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苦境の北朝鮮レストランが「個室不倫」の新商売を開始

北朝鮮には国営と民営のレストランがあるが、そのいずれもが苦境に立たされている。海外からのヒトとモノの流れを完全に止めてしまった極端なゼロコロナ政策が、経済に深刻なダメージを与え、客が激減しているからだ。そんな中で生き残ろうとするレストランは、ある種の「個室」を活用している。

 

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、清津(チョンジン)市内中心部にある有名なレストランのほとんどは閑古鳥が鳴いており、国営レストランの場合、国家計画(国から課せられたノルマ)の達成、従業員への給料の支払いの、いずれも困難になっている。

 

そこで辿り着いた妙案は「個室」の設置だ。更衣室や倉庫だったスペースを個室に改造し、若い男女や8.3カップル(不倫カップル)に部屋を貸し出しているのだ。料金も国が定めた国定価格ではなく、民間の相場に合わせて利益率を上げ、ノルマの達成と給料の支払いに当てている。

実際に新浦(シンポ)市内のレストランの個室を利用した経験のある別の情報筋によると、個室はテーブルが1つしかない小さな部屋で、ラブホテル代わり以外にも、商談などにも使われている。料理の価格はかなり高く設定されているとのことだ。

 

当局は、過去に何度もこうした個室の禁止令を出しているが、ゼロコロナ政策による経済的苦境という失政が復活させてしまった。

 

一方、平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)市では、レストランやサウナに対する衛生、運営状態の検査が行われている。

デイリーNKの内部情報筋によると、これらの店舗に対し、昨年12月に制定された社会給養法を遵守しているかどうかを調べる点検が先月から行われている。対象にはビリヤード場や美容室なども含まれ、取り締まり班には内閣、国家計画委員会、検察、朝鮮労働党中央委員会の人員が派遣されている。

 

貿易都市として賑わっていた新義州だが、ゼロコロナ政策で貿易が完全にストップしてしまった。現在はその反動で密輸が増えている状況もあり、「新義州が見せしめに選ばれた」との不満の声が地元では上がっている。

 

処罰も非常に厳しく、施設そのものを没収された人もいたとのことだ。

 

新義州には、密輸業者からワイロを受け取ったり、直接密輸に乗り出したりして得た資金をもとにレストラン経営に乗り出す保衛部の関係者が少なくない。都市全体が、北朝鮮が数年前から取り締まりに力を入れている、不正蓄財を含む「非社会主義・反社会主義現象」の温床となっているのだ。

コンドーム着用ゼロ…破滅する北朝鮮の女性たち

北朝鮮で庶民を相手に商売を行う女性たちの、目を覆わんばかりの実情が明らかになった。薬物の力を借り道端に立ち、わずかコメ数キロ分の現金を得るために、着けない男性を相手にする。

 

外見と年齢で

「恵山市の駅前広場には、夜になると多くの女性が客引きが現れます。一回の値段は中国元で20元(約300円)から30元(約450円)。客引きがいる場合には別途10元(約150円)を払います。行為をするのは近所の民家や宿屋の一室。男性は着けません。客は軍人がねらい目です。駅前に降り立つ軍人は将校の場合が多く、出張のための現金を持ち歩いているためです。電車も予定通りに動かないので、時間をつぶす需要もあります」。

北朝鮮北部・両江道(リャンガンド)第一の都市、恵山(ヘサン)市の事情に詳しい脱北者は25日、デイリーNKジャパンの取材にこう答えた。30元は約4万北朝鮮ウォン。コメ9キロ程度が買える。

着用は「ゼロ」

同様の証言は、韓国の有力日刊紙「東亜日報」で十余年にわたって記事を書き続ける脱北者のチュ・ソンハ記者も、今年7月、人気ブログ「ソウルで語る平壌の話」で明かしている

こちらは咸鏡北道(ハムギョンブクト)第一の都市・清津(チョンジン)市のケースだ。

「午後10時が過ぎると、水南(スナム)市場から道立劇場まで続く、長さ約4キロの大通りの脇道の暗がりの中に、女性たちがずらりと立ち並んでいます。みな、体を売りにきた女性たちです。その数は数え切れないほどです。価格は見た目と年齢で決まります。一般的には、中国元50元(約750円)ですが、40代以上になると30元(約450円)、若い女性は100元(約1500円)を受け取ることもあります。価格交渉がまとまると、近所の一般住宅に入ります。代金を取り、場所を貸す家も多いです。男性によっては、ツマミと酒を持ち込んで、女性と一杯やる者もいます。男性は使いません」。

覚せい剤に頼る

いずれの場合でも男性は着用していない点が特徴だ。

元々、性に対し保守的な北朝鮮では、着用率が低いことで知られている。WHOは同国における避妊具の普及率を69%としているが、筆者がインタビューした多くの男性の着用率はなんと「ゼロ」であった。チュ記者のブログはこう続く。

 

「妊娠した場合には、女性が処置をするだけです。性病検査などはしないので、梅毒など、たくさんの性病が蔓延しています」

さらに深刻なのが、本来は恥じらいの多い北朝鮮の女性たちに、勇気をもたらす「覚せい剤」のまん延だ。ブログを続けて引用する。

「売春する女性の多くは、麻薬に酔った状態で道端に立ちます。『オルム(氷)』と呼ばれる麻薬(覚せい剤)は1グラム50元(約750円)程度で買えます。これを10回に分けて吸うんです。こうすることで、夜通し通りに立つことができるようになるだけでなく、見知らぬ男性の前での恥ずかしさも抑えることができるというのです」

 

「オルム」はメタンフェタミン、すなわちヒロポンのことだ。地域と品質によって異なるが、北朝鮮では1グラム(10回分)を50元から120元(1800円)で気軽に買うことができる。

北朝鮮で売春が、職を持てない女性の主要な収入源になっていることは、これまで本誌を通じ何度も述べてきた。

北朝鮮において売春は、1990年代の大飢饉「苦難の行軍」の時期に拡大。国家の配給制度が事実上崩壊し、食べ物を手に入れるため現金収入が必要となったからだ。しかし、社会の急激な変化の中、現金を得るための「就職先」が容易に整備されるはずもない。かくして、女子大生から主婦まで、商売をする元手が無い者にとって売春は、唯一とも言える生計手段として完全に社会に根付いている。また、国内経済が危機を迎えるたび、こうした傾向に拍車がかかってきた。

 

だが、そんな女性たちを待ち受けているのは「破滅」である。

北朝鮮には麻薬中毒患者のための施設などなく、自慢の「社会主義無償医療システム」も、薬品はすべて市場で自前に入手しなければならないという、看板倒れに過ぎないのが実態だ。性病か薬物中毒で倒れれば、現金収入が絶たれ、死ぬしかない。

 

あらゆるセーフティネットのない社会、北朝鮮で、今日も貧しい庶民の女性は道端に立ち、無防備にその体を差し出しているのである。

女性芸能人たちを「失禁」させた金正恩氏の残酷ショー

北朝鮮が国際社会の非難に対し最も強く反発するのは、人権問題を巡ってのものだ。北朝鮮外務省の報道官が6月26日に発表した談話で、「最近だけでも、米国はあらゆる虚偽とねつ造で一貫した『人身売買報告書』と『国際宗教自由報告書』でわが国家を悪らつに謗った」と語気を強めた。

 

北朝鮮が人権問題で反発するのは、それが最大の弱点だからだ。核問題はむしろ、国際社会の目を人権問題から逸らせる効果を発揮している。

30日に板門店(パンムンジョム)で行われた実質的な米朝首脳会談の報道でも、人権問題に言及したメディアはほとんどなかった。しかしいくら非核化が進んでも、金正恩党委員長が残忍な独裁者であり、国際社会に受け入れがたい存在である事実に変わりはない。

公開処刑は、その行為自体が人権侵害であると指摘されているが、北朝鮮ではそれが示威的に、さらには最高指導者の「個人的理由」で行われているところに重大な問題がある。

金正恩氏の父である金正日総書記は、自らの女性スキャンダルが金日成主席(正恩氏の祖父)にバレることを恐れ、愛人だった有名女優の禹仁姫(ウ・イニ)を残忍な方法で公開処刑にしたとされる。しかも金正日氏は、彼女の同僚である芸能人らにその様子を見ることを強制し、恐怖による「口封じ」を行ったのだ。

「妻の秘密」

金正恩氏もまた、これと似たような行為を働いた。

金正恩氏は「親友」である元NBAプレーヤー、デニス・ロッドマンが北朝鮮を訪れた際、名門女学院の学生たちを呼び出して、乱痴気騒ぎにつき合わせたと言われる。

しかし父とは異なり、金正恩氏を巡っては、特定の女性とのスキャンダルは聞こえてこない。彼が残忍な公開処刑に走った「個人的理由」とは、李雪主(リ・ソルチュ)夫人の結婚前の「元カレ」写真を巡るものだった。

問題の「証拠写真」

脱北者でもある東亜日報のチュ・ソンハ記者は次のように解説している。

李雪主氏が金正恩氏のパートナーとして選ばれた際、彼女が所属していた銀河水(ウナス)管弦楽団の同僚や友人ら数人が、ソルチュ氏に「元カレ」がいたことを示す「証拠写真」を回し見した。これが、北朝鮮当局の知るところとなってしまった。

 

当局は、写真の持ち主は誰で、回し見したのが誰であるかを執拗に調べ、突き止めた。そうして銀河水管弦楽団と旺載山(ワンジェサン)芸術団のメンバーら9人の名前が挙がり、2013年8月、姜健総合軍官学校の射撃場で銃殺されたという。

当局はその様子を、射撃場に集めた芸術関係者数千人に見せつけた。前列で見ることを強要された女性歌手らの中に、失禁しなかった者はいなかったという。

これらの情報がどこまで事実であるかは、検証が必要ではある。しかし少なくとも、禹仁姫や芸術団メンバーらが公開処刑されたとの情報には相当程度の信ぴょう性がある。果たして、これらの情報が事実であると裏付けられたとき、各国のメディアは、現在と同じような視線を金正恩氏に向けることができるだろうか。

<北朝鮮内部調査>各地で「放浪者」=ホームレスが増加 困窮し捨てられた老人や子供が路上に…死者も 内部文書入手 当局は対策を徹底指示


(参考写真)取材中に出会った女性の「コチェビ」。23歳でだと答えた。後にトウモロコシ畑の中で死亡しているのが発見されたという。2010年5月に平安南道で撮影アジアプレス。

◆内部文書にも記されていた「放浪者増加」

(参考写真)取材中に出会った女性の「コチェビ」。23歳でだと答えた。後にトウモロコシ畑の中で死亡しているのが発見されたという。2010年5月に平安南道で撮影アジアプレス。

◆困窮して「親捨て、子捨て」まで

アジアプレスが入手した2020年8月に発行された労働党の内部文書。「最近放浪者たちが増えている動向」とタイトルにあり、「漏れなく捉えよ」と指示している。


アジアプレスが入手した2020年8月に発行された労働党の内部文書。「最近放浪者たちが増えている動向」とタイトルにあり、「漏れなく捉えよ」と指示している。

(参考写真)寒空に一人で杖を突いて歩く老婆に声をかけた。「80歳。生活が苦しくなって息子夫婦から出て行ってくれと言われた」と答えた。2011年2月平壌市郊外にてキム・ドンチョル撮影(アジアプレス)

◆息子から追い出されて彷徨う老婆の姿

(参考写真)寒空に一人で杖を突いて歩く老婆に声をかけた。「80歳。生活が苦しくなって息子夫婦から出て行ってくれと言われた」と答えた。2011年2月平壌市郊外にてキム・ドンチョル撮影(アジアプレス)


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北朝鮮ミサイルの資金源!?世界最強のハッカー部隊の正体【報道1930】


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国際的に孤立し経済はジリ貧のはずの北朝鮮が、ミサイルを乱発し、核開発・軍事衛星打ち上げ計画などお金のかかることに積極的だ。番組はこれらの資金源かもしれない北朝鮮の“稼ぎ頭”に注目した。それは世界にサイバー攻撃を仕掛けるハッカー部隊『ラザルス』だ。その実態と正体…。更に後ろに見え隠れする中国の存在…。知られざる『ラザルス』を議論した。 【写真を見る】北朝鮮ミサイルの資金源!?世界最強のハッカー部隊の正体【報道1930】 ■「北朝鮮はハッキングのスーパーパワー(超大国)」 北朝鮮は去年、過去最多のミサイルを発射し、約710億円を費やしたとされるが、米・NSC(国家安全保障会議)は、「北のミサイルに必要な資金の3分の1はサイバー攻撃で調達している」とした。そのサイバー攻撃を実行するハッカー部隊『ラザルス』を長年追い続けるイギリス人ジャーナリストに聞いた。彼によれば『ラザルス』は世界で最も攻撃的なハッカー組織だという。 ジャーナリスト ジェフ・ホワイト氏 「ラザルスとは一度死んで生き返ったキリスト教の聖人の名。ウイルスを消滅させたと思ってもまた攻撃を仕掛けてくる。だから『ラザルス』と名付けられた。(中略)ハッキングは送られてくるメッセージから始まる。何か素晴らしい約束をしてきたり、悪いことが起こると脅迫してきたり、あるいは緊急の話があるというフィッシングメールを送り付け、クリックさせようとしてくる」 例えば、2016年、北朝鮮のハッカーがバングラデシュの中央銀行をハッキングして約1100億円を盗もうとした。きっかけは人事担当者に送られてきた履歴書のファイルだった。そして担当者が履歴書のファイルをクリックしたことで『ラザルス』は中央銀行に侵入。きわめて古典的はフィッシングメールだ。だが、ここからが『ラザルス』と、そこいらの詐欺との違いだ。人事部から侵入し、すぐには悪さをせず行内でネットワークを広げ、1年かけて大金を動かせる部門に侵入。そして、履歴書の送付から1年以上たったある日、バングラデシュの中央銀行からFRB米連邦準備制度委員会に1100億円をフィリピンの口座に送金するよう偽の指示が出されたのだ。『ラザルス』は長い時間を費やし世界の銀行が国際送金に利用するシステム「SWIFT」のデータを書き換えていた。FRBが疑念を抱き途中で送金を止めたが約91億円が『ラザルス』の口座に振り込まれた。 なぜバングラディッシュが狙われたのか…実はアメリカの休日が土日でバングラディッシュの休日が金曜土曜というズレを狙ったのだという。実際、金曜に送金させることでバングラディッシュ側での発覚は遅れている。

この『ラザルス』が今狙いを定めているのがビットコインなど暗号資産だ。既に去年1度に780億円もの暗号資産が盗まれるなど、『ラザルス』による被害が複数報告されている。 ジャーナリスト ジェフ・ホワイト氏 「(北朝鮮では)国民の大半が生涯インターネットを使うことがないというのに、北朝鮮はハッキングのスーパーパワー(超大国)なんだ。目を見張るのは、あれほど世界から切り離された国の人々であるのに暗号資産をここまで理解しているということ。我々が目の当たりにしているのは『ラザルス・グループ』の脅威の進化だ」 暗号資産の被害は世界で約5000億円とされるが、その4割強が北朝鮮によるものだという報告もある。表現は適切ではないが、この世界をリードするハイレベルのハッカー集団を北朝鮮はどのように生み出したのだろうか…。 ■「ハッカー部隊にいれば完全に“打ち出の小槌”」 北朝鮮国籍のパク・ジンヒョク…。『ラザルス』が関わったサイバー犯罪に与した容疑で、FBIが最重要指名手配として氏名、写真を公開している人物だ。 彼の学歴は、平壌のキムチェグ工業総合大学。IT分野の名門といわれ、多くのハッカーを“輩出”している。実は『ラザルス』など北朝鮮でサイバー犯罪に関わる人は厳しい競争を勝ち抜いた超エリートだという。 7年前に脱北した元北朝鮮のエリート外交官、テ・ヨンホ氏に聞いた。彼は今、韓国の国会議員だが、金正恩政権から24時間監視されているという。更にハッキングの被害にもあっている。 テ・ヨンホ氏は北の外貨獲得は殆どハッキングによるもので、金正恩氏の指示によるものだと語った。 元北朝鮮外交官 テ・ヨンホ氏 「金正恩と兄弟たちは幼い頃からスイスにいたので、当時から最も高い水準のIT技術に接していた。インターネットも得意だ。北朝鮮は外貨を投資することにシビアだが、コンピューターやハッカー養成には惜しみなく投資していて、最新式のPCやサーバーを買い与え続けている。 (中略)一般の大学に通ったところで食料など配給されないが、ハッカー育成専門大学に行けば、毎月基準に従って食料や肉が配給される。更に4年の課程を終えれば外国にも行ける。北朝鮮で若者が外国に行けるなど想像もできない。(ハッカー育成専門大学を出ることは)成功を手に入れた人生と見ていい。20代の若さで飛行機に乗って外国に出入りし、2~3年間海外生活を送ること自体、非常にリッチで最上級の生活だとみなされる」