墓前で花火 祖先出迎えにぎやかに/青森・大間

青森県大間町には、お盆期間中に先祖代々の墓前で花火をする独特の風習がある。盆の入りの13日夕、町内にある墓地には家族連れや帰省客が次々と訪れ、「迎え火」ならぬ花火で祖先の霊をにぎやかに迎えた。
 「シュー、パンパン」。午後7時すぎ、墓園のあちこちで赤や黄色の火花が飛び散り、手持ち花火に歓声を上げる子どもの声が響いた。時折、打ち上げ花火も上がり、秋の気配が漂い始めた夜空を焦がした。
 町関係者によると墓での花火は、既に明治時代には広く行われていたという。同町の曹洞宗寺院・長弘寺の古畑龍泉住職(57)は「大間では花火が迎え火の代わりです」と話す。ただ、由来などは不明だ。
 墓前で花火をする風習は長崎県にもある。このため町内には、大間と長崎に共通する、海上守護の女神「天妃(てんぴ)(媽祖(まそ))」信仰に由来するのでは-との見方も。
 古畑住職も「祭りで爆竹をにぎやかに鳴らすなどの華僑文化が、何らかの形で大間に伝わったのではないか」と推測している。
 家族で帰省中の会社員田中康人さん(42)=横浜市=は「大間ではこれが普通なので、町外に出てからは、なぜ墓で花火をしないのか逆に不思議だった」という。子どもたちの成長を祖先に報告しながら「墓前で花火をすると、地元に帰ってきた実感が湧きますね」と笑顔で話した。

東奥日報社

最終更新:8月14日(金)13時11分

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