちっちゃい子が、これほど可哀想な姿になるまで… 。
それを考えたら涙が流れてきて止まらなくなったそうです。
その子供がびっくりして少年に聞いたそうです。
「どうしたのお兄ちゃん?」
「ゆうくん痛かっただろう…」
「うんにゃー覚えてないよ。 痛かったかどうかも覚えてないよ」
それを聞いて少年は、ますます涙が止まらなくなったそうです。
僕だけじゃないんだ。 僕だけが辛いんじゃないんだ。
僕だけが悲しいんじゃないんだ。
それからは、その少年は子供と仲良く、 毎日元気に施設で頑張ったそうです。
明るく笑顔が絶えない、そんな生活を過ごしたそうです。
やがて、その少年が施設を出る時のことです。
その子は、少年から離れません。
お兄ちゃん行かないで。
お兄ちゃん行かないで。
泣きながら、その子が少年にすがりついてきます。
その少年は、ただその子の目を見つめて、抱きしめるだけでした。
すると先生が、その子に言い聞かせました。
「お兄ちゃんは今からがんばるために行くんだぞ。 ゆうくんの大好きなお兄ちゃんががんばるんだから、 ゆうくんもここでがんばんなくっちゃね! ゆうくんがここでがんばれなかったら、お兄ちゃんはとても悲しいと思うよ」
するとその子は涙をふき取り、小さい声で言いました。 「ぼくがんばる、お兄ちゃん、ぼくがんばる。お兄ちゃんぼくがんばるから!」
すがりついていたその子どもは、 お兄ちゃんから1歩離れて、最後は大きな声で言ったそうです。
「ぼく泣かないで頑張るからね!!」
その少年はこらえていた涙が、もう我慢できなくなったそうです。
その場に崩れてしまいました。
よっしゃ! 元気を出して出発しなさい。 先生から声をかけられて我に戻り、その場を去って行ったそうです。
そう語り終わった少年の涙は、キラキラ輝いていました。
大人の自分がこんなにも頼りないものなのかと、とても反省させられました。
この子たちの信頼関係、 この子たちの出会いと別れ、 こんなにも素晴らしい人間としての愛があるのかと…。
いつまでも忘れられない思い出として反省し、 心を洗われるこの思い出を大切にしていきたいと思っています。
2ちゃんねる「涙が出るほどいい話」より

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