8月だけで3人死亡…福島原発作業員を次々と襲う「死の病」

福島原発に「恐ろしい病」が蔓延しているのか。東京電力は24日、60代の男性作業員が死亡したと発表した。

 今月21日、1号機タービン建屋に機材を運び入れた際に突然意識を失い、救急車で病院に運ばれ、死亡が確認されたという。

 福島原発では1日と8日にも男性作業員が死亡している。今月だけで、3人も亡くなったことになる。

 東電広報が言う。

「プライバシーに関わる問題なので、死因の詳細については回答を差し控えます。ただし、1日と21日に亡くなった方はケガや作業中の事故など外傷ではなく、病気などの内部疾患が原因と、元請け会社から報告を受けています」

 昨年度、福島原発で死傷した作業員は64人。ベテランが減り、経験の浅い作業員が増えたため、タンクから転落して死亡したり、機械に手足を挟まれて重傷を負うケースが急増した。あの事故から4年5カ月が過ぎ、事態は新たな局面を迎えているようだ。

2012年の福島県の“死因ワーストランキング”で「急性心筋梗塞」がトップに急浮上した。死亡率は全国平均の2.4倍である。13年以降は、県外への人口流出が激しく、正確な統計がとれていないが、これらの病と作業員の死亡に因果関係はないのか。

「ルポ イチエフ」の著書があり、福島原発の取材を続けているジャーナリストの布施祐仁氏がこう言う。

「作業員の死因をつぶさに調べているわけではありませんが、ハッキリと言えることがあります。それは、4年前と比べて建屋内の作業が増え、“被曝リスク”が格段に高まっているということです。例えば、建屋内の放射線量測定など高線量区域での内部調査は、小型の専用ロボットを遠隔操作して行います。ところが、ロボットが動かなくなってしまった場合は、作業員が中に突入して“救出”します。作業員の被曝限度は年間50ミリシーベルトという規定がありますが、こうした危険な業務に1度でも従事すると、2週間足らずで上限に達してしまいます。2週間ではいくらも稼げません。だったら、線量計を外してでも仕事を続けよう、という作業員がいても不思議ではありません」

 東電は「安全確認を徹底して再発防止に取り組みたい」(広報)と言っているが、1カ月に3人の死は多すぎる。