鉄道自殺、最多の原因は「健康問題」だった

過去7年間に鉄道自殺した4261人の職業や原因の内訳が、政府のデータから明らかになった。厚生労働省自殺対策推進室が筆者の開示請求に応じてデータを提供した。大まかな年齢階級も記載されているため、どのような人が、どのような原因で鉄道自殺したのか、初めて集計できるようになった。自殺対策推進室の担当者は「過去に同様のデータを公表・提供したことはない」と述べており、鉄道自殺に絞った職業や原因が判明するのは初めてとみられる。

【図解】これが鉄道自殺の原因・動機だ

■自殺原因のトップは健康問題

 集計したところ、鉄道自殺の5割強を「無職者」が占める一方で、「生徒・学生等」が430人と約1割に達していることがわかった。自営業以外の有職者(勤め人)は1246人で全体のほぼ3割を占め、無職者に次いで2番目に多かった。具体的な職種が判明しているうち最多だったのは「事務職」の151人、次いで「専門・技術職」の133人だった。

 データは、警察庁の調査を厚労省がまとめたもの。2009年から2015年までの7年間の自殺について、ひとり1行を使って発見年、性別、年齢階級、職業、原因・動機がリスト形式で記されている。「鉄道自殺」という分類は存在しないが、発生場所が「駅構内」または「鉄道線路」で、方法が「飛込み」とされているものを対象としたところ、4261件となった。発見地の都道府県が記された部分は提供を断られた。

 自殺の原因別では、自営業以外の有職者の場合、1位が精神疾患や身体の病気などの「健康問題」で、2位が職場の人間関係などの「勤務問題」だった(原因不詳を除く)。「生徒・学生等」だと「いじめ」が原因だったのは6人で、「就職失敗」も11人いた。

「生活苦」や「仕事疲れ」も

 原因は52種類の小分類が一人ずつ記録されており、「不詳」を除いて多い順に「うつ病」「統合失調症」「身体の病気」「その他の精神疾患」といった健康問題が1~4位を占める。

 このほか「生活苦」が5位(134人)、「夫婦関係の不和」が6位(65人)、「職場の人間関係」が7位(64人)と上位に入ったほか、12位には「仕事疲れ」(55人)、13位には「学業不振」(53人)といった原因がみられる。

 そのほか、気になる原因としては、18位「就職失敗」(44人)、22位「進路に関する悩み」(41人)、26位「仕事の失敗」(33人)、34位「子育ての悩み」(19人)、38位「入試に関する悩み」(14人)、49位「犯罪被害」(2人)などがある。

 原因はひとりにつき最大3つまで記録され、およそ16%にあたる668人が2つ以上の原因を抱えていた。

 原因を大分類で見ると、「健康問題」「経済・生活問題」「家庭問題」「勤務問題」「学校問題」「男女問題」「その他」「不詳」の8つがある。

■学生・生徒の場合は「学校問題」がトップ

 雇用形態別で見ると、無職者の場合は「健康問題」が圧倒的に多く75.1%。健康問題は自営業でも52%、自営業以外の有職者(勤め人)でも40.9%と多数を占め、「不詳」を除くと鉄道自殺者全体の原因のほぼ6割が「健康問題」だった。一方、学生・生徒等では「学校問題」が39.5%とトップだった。

 次ページから、今回提供を受けたデータの集計結果を記した。数字の集計になってしまっているが、1つ1つの数字が尊い命であることを、あらためて思いを致してほしい。

 どのような原因・動機であったにしろ、ホームドアの設置などの対策によって防げた自殺は多いはずだ。鉄道自殺を防ぐために、この社会はいったい何をするべきなのか――。真剣に検討するきっかけになれば、と考えている。

佐藤 裕一

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コメント: 3
  • #1

    名無し (金曜日, 28 10月 2016 18:28)

    自殺はやめましょう。人に迷惑掛ける死にかたはやめて下さい。自殺は人に迷惑を掛ける行動ですよ。神様への冒涜です。

  • #2

    名無し (金曜日, 28 10月 2016 18:30)

    皆んな苦しいんだよ。生きる事は大変なんです。潔くしなさんな。
    みっともなく生きろ。己の人生 まっとうせいや

  • #3

    通電 (火曜日, 08 11月 2016 08:20)

    売上 1.5兆円、従業員 7500人
    デカイ会社だが、ブラックでした。クソ会社ですみません。