不器用な父からの差し入れ!! 青空と向日葵の会

学生時代、
書類の手続きで1年半ぶりに実家に帰った時のこと。
本当は泊まる予定だったんだが、
次の日に遊ぶ予定が入ってしまったので
結局、日帰りにしてしまった。
母にサインやら捺印やらをしてもらい、
帰ろうとして玄関で靴紐を結んでいると、父が会社から帰ってきた。
口数が少なく、何かにつけて小言や私や母の愚痴を言う父親のことが苦手で、
一緒に居ると息苦しさを感じていたの私は、父が帰宅する前に帰ってしまいたいというのも、日帰り、ひいては
通えない距離の学校を選んだの理由の一つだった。父が、「お前、泊まるんじゃなかったのか」と訊いたので、「ちょっと忙しいから」とぶっきらぼうに答えると、手に持っていたドーナツの箱を私に差し出し、「これやるから、電車の中で食え。道中長いだろうから」と言った。
駅に着くと、電車は行ったばかりのようで人気がなく、30分は待たされるようだった。小腹が減ったので、父からもらったドーナツの箱を開けた。3個ずつ3種類入っていた。家族3人でお茶するつもりだったんだなぁ。
でも、私が9個貰っても食べきれなよ。
箱の中を覗き込みながら苦笑した。
その直後。あぁ、あの人は凄く不器用なだけなんだろうな―。ふとそう思うと、涙がぼろぼろ出てきた。
様々な感情や思い出が泡のように浮かんでは消えるけど、どれもこれも切なかったり苦かったりばっかりで。手持ちのポケットティッシュが無くなっても、
ハンカチが洗濯して干す前みたいに濡れても涙は止まらなくて、結局、
一本あとの電車が来るまで
駅のベンチでずっと泣き続けていた。

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コメント: 1
  • #1

    赤城山のからっ風 (月曜日, 15 9月 2014 20:00)

    親父悪かったよ。話が弾ま無いからあまり話さなかったけど、本当は、感謝してたよ。死んでからじゃ遅いよな。悪かった。すまん。