魚沼産コシヒカリも過去最安値…なのに生産コスト上昇で危ない「コメどころ」

 新潟の名産品といえばまず挙がるのがコメ。平成25年の収穫量66万4300トンという日本一のコメどころが今、危なくなっている。

 JA全農にいがたはこの秋、新潟を代表する「コシヒカリ」の卸売価格を1等米60キロ当たり前年比1300円安い1万5千円に下げ、最安値に並んだ。最高級の魚沼産は同2500円安の1万8500円と、初めて2万円を割り込み、過去最安値となった。

 米価の低下傾向に加え、生産費の3割超を占める肥料・農薬・農機具の価格上昇が生産者を圧迫。「作っても赤字になるだけ」「このままでは後継者がいなくなる」との声が出ている。

 米価低迷の最も大きな原因はコメ消費量の減少。農林水産省によると、25年度の年間コメ消費量は1人当たり56・9キログラム。最多だった昭和37年度の118・3キログラムの半分以下だ。泉田裕彦知事も「コメは価格調整が難しい。需給バランスが少し崩れただけで価格が暴騰暴落する」と嘆く。

 県内では、コメの消費を増やすため、さまざまな努力が続いている。

 一つは米粉の利用拡大。新潟県では小麦粉消費量の10%以上を国産米粉に置き換え、食料自給率の向上につなげる「R10プロジェクト」を進めている。米粉を使ったパン、うどん、パスタなどが開発され、9月には東京の外食産業や小売・流通業者を招いたプレゼンテーションも行った。

 県が漫画家、やなせたかし氏に依頼し、平成20年に誕生した米粉のPRキャラクター「コメパンマン」も各地の米粉イベントに参加している。

 主食用米生産からの転換を促す支援策も始まった。農家や畜産業者が飼料用など非主食用米の生産・利用拡大に必要な機械や施設の整備に補助金を支出する。

 また、農業・食品産業技術総合研究機構がイタリアのコメ料理「リゾット」向けに開発した品種「和みリゾット」を使った料理を県内の飲食業者が提案するなど熱を帯びてきた。取材してみて、消費者目線でコメの需要を増やす必要性を痛感した。

 供給側の都合ばかり考えていては、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)による輸入品との価格競争も乗り切れず、海外の消費者を魅了するのも難しい。そのあたりにブランド力を死守するヒントが隠されているのではないだろうか。(新潟支局 臼井慎太郎)

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コメント: 1
  • #1

    大橋 (木曜日, 18 12月 2014 01:40)

    米食ってくれよ。頼む。日本はお米の国なんだよね。JAPAN