奇跡重なり80年ぶり再会 106歳元教師と台湾教え子

 終戦前に台湾で教師だった106歳の日本人女性と当時の台湾人教え子らが8日、インターネットで映像と音声をつなぎ、約80年ぶりの「再会」を果たした。きっかけは女性が出した一通の手紙。現存しない古い住所宛てだったが、郵便局員が訪ね歩いて宛先を探し出した。「映画のような話」と話題になり、日本企業が対面を支援した。

【動画】106歳の元教師と台湾の教え子が80年ぶり「再会」=鵜飼啓、村上伸一撮影


 「毎日、あなたたちのことを思い出しています」

 台湾中部・台中の烏日小学校。講堂に設置されたスクリーンに映し出された熊本県玉名市の高木波恵さんは力強い声で語りかけた。80代後半から90代の教え子20人ほどが、代わる代わるマイクを握った。「お孫さんと遊びに来てください」「長生きのひけつは」。つかの間、童心に帰って日本語で会話を交わした。

 日本統治時代(1895~1945年)の台湾で暮らした高木さんは27年に教員免許を取り、今年創立100周年の同小の前身、烏日公学校で39年まで1、2年生を教えた。高木さんは「浦島太郎の気持ち」と懐かしむ。約80年ぶりの対面という楊海桐さん(90)は「先生がお元気で、本当にうれしい」と話す。温清標さん(87)は「日本語を話すのは70年ぶりで、つかえてしまった」と苦笑した。

最終更新:9月9日(水)13時43分