捕獲、去勢、実験サンプル…原発立ち入り制限区域、野生化動物の今

 福島第一原発の周辺には、今も飼い主とはぐれた犬や猫がさまよっています。震災後に生まれた犬猫も少なくありません。不妊去勢手術を施して悲劇の拡大を防ぐ活動が続けられています。一方、野生化した牛を捕獲し集めて飼育する動きも出ています。

クリニックで不妊・去勢

 福島県白河市にある「フクシマスペイクリニック」は、NPO「アニマルレスキューシステム基金」が開設したクリニックです。ここでは、獣医師が不妊や去勢の手術しています。連れてこられる動物は、被災地の野良猫や被災者のペットです。その多くは、福島第一原発から20~40キロ離れた地域で捕獲されます。

被災動物から生まれた世代は「野生動物」扱い

 避難時に置き去りにされたペットは、被災動物として保護されてきました。一方、それ以後に生まれた世代は野生動物として扱われている実態があります。避難指示区域の再編で行政と民間、いずれの保護活動も及びにくい空白地帯も生じているのが実情です。

「放れ牛」を飼育

 警戒区域に残された「放れ牛」を、囲い込んで飼育する活動も続けられています。「懸(かけ)の森みどりファーム」は、畜産農家が野生化した牛を飼育しています。雄牛はすべて去勢し、繁殖を防いでいます。飼育・管理費は、企業系財団などに助成を申請し、趣旨に賛同する賛助会員(年会費3千円)を募って、経費を捻出しています。

「売れない牛」、研究対象に

 原発事故のため「肉牛として売れない牛」について、大学の研究者による調査も行われています。岩手大のチームは、帰還困難区域で、牛の生体への影響や放牧による草地除染の効果などを観察しています。血液採取や、牛の行動を追うために首に取り付けた発信装置の確認、牧場の線量計測、土壌汚染度調査などを実施しています。今後は一部の牛の解剖や内臓検査、甲状腺や栄養の調査、牛の新陳代謝と活動で放射性物質がどう移動するか――など研究していく予定です。

withnews 1月6日(火)12時1分配信

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コメント: 1
  • #1

    皆んな家族だ。 (土曜日, 17 1月 2015 19:13)

    同じ命、助けて下さい。原発事故は恐ろしい。