サザン桑田が絶賛、小林武史もほれ込んだ元公務員の歌姫・黒木渚の文学的歌詞に反響

 音楽界で異色のシンガー・ソングライターが快進撃を見せている。元公務員の肩書を持つ黒木渚(年齢非公表)だ。独特の文学的歌詞は、サザンオールスターズの桑田佳祐(59)や音楽プロデューサーの小林武史(58)からも絶賛され、先月30日放送の日本テレビ系「しゃべくり007」(月曜後10・0)に出演して、さらに知名度が上昇。サンケイスポーツは彼女にインタビューし、その魅力に迫った。(サンケイスポーツ)

 3年前まで福岡県内の市役所の財政課に勤務する公務員だった。土地の登記、市の財政管理などを行いながらバンド活動をしていたが、二足のわらじに限界を感じ、辞表を提出した。元公務員の芸能人では、俳優の役所広司(59)らが知られるが、女性歌手は異例だ。

 「不安はありましたけど、意外とスパンと決めるタイプなので」。黒木はより自分自身が責任を持って活動を続けるため、当時組んでいたバンドを解散し、昨年からソロ活動をスタートさせた。

「あたしの心臓あげる」など、独特の文学的歌詞で女性の強さや心理を生々しく歌い上げる姿が反響を呼び、桑田は深夜ラジオで「この時代にこんな歌詞を書けるヤツがいるのか」と絶賛。小林武史もほれ込み、イベントで共演を果たした。

 心を揺さぶる歌詞の原点は中高生時代にある。テレビを見ることも許されない厳格な寮生活の中、村上春樹氏の「ノルウェイの森」や江國香織さんの恋愛小説など、読みあさった文学と、そこから生まれた妄想が創作活動の礎になった。

 小学生時代は音痴で「音程を取るため2年間バケツをかぶって練習した」という。努力で歌声を手に入れた黒木はソロ活動半年で東京・渋谷公会堂公演を成功させた。今年7月に全国5都市で行った入場無料のワンマンツアーには約1万人の応募が殺到するなど、確実にファンを増やしている。

 独特の歌詞は小説界でも注目されており、10月発売のアルバム「自由律」の初回限定盤特典となった短編小説「壁の鹿」の第1話が、先月26日発売の文芸誌「en-taxi」に掲載され、文壇デビューも果たした。

 「目標は会場をどんどん大きくしていくこと。それまでに絶対ブレない軸を作る」。彼女の快進撃はこれからだ。

黒木 渚(くろき・なぎさ)

 宮崎県出身。福岡の大学在籍時に独学でギターと作詞作曲を始め、2010年12月に自らの名前を掲げたバンド“黒木渚”を結成。12年発売のデビュー曲「あたしの心臓あげる」が九州限定にもかかわらず有線インディーズチャート1位に輝く。13年12月にバンドを解散し、14年からソロ活動。今年1月発売の「虎視眈々と淡々と」はビルボードAirPlayチャート4位を記録。在学中には文学の研究に没頭し、英語教師の教員免許も習得している。